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2016_EURO・・やっぱり「ドイツ対イタリア」は、いつも世紀のドラマへと成長していくよな〜・・(ドイツvsイタリア、1-1、ドイツPK勝利)・・(2016年7月3日、日曜日)

見終わったとき、ホントに疲れ切ってしまった。だから、まず寝ることにした。

普通だったら寝つけないんだろうけれど、結果を受けて(!?)、スッと夢のなかへ入り込めた。そして、数時間後に起き出し、まず「PK戦」を見直すことにしたんだよ。

ギリギリの勝負プロセス。ホントに凄かった。

それは、いまの世界最高の強者GK二人が「主役」になった極限のPK戦ということだったんだな〜と、再認識させられた。

皆さんもご存じのとおり、PK戦では、(もちろんキッカーのパーソナリティーにも拠るけれど・・)やはり心理・精神的ファクターが大きな部分を占めると思う。

そう、このPK戦では、GKに「読まれ」ても「届かない」コースへ飛ばすために、キッカーには、想像を絶するプレッシャーが掛かったんだよ。

それが、5人目までのレギュラーキッカーでは失敗が多かった(三人も失敗したんだぜ・・あの、ドイツとイタリアがだせ!!)ことの背景にあったと思う。

そしてサドンデス。

そこにも、ものすごく多くのテーマが内包されていたけれど、最後に出てくるのは、やっぱり「神様ドラマ」だよな〜・・なんて思っていた。

何せ(繰り返すけれど・・)両チームのGKは、「あの」天才コンビなんだからね。

その一人、ブッフォン。

少なくとも二本は止められた。でも最後は、手に触ったボールが、そのままゴールインしちゃった。

それに対して、ノイヤー。

何度かの「ノーチャンス」の後、キックされたボールがピタッと手に収まった(弾き出せた)。

このグラウンド上の現象って、神様ドラマ以外の何ものでもないでしょ。

だから、見終わったとき、ホントに疲れ切ってしまったっちゅう体たらくだったんだよ。フ〜〜ッ・・

あっと、試合からピックアップしたテーマ。

まず、ものすごい「ゲーム戦術のぶつかり合い」だった・・という視点。

両チーム首脳陣が成した、世界最高峰の、分析とプラン、そして選手に対する「ゲーム戦術イメージの構築(浸透)作業」の内実が、うかがい知れる。

そう、戦術的なモノと、心理・精神的ファクターのマネージメント。

そのバックボーンと、選手と首脳陣による「パーソナリティーのぶつかり合い」というテーマに関しても、私の体感も含めて、思いを馳せていた筆者だったのであ〜る。へへっ・・

もちろん外様には、「その」内実の詳細なんて伺い知ることはできない。だからコチラは、グラウンド上の現象を観察して分析するしかない。

それでも、互いの、キーパーソンに対するマーク、ボールがないところでの仕掛けの動き(決定的フリーランニング)に対する抑制プロセス等など、見所が満載だった。

イタリア。

決して、以前のような、極端な「受けのブロック構築」というわけじゃなく、あくまでも、ステディーな組織作りから、積極的にボールを奪い返しにいく。

そこでのボール奪取プロセスでは、「受けの姿勢」よりも、チェイス&チェック&連動アクション(協力プレス)等など、積極的な「ボール奪取への仕掛けイメージング」を強く感じた。

たしかにドイツがゲームのイニシアチブを握った時間の方が長くはあったけれど、それでも、イタリアも、負けじと、チーム全体として押し上げ、組織的な仕掛け(人とボールのスムーズな動き!)と個の勝負を、とても高い次元でバランスさせていたんだ。

だからこそ、ものすごく見所豊富な勝負マッチになった。

でも、もちろんグラウンド上の現象としては、美しいドリブル突破があるわけじゃないし、ダイレクト(パス)コンビネーションを駆使した、ウラの決定的スペース攻略シーンがあるわけじゃないから、そんなにエキサイティングじゃない。

でも私は、そんなゲームの流れのなかに内包された、勝負ファクターに目を凝らしていたんだ。

そのなかでも、解説の都並敏史と同様に、イタリアのジャッケリーニの、攻守にわたるハードワークに注目していた。

ケディーラの怪我で交替出場したシュヴァインシュタイガー。

彼については、バイエルンのユース時代から注目し、何度か(当時の)ブンデスリーガコラムでも言及したことがあったっけ。

あっと、蛇足・・

そのバスティアン・シュヴァインシュタイガーだけれど、彼は、ケディーラ同様に、イタリアの攻守キープレイヤーであるジャッケリーニを「見る」という役割を与えられたと思う。

でも・・

そう、グラウンド上に登場して数分後には、そのジャッケリーニの「タテへのフリーランニング」を、フリーで行かせてしまったり、その後にも一度、同じように、フリーで「行かせて」しまったシーンがあった。

シュヴァインシュタイガーは、タテ方向のマークの受け渡しをイメージし、そのことを、後方のチームメイトに手を使って「指示」したようだけれど、最終ライ ンは「他にも」仕事があったわけだから、タテのマーク受け渡しがうまく機能せず、結局は、マークの「後追い」になってしまったり、ボアテングのスーパーカ バーに頼らざるを得なくなったりした。

「あの」二つのシーンでは、バスティアン自身が、マークに戻らなきゃいけなかったと思うね。

たしかに難しい判断だけれど、現場のコーチは、「それ」を望むでしょ。

微妙なディスカッションだけれど、選手は、「戻ったら、次の攻撃でのリンク作業ができなくなる・・」なんて主張するだろうし、ベンチとしては、「それよりも、まず失点を喰らわないことを優先しなきゃいけない・・」って主張するでしょ。

その判断は、結局は選手に(そのパーソナリティーと意志に!)委ねざるを得ないワケだけれど、そんな微妙な「感覚的な差異」が、シュヴァインシュタイガーの、マンUにおける立場に微妙に影響しているのかもしれないね。

それ以外にも、多くのテーマはあるけれど、まあ、落ち着いてから、振り返ることにしますよ。

さて・・。ということで準決勝。

これまでのスペイン同様に、やっぱりヨーロッパというフットボールネーションでは、「美しく勝つサッカーを志向するドイツ」に頑張って欲しいと思っている筆者なのですよ。

「ドイツ」というテーマについては、前回の「EUROコラム」で書いたし、そこに「リンクボタン」も張っておいたので、そちらもご参照アレ。

では、また・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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