湯浅健二の「J」ワンポイント


2019年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第30節(2019年11月2日、土曜日)

 

サッカー内容の変容も含め、エキサイティングで、考えさせられるコンテンツ満載の勝負マッチだった・・(フロンターレvsサンフレッチェ、2-1)

 

レビュー
 
・・それが分かれば、サッカー界のノーベル賞をもらえますよネ・・

サンフレッチェ城福浩監督が、わたしの質問に応えて、そんな素敵な(お洒落な!?)内容を、コメントをしてくれた。

そのサンフレッチェ広島・・

もちろん昨シーズンでも、そんなポジティブ進化の兆しはあったわけだけれど・・

今シーズンからは、より鮮明に、ハイレベルサッカーで、存在感を発揮しはじめた。

まさに美しい質実剛健サッカーと呼ぶにふさわしい立派なサッカー内容じゃないか。

このゲームでも、そんな積極的なアグレッシブサッカーで、「ゴール機会」を創りだしつづけた。

たしかに、立ち上がりの時間帯は、圧倒的にフロンターレにイニシアチブを握られ、田中碧のスーパーミドル先制ゴールまでもブチ込まれた。

でも、そこからサンフレッチェは、前述の「クオリティー・サッカー」で、ゲームのイニシアチブを奪い返し、フロンターレを押し込むなかで、何度もチャンスの流れを創りだすんだよ。

あっと、ここでは・・

何度か「ゴール機会」を演出したサンフレッチェが、それを決め切れなかったというテーマに戻りましょうかね。

城福浩さんが、冒頭コメントに続ける・・

・・とにかく、どんなチームでも、なるべく多くチャンスを創りだすのが先決のテーマですよね・・

・・それがあって初めて、ゴール機会というハナシに入っていける・・

・・今シーズンの我々は、チャンスは創りだすけれど、それを、うまく決められずに涙を呑むっちゅうゲームが多かったんです(まあ、この試合も!?)・・

・・たしかに決定力というテーマは大事ですが、それにしても、まずチャンスを創りださなければハナシになりませんよね・・

・・その意味で、後半から投入したレアンドロ・ペレイラには、(より高い確率で!?)ゴールを決められる、「何らかのセンス」が備わっていると思うんです・・

・・だから後半から彼を投入したのですが、見事に、その期待に応えてくれた・・

・・とはいっても、まだまだ課題は大きい・・

・・チャンスの流れを、ゴール機会と呼べるシチュエーションまで昇華させなきゃいけないし、そのゴール機会を、しっかりと決め切るというテーマもありますからね・・

フムフム・・

この、ゴール決定力という、得体の知れない「ファクター」については、本場のプロコーチ連中も、ものすごく悩みつづけているんだよ。

そうそう・・

以前、ドイツの伝説的スーパープロコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーが、当時のスターストライカー、ディーター・ミュラー(ゲルト・ミュラーじゃないよ!)と対峙した個別トレーニングについて、「The Core Column」で書いたコトがあった。

そのコラムは、「こちら」

そこじゃ、その「得体の知れないファクター」を、「何かが弾けた・・」なんて表現したっけ。

でも、それが「何か」は、分からず仕舞い。

もちろん、そのゴール(シュート)決定力と呼ばれるファクターを構成するのは・・

フィジカル、テクニカル、タクティカル、そして心理・精神的な「何か」だよね。

シュートと呼ばれるグラウンド上の現象には、そんな多くのファクターが、錯綜して絡み合っているんだろうね。

あっと、もう一つ・・

その「何か」を理解する上でのヒント・・

「あの」サッカー史に残るスーパーゴールゲッター、世界中からレスペクトされたゲルト・ミュラーが、こんなコトを言ったんだ。

・・シュートをゴールに入れるのは、自信と確信の為せるワザなんだろうな・・

・・オレさ・・

・・チャンスでは、「シュートを入れるぞっ!!」なんていう決意的なモノじゃなく、「あっ・・入ったっ!」って、シュートを打つ前から、ゴールに吸い込まれるボールが見えたりしたこともあるんだよ・・

・・もちろん、自信や確信を、その「域」にまで高めるためには、かなり努力はしたよ・・

そうそう・・

前述の「コラム」でも書いたけれど、結局は、極限の心理的な負荷も含めたハードトレーニングを積み重ねるしか、「高み」に到達するスベは、ないということだね。

あっと・・

ゲームの印象についても簡単に・・

・・前述したように、まずフロンターレが、人とボールが、素早く、スムーズに動きつづける「自分たちのサッカー」でゲームを支配し、チャンスを創りだすなかで、先制ゴールまでも決めた・・

・・でも、その後はサンフレッチェが、これまた立派な攻撃サッカーでゲームを牛耳る・・

・・そして、何度かの決定機を決め切れないなかで、レアンドロ・ペレイラが、粘りの同点ゴールをもぎ取っちゃうんだ・・

・・でも・・

・・そう、その2分後、そのレアンドロ・ペレイラの同点ゴールお膳立てした(その元凶になった!)マギーニョが、その埋め合わせをするように、起死回生の決勝ゴールを叩き込むんだ・・

・・サッカーじゃ、天国と地獄が、激しく交錯するからね・・

・・そこじゃ、心理・精神的な「何か」も関わっているんだろうね・・

・・マギーニョが勝ち越しゴールをブチ込んだときに放散していた(!?)「決めてやるオーラ!!」は、レベルを超えていた!?・・

・・そうそう、そのときの「決めてやるオーラ」は、チームのなかでビデオを見返す中で、全員でシェアする価値は、十分にあるよ・・

・・あっと・・

・・マギーニョのなかで、激しく交錯したに違いない「天国と地獄」・・

・・またサッカーでは、こんな「ワケが分からない連鎖現象」も、多いよね・・

・・そう・・

・・ゴールを決めたヤツが、その直後に、イエローを喰らうような激しいプレーをブチかましちゃう現象(ゴールという刺激によって、積極的でアグレッシブなプレーブチかました!?)・・

あっと・・

とにかく、このゲームが、とてもエキサイティングで、考えさせられる内容満載の勝負マッチだったコトが言いたかった筆者だったのであ〜る。

へへっ・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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