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2016_オリンピック予選・・「ダブルの幸運」をつかみ取った手倉森誠ジャパン・・(日本vs北朝鮮、1-0)・・(2016年1月13日、木曜日)

ホント、後半ロスタイムのフリーキックとコーナーキックの場面では、手に汗握った。

特にフリーキック。

誰に当たったんだろうか・・。とにかく、奇跡的に、蹴られたボールが、右ポストをギリギリかすめて外れていった。そしてコーナーキック。

フ〜〜ッ・・

私は、ゲームを観ながら、昨年8月、中国の武漢でおこなわれた東アジアカップ初戦のことを思い出していた。

そう、サッカーの(戦術コンテンツの)内容では、完璧に日本が凌駕していたけれど、結局は、相手のパワーサッカー(強烈な闘う意志!?)にやられてしまったゲーム。

そのレポートについは、「このコラム」も参照してください。

そして、このゲームでも、戦術的なサッカー内容では北朝鮮を凌駕し、何度も、人とボールが動きつづけるハイレベルな組織サッカーでチャンスを作り出した日本だったけれど・・

・・逆に、相手のシンプルなパワフル攻撃(例えば、ロングボールからのこぼれ球を拾ったミドルシュート等など)やセットプレーからピンチに陥った。

日本の仕掛けじゃ、両サイドバック(室屋成と中山亮輔)の躍動が、目立ちに目立っていた。

もちろん「そこまで」の組み立てでは、人とボールをしっかりと動かしながらスペースを攻略し、フリーな「仕掛けの起点」を創りだして北朝鮮ディフェンスを振り回した。

ことほど左様に、戦術的なコンテンツでは、明らかに日本に一日以上の長があった。でも・・

そう、「勝負の流れ」では、まさに「武漢の悲劇」を連想させられてしまった・・っちゅう体たらくの時間帯も長かったんだよ。

その「バックボーン」は、言わずと知れた、「意志のパワーの差・・」だった。

そう、ボールをめぐる「せめぎ合い」で、日本が押され気味になっていた・・ということ。

たしかにボールの競り合いシーンに積極的に絡んではいくけれど、そこでの「粘り強さと意志のパワー」に差があった。

北朝鮮の選手たちは、最初の競り合いで負けても、まったく動じることなく、2度、3度と、しつこく、しつこく追いかけ回してボール奪取勝負を仕掛けていくんだよ。それも、常にフルスプリントで・・。

それに対して日本選手は、「淡泊」という印象がぬぐえない。また、ボールを競り合うスポットへ突っ込んでいく「勢い」にも、大きな差が見えていた。

それじゃ、北朝鮮にゲームのイニシアチブ(実質的な菖蒲の流れ!)を握られても仕方ない。

これまでに何度も書いたことがあるけれど、そんな「勢いの差」については、選手たちが、もっとも切実に体感しているモノなんだよ。

だからこそ、こんなギリギリの勝負では、選手たちの闘う意志のコノテーション(言外に含蓄される意味)と、リーダーシップの「量と質」が問われるというわけだ。

以前、読売サッカークラブでコーチをしているとき、ヤマハと練習マッチをやったことがある。当時のヤマハでは、山本昌邦とか、柳下正明といった猛者連中がプレーしていた。

その試合で、先制ゴールを奪った読売サッカークラブだったけれど、その直後から、急に、意志が弛(たる)んでしまったんだよ。

そんなだから、逆に、(失点という刺激によって!)闘う意志が膨れ上がったヤマハに、攻守にわたって「やられまくって」しまうのも道理だった。

そう、ジリ貧のゲーム展開。

そんなゲームじゃ、選手たちが楽しめるはずもない。特に、天才のラモス瑠偉にとっては、そんなフラストレーションが溜まるゲームなんて、あり得なかった。

そして、ヤツが叫びはじめるんだ。

・・オイッ・・何をビビッてやがるんだ〜っ!!・・もっと闘え〜っ!!・・必死で追いかけろ〜っ!!・・次のパスレシーバーを潰せ〜っ!!・・

そう、ヤツがテコ入れしたのは、守備での闘う姿勢だったんだ。

そして、そんな強烈なラモスの刺激に「ケツを蹴り上げられた」選手たちのプレーが、再び活性化していくんだよ。

その後のゲーム展開については、推して知るべしでしょ。

カリオカ(ラモス瑠偉)も、ゲームの後で、自慢げに私のところに寄ってきて、ウインクを飛ばしたものです。フンッ・・

あっと・・ちょっと寄り道が過ぎた。

言いたかったのは、イレギュラーするボールを足で扱うという、不確実な要素がいっぱいのサッカーが、究極の「心理ボールゲーム」というコトなんだよ。

そう、サッカーは、究極の「意志のスポーツ」なんだ。

そして、その視点で、「手倉森誠ジャパンは、まだまだ甘い・・」ということが言いたかったわけだ。

彼らは、もっともっと「闘わなければ」いけない。そうじゃなければ、このサバイバルマッチ(オリンピック予選)を生き延びることなど叶わない。

たしかに、北朝鮮が疲れてきてからの日本は、やっと思い切った(本来の彼らの!)積極プレーを展開できるようになった。でも、その内実は・・

彼らは、この試合では、幸運に恵まれた。

私が言っているのは、勝ち切れたこと「だけ」じゃないよ。

彼らは、この勝負マッチを通して、本当の意味での「肉を切らせて骨を断つギリギリの闘い」を体感できたと思うんだよ。そこには、ものすごく重要なコノテーション(言外に含蓄される意味)が内包されているんだ。

彼らは、この試合で体感したコトの意味を、しっかりと自分たちのモノにし、確実に「次」に活かしていかなきゃいけない。

彼らは、この「ギリギリのトーナメント」を通して、肉体的にも、精神的にも、大きく飛翔していかなければならない・・と思うわけだ。

ギリギリの勝負の場に勝る「学習機会」はないわけだから。

最後に、意志・・

それさえあれば、おのずと道は見えてくる・・のであ〜る。

PS:これからは、「The Core Column」と「My Biography」も、注力してアップしていきまっせ。

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 最後に「告知」です。

 どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

  自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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