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2009_天皇杯四回戦・・このタイミングで、本来の勝負強さが戻ってくるなんて・・(AvsVI, 2-1)・・(2009年11月14日、土曜日)

やっと、アントラーズらしい勝負強さが戻ってきた・・

 とはいっても、ゲーム自体は、ヴィッセルのガンバリもあって(特にディフェンスが素晴らしかった・・統一した守備意識アップをリードした三浦俊也監督に拍手!!)とてもエキサイティングな勝負マッチになった。まあ、だからこそ、最終的に、アントラーズの勝負強さが際立ったとも言えるわけだけれどネ。

 この「最終的に」という表現のコノテーション(言外に含蓄される意味)がミソ=このコラムの中心テーマ=だというわけです。あははっ・・

 それにしてもアントラーズは、本当にギリギリのタイミングで本来の勝負強さを復活させてきたよね(もちろん守備の機能性アップをベースにしたサッカー内容の高揚!)。

 オズワルド・オリヴェイラ監督は、J-リーグを盛り上げるために、ちょっと足踏みして待っていてくれた(何らかの戦術的なテーマにチャレンジしていた)のかい?? あははっ・・そんなわきゃ、ありっこないけれど(いや・・戦術的テーマへのトライは、ちょっと現実的!?)、それにしても本当に、よくこのタイミングで「普通のアントラーズ」が甦(よみがえ)ってきたものだと感心しますよ。

 もちろん「その現象は」、いつも書いているように、本山雅志の復活プロセスに対応していた面も大きいと思っている筆者なのです。

 前回のアントラーズレポートでも書いたけれど、本山雅志の復活は、アントラーズにとって、とても大きな意味があった思うのです。守備においても・・攻撃においても・・

 ・・守備では、前戦からのチェイス&チェックが、より忠実に、そして効果的なモノへと、その機能性がアップした・・そのことで、中盤ディフェンスの機能性が安定し、最終ラインの「予測ディフェンス」もうまく機能するようになった(最終ラインの選手は、ボールと相手の挙動で、次のボール奪取勝負=勝負所=に関するイメージ作りをするわけだからネ)・・

 ・・だからこそ、互いにバランスしたポジショニング(基本ポジション)からの勝負シーンへの(協力プレスなどへの)素早い集合(ポジショニングバランスをブレイクし、ボール奪取勝負を仕掛けていく現象!)と、その後の効果的なポジショニング(バランス取り=組織作り)という『守備における集散の機能性』が、とてもスムーズにいくようになった・・

 ・・またそこでは、中田浩二と小笠原満男の「あうんのバランス感覚」も、うまく機能しているように感じる・・要は、基本的に中盤の底で(チェイス、穴埋め、カバーリングなどなどの)ディフェンスに徹する中田浩二が、後方からゲームメイクする小笠原満男をバックアップするというイメージが確立しはじめているということ・・

 ・・もちろん、本山雅志という「天才ドリブラーにして、攻守の天才的な汗かきプレイヤー」がいるからこそ、小笠原満男にしても、たまには中田浩二にしても、後ろ髪を引かれることなく、最前線まで飛び出していけたりする・・フムフム・・

 ・・その本山雅志・・攻撃でも、彼が戻ってきてからは、『ボールの動きの停滞』というネガティブな現象が、とても少なくなった・・要は、人とボールが、以前のように、スムーズに、素早く、そして広く動きつづけるようになったということ・・

 ・・ボールの動きが停滞した大きな原因は、ダニーロだったけれど(ボールがないところでの動きが緩慢で、ボールを持っても、そこでこねくり回すことが多い!)本山雅志によって、よいときのアントラーズの「活発な動き」が戻ってきた・・そして、だからこそ、野沢拓也やマルキーニョスの、ボールがないところでの動き(組織コンビネーションプレー)にも勢いが戻ってきた・・

 ・・ここで言いたかったことは、ただ一つ・・サッカーは(それをプレーする選手のマインドは)まさに流動しつづけているということ・・ほんのちょっとしたことで、彼らのプレーイメージが停滞し足が止まってしまったり、ふたたび活性化したりする・・そこでのキーワードは、やはり「主体的なプレー姿勢」とか「攻守にわたって自ら仕事を探しつづけられる(考えつづける)姿勢」とかいったものだろうね・・

 ・・ということで、この試合でのアントラーズの攻撃では、自ら仕事を探しつづけているからこその、ボールがないところでの「全力ダッシュ」が頻繁に見られた・・

 ・・また攻撃では、田代有三の先発という視点もある・・ウラを取る決定的フリーランニングだけではなく、彼の場合は、高さを活かしたヘディングでも、ポストプレーでも威力を発揮できる・・マルキーニョスにとっては、そんなポストプレイヤーを衛星的に動き回ることの方がやりやすい!?・・フムフム・・

 と、まあ・・そんな感じで、最後の最後は、本山雅志と交代出場し、何としても存在感をアピールしたかった(!?)ダニーロの、怒りを込めた(!?)強烈ヘディングシュートで勝負が決まったという次第。

 そんな、試合の流れを正確に把握するなかで、チーム戦術的な(選手の特性の)組み合わせを「勝負を決める方向へ」変更した(もちろん本山雅志とダニーロの交替のことだよ!)オズワルド・オリヴェイラ監督にも、大きな拍手をおくらなければならないよね。もちろんオズワルドは、ダニーロが溜め込まざるを得なかったフラストレーションの心理メカニズムをよく理解し、そんな、人間心理のダークサイドダイナミズムをうまく活用したということです。フムフム・・

 それにしても、リーグの残り3ゲームと天皇杯は、本当に、手に汗握るエキサイティングな展開になりそうな予感がするよね。オズワルド・オリヴェイラ監督に、大感謝!! あっ・・違うか・・スミマセン・・。大事なビジネス・プレゼンテーションのために、南アフリカと香港への海外遠征をキャンセルせざるを得なくなった筆者でした。

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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