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2009_「J2」_第10節・・反町康治ベルマーレには、面白そうな学習機会が山積み!?・・(アヴィスパvsベルマーレ, 0-3)・・(2009年4月26日、日曜日)

福岡まで足を伸ばせなかったけれど、先週の「サッカー三昧レポート」で書いたように、ちょっと反町ベルマーレが気になっていることで(素晴らしいツーリング日和にもかかわらず!?)家のなかでテレビ観戦することにしました。

 アヴィスパ対ベルマーレ。ベルマーレが展開した(全員守備、全員攻撃のトータルフットボールを彷彿させるような!?)攻守にわたるダイナミックサッカーに舌鼓を打っていました。

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 「もちろんゲームによっては、そのように(後ろ向きのサッカーに)見える展開だって出てくるのは当然でしょ・・でもそれは我々が志向するモノとは違いますよ・・まあ、何を書かれたり言われたりしたっていいけどサ・・」

 前節に、FC岐阜をホームに迎えたゲーム後の記者会見で、「チマタでは、反町さんが率いるベルマーレが、守備を固めてワンチャンスのカウンターを狙うといった後ろ向きのサッカーをやっていると言われているが・・」という私の質問に対し、反町監督が不満げに語ったものです。

 岐阜との引き分けゲームでもそうだったのですが、今日のアヴィスパとのアウェーゲームでも、『反町康治監督が志向する』本来のサッカーが良いカタチで表現できていたと思いますよ。いや、ホントに素晴らしかった。だから、前節の記者会見で私が投げかけた質問ニュアンスは、「・・と言われているけれど、実際には、それとは全く逆の素晴らしいサッカーをやっていると思うのだが・・」というのが骨子でした。

 前節ゲームの記者会見でそんな「会話」があったから、今日の、難敵アヴィスパとのアウェーゲームに殊の外の強い興味が湧いたというわけです。

 ベルマーレは、アウェーでどんなサッカーをやるんだろう・・相手がアヴィスパということだから、どちらかといったら『ゲーム戦術』を強調するような堅実サッカーに徹するのかな?・・それとも、このところ良いベクトル上に乗りはじめた『自分たちのサッカー』を貫くのかな?

 そしてフタを開けてみたら、前節に輪を掛けた「ダイナミックサッカー」でアヴィスパを圧倒してしまったのですよ。まあ・・見事。

 とにかく守備が素晴らしい。忠実なチェイス&チェックによる「守備の起点」を、その他のチームメイトが十二分に活用するのです。それは、有機的なプレー連鎖の集合体と呼ぶに相応しい、クリエイティブでダイナミック(力強い活力にあふれた!)な組織ディフェンスです。

 特に、攻撃のキートリオである、田原豊、アジエル、阿部吉朗が魅せた、最善からの守備参加は特筆でした。なかでも、「あの」田原豊の忠実ディフェンスに驚かされたわけだけれど、これはもう、プロコーチ反町康治の「心理マネージャーとしてのウデ」を認めるしかありません。田原豊が叩き込んだダメ押しの三点目は、そんな汗かきディフェンスの正当な報酬だった・・なんてネ。

 守備がそんなだから、次の攻撃に勢いが乗っていくのも当然の成り行き。もちろん、守備から攻撃への切り替えの速さも含めてネ。

 先制ゴールと二点目の(ショートとロングの!?)カウンターシーンは、本当に素晴らしかった。この二つともに、後方選手の飛び出しがあった(先制ゴールシーンでは、ゴールを決めた寺川能人・・二点目シーンでは、インターセプトから爆発ドリブルで押し上げ、最後はアジエルへの決定的パスを決めた臼井幸平)。

 中盤のキーコンビ(リンクマン・コンビ)坂本紘司と寺川能人が、攻守にわたって、まさに縦横無尽に動き回って汗かきの仕事に精を出す(最前線を追い抜いていく攻撃参加や、最終ラインを追い越してまでも展開するスーパー守備など、彼らの、攻守にわたって仕事を探しつづける積極的なプレー姿勢に乾杯!)。

 もちろん両サイドの臼井幸平と村松大輔も、最終ラインのバランスを巧みにマネージしながら、サイドゾーンでの攻撃サポートにも存分に力を発揮する。そして、たまには「流れのなか」で、最終ラインの重鎮ジャーンも最前線に顔を出してくる。まさに、トータルフットボールを彷彿させる。フムフム・・

 もちろん、ジャーンのパートナーである山口貴弘や、前気味のリベロとも言える守備的ハーフ(中盤アンカー)田村雄三という隠れた汗かきプレーヤー(攻守のバランサー)の貢献度の高さは言うまでもありません。

 とにかく、このサッカーをつづけていけば、確実に「ベルマーレに対する誤ったイメージ」は氷解するでしょうし、プロコーチ反町康弘に対する評価も「正当」にアップしていくに違いありません。

 とはいっても、まだまだ日本の社会は「ノイジーな出る杭」に対しては(ロジカルではなく!?)情緒的な反応をしてしまう傾向が強いけれどネ・・。

 どこかの賢人が、こんなことを言っていた。機会の平等ではなく、結果の平等を求める傾向の強い日本は、まだまだジェラス(嫉妬)の社会だから・・。

 もちろん反町康治さんが嫌われている(この表現は微妙だけれど、敢えて使いました・・)とは思わないけれど、とにかくよく喋ることは確かだよね。オレに輪を掛けて(!?)よく喋る。もちろん内容が伴った話しだから納得できるけれど、そこでの正しい主張が、言葉を重ね「過ぎる」ことで(情緒的な!?)誤解を生んでしまうという側面もあるのかもしれないね。

 そんな現象もまた、私の学習機会のテーマでもあるわけですよ。これからもできる限り時間を作ってベルマーレを観察しようと心に決めている筆者なのです。ということで、次の土曜日の頂上決戦(ベルマーレ対セレッソ)は見逃せない。

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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