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2009_日本代表・・「まともな映像」じゃなかったけれど・・(バーレーンvs日本、1-0)・・(2009年1月29日、木曜日)

こりゃ、イカン。無理矢理、保証されていない「アップル・マッキントッシュ」でネット配信を観ているのですが(マック用のプラグインをインストールすることで観られる)頻繁に映像が止まってしまったり、ギザギザの残像が残ったり、途中でダウンロードが止まって最初の国歌吹奏シーンまでもどってしまったりと、まともに観戦できないのですよ。こりゃ、ダメだ・・この現象って、本当にマックだからなのだろうか??

 とはいっても、活気のない雰囲気だけは伝わってきます。活きの良かったイエメン戦とは、うって変わった動きのない鈍重なサッカー。中盤守備で、まったくプレスを掛けられていないことだけは明確に伝わってくるのですよ。だから次の攻撃も、個の勝負ばかりが目立つ「単発」になってしまう・・。

 要は、攻守にわたる「有機的な組織プレーの連鎖」がないということ。だから、局面での「個の勝負」ばかりになってしまう。それじゃ、個のチカラに長けたバーレーンの思うツボじゃありませんか。まあ、「個のチカラ」では確かに良いモノを持っている稲本潤一と本田圭佑を先発にもってきたわけだから、そんな「個に偏った」サッカーになってしまうことは想像に難くなかったわけだけれど・・。

 もちろん「まともな映像」を観なければ明確な評価はできない。でも、たしかに切れ切れの映像ではあるけれど、ヨーロッパ組の本田圭佑にしても稲本潤一にしても、「歩いているシーン」が目立つのは分かりますよ。また走るにしても、ボール絡みでも、ボールがないところでも、全力スプリント(闘う意志の象徴!)があまりにも少なすぎる。またパス&ムーブもない。

 それにしても本田圭佑は動かない。チームのペースを高揚させていかなければならない(要は、ヨーロッパ組として存在感を発揮しなければならない)存在のはずなのに、チンタラ歩いているのが鼻につく。また守備でも、闘う意志と粘りが感じられない。それじゃ、守備に入るだけ味方の邪魔になるばかり。そんな倦怠プレーしか出来ないのであれば、ボールを持ったら、半分以上の確立でチャンスを作り出せるくらいじゃなければチームメイトは納得しないでしょう。フ〜〜・・もう何をか言わんや・・だね。

 また、稲本潤一にしても、以前から何も変わっていない。彼には、守備の起点になれるような効果的チェイス&チェックを期待できそうにない。日本代表の守備的ハーフは、とにかく、攻守にわたって汗かきプレーに徹しなければならないのですよ。それがあって初めて、優れた組織プレーの絶対的なベースとなる、攻守にわたる中盤のダイナミズムを演出できないのですよ。そう、長谷部誠と遠藤保仁(または中村憲剛)のダイナミックな守備的ハーフコンビ(まあ彼らの場合はダブル・ボランチと呼んでも差し支えないでしょう)のようにネ。

 本田圭佑にしても稲本潤一にしても、日本代表チームでは、例外なく全員が、攻守にわたるハードワークを大前提にした「組織サッカー」を志向しなければならないのですよ。

 もちろん、攻撃の才能に恵まれた選手が、高い確率で「個のチカラで状況を打開できる」ならば、誰も文句は言わない。その才能を(自分たちのために!)活かしていくために、必死に守備へ戻ったり、攻撃では、ボールがないところで走り回ったりと、周りがハードワークするでしょう。でも、松井大輔にしても、大久保嘉人にしても、もちろん本田圭佑にしても、シュートを打つという攻撃の目的を達成するための「貢献コンテンツ」は高くない。

 局面で、見事なボールキープを披露するのはいいけれど、肝心の勝負所で、ドリブル勝負を仕掛けていくのではなく、「何かから逃げるように」リスクを冒さない安全パスを出して足を止めてしまうんだから、何をか言わんや・・なのです。

 とにかく、イエメン戦では爆発的に機能した「チェイス&チェック」が、この試合では低調の極みだったことは確かな事実でした(まあ本田圭佑が交代させられてからは少しは好転したけれど・・)。だから、効果的なボール奪取もできない・・だから次の攻撃でも(ボールがないところでの人の動き)が活性化しない・・だから単発の局面個人勝負で打開していこう何ていうバカげた仕掛けばかりが目立ってしまう。さて・・

 それにしても(後半の半ば過ぎまで)守備の起点をうまく作り出せなかった。こんなにチェイス&チェックがうまく連動しなかったら、次のボール奪取を効果的に狙えないだけではなく、相手ボールホルダーへの寄せも甘くなることで簡単にタテパスを繰り出され、最終ラインがピンチに陥ってしまうのも道理だよね。まあ、前述した、中盤での攻守にわたるダイナミズムの欠如・・。

 そのダイナミズムの源泉は、もちろん『優れた守備意識』にあり。もし一人でも・・そう、一人でも『有機的なプレー連鎖の流れ』に乗らなかったら、その消極ビールスが、瞬間的にチーム全体に蔓延してしまうのですよ。

 ゲームだけれど、あまりにもネット配信の有料コンテンツがひどかったから、ネット上に流れているチャットから情報を拾ってみた。そうしたら、他の多くの人々が、私と同じように「まともな有料コンテンツ」を得られないで苦労していることを知った。でも、そのチャット情報で、アラビアのサイトが紹介されていたのですよ。すぐさま、そのサイトへ飛んだら、やってる、やってる。無料ライブ配信。素晴らしい・・

 たしかに映像のクオリティーは劣るけれど、でも、有料コンテンツのように映像が止まったり、ギザギザの残像が残るなどという現象はないから「ゲームの流れ」は分かる。ということで、本田圭佑が香川真司と交替してからの「全体的なサッカー内容の好転」というポジティブな現象は、しっかりと把握することができた次第なのです。

 観戦状態がこんな体たらくだったから、これ以上は突っ込まないことにします。後日、まともな映像が入手できたら、また書き足すかもしれないけれど、まあ、この試合のテーマは、何故、攻守にわたる組織プレーのダイナミズムを高揚させられなかったのかというポイントに絞り込まれるだろうし、私は、その原因の最たるモノが「中途半端な才能の怠惰なプレー」という現象に集約されると思っているわけです。

 ところで、稲本潤一。優れたフィジカル能力をベースにした局面バトル(ボール奪取の競り合い)の強さなど、やはり彼の能力とプレーイメージは、最終ラインにもっとも適していると思いますよ。でも中盤では、彼の良さがプラスには機能しない。

 『世界』と対峙しなければならない日本代表の中盤には、やはり、攻守にわたってハードワークをいとわない選手が必要なのです。そう・・常に(内に秘めた!?)闘う意志を高みでキープできるような(自分自身でやる気を喚起できる=優れたセルフモティベーション能力を備えた)プレイヤー。

 もちろんその選手が、現代サッカー(=世界)が追い求める、ハードワークをいとわない「天賦の才」ならば言うことなし・・なんだけれどネ。

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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