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2009_「J2」_第26節・・両監督の(特に反町康治監督の!)コメントが面白かった(その2)・・(ベルマーレvsヴァンフォーレ, 2-1)・・(2009年7月9日、木曜日)

さて、昨日のコラムのつづきです。

 そこでも書いたけれど、両監督のコメントを「そのまま」流用するなら、他のサイトを参照する方がいいですよね。私は、いつものように、彼らが話したかった実質ニュアンスを主体に、「行間に含まれる何か」も含めてアレンジし「まとめ直す」ので、その点はご承知おきください。

 ということで続きのコラム。まず、ヴァンフォーレの安間貴義監督から。

 「ウチには、どこかで一度は挫折を経験している選手が多くいる・・そんな彼らだから(主体的に工夫しながら)努力して這い上がるという姿勢でサッカーに取り組んでいると思う・・」

 そんな興味深い(本音の)発言が飛び出したことで、急に目が覚めた筆者だったのです。安間貴義監督のコメントはつづきます。

 「昨シーズンのヴァンフォーレは負けつづけた・・それでも、我々が目指しているカタチが正しいという確信はあった・・そんな原則的な方向を維持しながら、さまざまなことにトライしている・・そんななかで、選手たちも主体的に取り組んでいる・・だからこそ選手の反応は活き活きとしているし、個々の主張も強い・・我々コーチングスタッフは、そんな選手の主体的な取り組みを積極的にレスペクトしている・・それが、いまのポジティブな変化(発展)につながっていると思うし、我々コーチングスタッフも、その変化を楽しんでいる・・」

 フムフム・・。安間貴義監督も、良い仕事をしていると思う。そんなヴァンフォーレのサッカーに対して、ベルマーレの反町康治監督が、こんなニュアンスのことを言っていた。

 「湯浅さんとか後藤さんは、ショートパスをつなぐ(忠実でダイナミックな守備からボールを奪い返し=仕掛けゾーンを意図的に限定するように=素早いく忠実なパス&ムーブを積み重ねることで人とボールを活発に動かし、最後は、意図的に空けた決定的スペースを突いていく!?)ヴァンフォーレというイメージを持っているでしょうが、このところの彼らは、かなりイメージチェンジしているのですよ・・彼らは最初からパワープレーを仕掛けてくるし、最終勝負のチャンスメイクはロングパスからというのが多い・・だから、ゴールゲッターのマラニョンや金信泳も、常にウラの決定的スペースへの飛び出しを狙っている・・」

 反町康治監督のコメントがつづく。「逆に我々は、いつもカチッと組織が出来上がっているヴァンフォーレ守備ブロックに対抗していかなければならなかった・・我々は、リスクを冒し、人数をかけて組織的に攻めていくなかで、なるべく高い確率のシュートが打てるようにと心がけているのだが、相手の組織が常にカッチリと決まっていることで、そうは簡単にチャンスを作り出せなかった・・」

 へ〜〜、そうなんだ・・。昨日のコラムでちょっと触れたように、筆者の目には(一般的な意味での)人とボールの活発な動きをベースに、組織的に仕掛けていくヴァンフォーレというイメージがあったけれど、たしかに、反町康治監督が言うように、ヴァンフォーレは、攻めているときでも、後方の守備ブロックはキッチリと安定した状態で残っていたよな。フムフム・・

 「そのことが、ハーフタイムでの、ヴァンフォーレの仕掛けイメージは(我々の)スカウティング(=戦術的な分析)そのままだ・・といった私の発言のバックボーンにあったのですよ・・まあ、ロングパスの出所はしっかりと抑えるけれど、基本的には、中盤ではパスを回させておいていい・・そんなイメージ作りもやった・・」

 何度か、守備の(考えられないような!?)大きなミスで決定的ピンチの場面を迎えたベルマーレだったけれど、たしかに、全体としては、ヴァンフォーレの「仕掛けイメージ」をキッチリと把握した守備のやり方に徹していたことも確かだったよな。フムフム・・

 ところで、こんなテーマも反町康治監督にぶつけてみた。

 「ここ数年のことだけれど、以前のように、しっかり守ってカウンターを仕掛けていく(リスクを冒さず常に守備ブロックの組織を安定させておくような戦い方)というのでは最後には勝ち切れなくなってしまうと思う・・要は、しっかりとリスクも冒していかなければ、最後に昇格できる順位に入り込むことは難しくなっていると思うのだが・・」

 「まさに、おっしゃる通り・・要は、どうやって守るのかということではなく、どうやって相手の守備ブロックを崩していくのかという攻撃のイメージ作りの方に力点を置くようになってきているということです・・たしかに困難な道だけれど、やっている方にとっては(より明確に進歩を体感できることで!?)楽しいことこの上ない・・」

 会見ルームに、反町康治監督の、大きくエネルギッシュな声が響きわたる。

 「我々も、そんな考え方をベースに、攻撃を(イメージの)主体にしたトレーニングを行っている・・攻撃が進歩すれば、当然ディフェンスも進化しますからね・・」

 そこで聞いてみた。「それでも、シーズン当初は、ソリマチのところは(受け身に)守って一発カウンターを狙うなんていう(後ろ向きの)サッカーで勝ち点を拾っている等と言われていた・・少なくとも私は、そんな意見を多く聞いた・・でも、実際に見てみたら、決してそんなことはなかった・・そんな周囲の(アンフェアな!?)評価に対して忸怩(じくじ)たる思いはなかったか?」

 「そりゃ・・ネ・・でもまあ、継続していれば、必ず正しい評価が定着するという確信はもっているわけだから・・」

 そう、継続こそチカラなり・・なのです。

 ところで、そのテーマをもっと突っ込み、「それは、反町さんが嫌われているということなのだろうか・・?」なんていう質問に発展させることは封印しましたよ。こちらも、しっかりと自制はしているのです。あははっ・・

 あっと・・もう一つ。ハーフタイムに反町康治監督が言っていた「相手の挑発に乗らないように・・」というコメントの背景についても聞いてみた。

 「それは〜〜・・まあ、(ベルマーレがトップを走っていることで!?)よくあることなんですが・・言葉でこちらを挑発するような行為に乗らないように・・要は、しっかりと自制するようにと選手に確認したということです・・スポーツですからネ・・あくまでもフェアにプレーすることが大前提だと思うんですよ・・サッカー文化の本当の意味での振興という意味も含めてネ・・」

 私は、ドイツを中心に、フットボールネーションのプロの現場(トレーニングやゲームでのグラウンド上)で、どんなことが起きているのかについて、その「現実」をニュアンスまで知っているつもりです。まあ、確かに、そのことが一般に知れわたったら、ほとんど人々が「一旦は引いてしまう」でしょうね。

 でも、そんな「ある意味では野蛮な側面」がホンモノの闘いには必要不可欠なことも確かな事実です。プロサッカーは「際ビジネス」でもあるからね。一般の生活では起こりえないことが日常茶飯事でなければならないという性格も持ち合わせていなければならないというわけです。

 でも、反町康治監督が言うように、スポーツだから、フェアな闘いでなければならないという正論には、絶対的な重みがあります。アンフェアな(意図的に相手を傷つけるような!?)悪意に満ちた言動は「全方位」において、発展の妨げとなるのです。

 それは「組織体質」にも直接的にリンクしているテーマです。まあ、協会マターということだね。プロにかかわる全ての「ステーキホルダー」は、もう一度、真摯に、自らの(タスクの!?)目的を見つめ直さなければならないということです。

 建前論に聞こえるでしょうが、想像力と創造力を駆使し、(サッカーファンの方々も含めて!)しっかりと深く「目的」を見つめ直せば、おのずと「為すべき言動」が明確に見えてくるという普遍的な事実を(自分のためにも!)再認識していた筆者なのでありました。かしこ・・

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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