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2009_ヨーロッパの日本人・・やっぱりいいね、中村俊輔・・また、水野晃樹も「意志」を感じさせてくれた・・(2009年1月4日、日曜日)

やっぱりいいネ、中村俊輔。

 彼のゲームはいつも観ているけれど、年始ということで、そのプレーを、『意志』という視点で軽くコラムにまとめることにしました。意志のチカラ・・。そう、意志の発露としての、攻守にわたる全力ダッシュの量と質・・。

 このところ、基本的なポジショニングバランスと明確な戦術的タスク(攻守にわたるプレーの仕方)の計画を立て、選手に徹底させれば(システムって呼ばれているんですか?)うまくいく・・もしうまく機能しないとしたら、それは(ロジカルな!?)戦術的プランや基本ポジショニングが(ゲームの流れに応じて!?)うまく噛み合っていないからだ・・なんていう数学的な(!?)議論がまかり通り『過ぎて』いるように思う。

 もちろん「意図」としての戦術的ディスカッションは尽くされるべきだけれど、とはいっても「過ぎたるは及ばざるがごとし」だからネ。サッカーでは、選手の『意志』によって、「1」足す「1」が、「2」だけじゃなく、「3」にまで増幅したり、はたまた「1」に成り下がっちゃうことだって、あるんだよね。

 戦術的なディスカッションは、やはり「過ぎて」しまっては、単なるマスターベーションということになっちゃう。もちろん、そんな評論を、聞いたり読んでいる方には『何となく分かり易いから!?』心地良いという側面もあるんだろうけれどネ。

 わたしは「クリエイティブなルール破り・・」なんていう表現をするけれど、コーチにとって最も大事なタスクの一つが、選手のプレーマインドを、基本的なチーム(ゲーム)戦術プランを100パーセント遂行しようとしながらも、チャンスとあらば、その基本的な取り決めを、チームのために「前向きに破っていく」ような積極的なモノへと高揚させることだと思っているのですよ。

 イレギュラーするボールを、身体の中では比較的ニブい足で扱うという、不確実な要素が満載されたサッカーだから、瞬間的に変化しつづける状況と対峙するなかで、常に考えつづけながら『勇気をもって』リスクにもチャレンジしていかなければ、何も生み出すことは出来ないのですよ。

 そんなメカニズムをしっかりと理解している中村俊輔。この試合でも、もちろん守備からゲームに入っていきます。汗かきのチェイス&チェックだけではなく、次のボール奪取ポイントへ向かうときの勢いにしても、まさにホンモノ。相手からボールを奪い返すという明確な意志を感じます。

 だからこそ、仲間から、守備でも(!!)大いに期待され、レスペクトされている。よくいるじゃないですか、仕方なく「相手を追う振り」をするような「似非の」才能系プレイヤー。それって、チームにとっては、まさに邪魔なだけのプレーなんですよ。その守備アクションを「計算」して次のカバーリングポジションに入ったにもかかわらず、肝心なときに、その「才能選手」がマークに戻っていない・・とかさ。

 もちろん中村俊輔も守備でミスはするけれど、それは全力でトライした結果だからね、ぬるま湯の勢い(いい加減な意志)で守備参加し、肝心なところで、マーキングのダッシュの勢いを緩めて相手を「行かせて」しまうような才能系プレイヤーの犯罪行為とは、意味がまったく違うのです。

 そんな汗かきのチームプレーがあるからこそ、彼にボールが集まる。もちろん、彼がボールを持てば、彼の「魔法」を期待して(要は、良いパスをもらって良いプレーが出来るために!)周りが動きます。そう、前半8分に、決定的スペースへ抜け出したサマラスのようにネ。そして、例によって、そのサマラスのアクションにピタリと合わせたスーパースルーパスが通された(サマラスのダイレクトシュートは、わずかに左ポストを外れてしまった!)。フ〜〜、ため息が出る。

 シンプルなタイミングで繰り出すクリエイティブな組み立てパス・・次のスペース活用をイメージし、自らパス&ムーブすることでボールの動きをリードしたりする・・また、最終勝負をイメージし、自らがコアになった勝負コンビネーションをスタートしたり、ココゾッ!の勝負ドリブルにチャレンジしたり・・そして例によっての、スーパーなフリーキック・・いいね・・

 最後に、その中村俊輔と交代して出場した水野晃樹についてもショートコメント。

 よかったですよ。前回レポートしたレンジャーズ戦から比べれば、『意志』のレベルには確固たるものが感じられました。危機感・・!? まあ、そういうことなんだろうね。しっかりと、ぬるま湯(中途半端)ではない守備参加からゲームに入っていったし、そこでのボールを追うダイナミズムを次の攻撃での仕掛けプレーに「乗せ」ようとする意図も明確に感じられた。

 もちろん、そんな意志のバックグラウンドが、常にグラウンド上の現象に結びつくはずもない。たしかに現象面では、そんなに良いシーンはありませんでした。ただ、攻守にわたる、ボールがないところでの「強い意志をベースにしたプレーコンテンツ」には、人々の心を動かすモノが内包されていたことだけは確かな事実だった。そんな意志の発露があるからこそ「次」があるのですよ。前回につづいて、もう一度・・ガンバレ水野晃樹!

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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