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2009_ACL_決勝トーナメント・・本当に残念・無念の敗北だった・・(アントラーズvsFCソウル、2-2、PK: 4-5)・・(2009年6月24日、水曜日)

「勝負事だから、負けることもあるさ・・大事なのは、そこから(何かを前向きに)学ぶところにあるんだよ・・」

 アントラーズのオズワルド・オリヴェイラ監督が、そんなニュアンスのことを言っていた。グッドルーザー・・。もちろんその背景に、成功体感を積み重ねているからこその(栄光の歴史に支えられているからこその)心の余裕があることは言うまでもない。

 とはいっても、アントラーズに、サッカー内容で一日の長があったことは明らかだったし(その結果として!?)作り出したチャンスの量と質でも上回っていたから、たしかにガッカリした。小笠原満男が退場処分になって一人足りなくなっても、一人ひとりの(闘う)意志が高揚するなかで立派なサッカーを展開し、観ている方に大いなる希望を与えてくれたからね。

 でも・・まあ、仕方ない。

 FCソウルにしても、強烈な闘う意志を前面に押し出しながら、シンプルなパスと、パス&ムーブをコアにした忠実な人の動きを組み合わせながら、何度もチャンスを作り出していた。特に、一つのチャンスの流れを(強烈な意志に支えられた!?)シンプルなボールの動きと忠実な人の動きをベースにシュートまで持っていってしまう「頻度」では、アントラーズを上回る時間帯もあったよね。

 「選手たちは、忍耐強く(力強い)アントラーズの攻めを受け止め、そして(勇気ある攻め上がりで!?)しっかりとチャンスを作り出していた・・」

 2002日韓ワールドカップで三位に輝いたトルコ代表を率いたFCソウル監督セノール・ギュネスがそう胸を張っていた。そう・・たしかに、FCソウルが展開したサッカーを表現するとしたら、そのニュアンスは「そんな感じ」。

 とはいっても彼らは、決して、引いて守備を固め、そこから一発カウンターを狙ったというわけじゃない。ボールを奪い返した次の瞬間から、強烈なエネルギーを放散する「人とボールの動き」がアントラーズゴールへ向かって「爆発」しつづけるのですよ。

 勇気ある(強烈な意志が込められた)勝負パスと忠実な人の動き(パスのレシーブアクション)の、シンプルでチャレンジャブルな(リスクを恐れない)コンビネーション。そんなプレー姿勢だからこそ、彼らは(積極プレー姿勢だからこそミスパスが少ない!)組織的な流れからだけではなく、セットプレーでも、ニアポスト勝負で、何度もアントラーズゴールを脅かした。

 全体的なサッカーの内容では、前述したように、アントラーズに一日の長があったけれど、勝負にこだわる(勇気あふれる)意志のエネルギーという視点では、確実に、FCソウルもタダ者じゃなかった。

 とにかく、久しぶりに、とても内容の濃い勝負マッチを魅せてもらった。本当に、最後の最後まで(時間が経つのを忘れて)グラウンド上の現象にクギ付けになるのも道理でしたよね。

 ここからは、戦術的な現象についても、簡単にレポートしておくことにします。

 抜群の「イメージシンクロ・レベル」を誇る、アントラーズの「ロング勝負コンビネーション」について・・

 要は、最前線プレイヤーが「決定的スペース」へ飛び出す動きと、後方から(その動きに合わせて)送り込まれるロング勝負パスの「見事なコンビネーション」のこと。

 野沢拓也が、本山雅志が、マルキーニョスが、そして興梠慎三が、後方でボールの動きが落ち着いた次の瞬間(そのボールホルダーと視線が合った次の瞬間)相手ディフェンスラインの背後に広がる決定的スペースへ向けて全力スプリントで抜け出していくのですよ。興梠慎三が陥れた先制ゴールも、まさしく「そんなイメージ・シンクロ」から生まれたモノでした。

 また前半20分に飛び出した、マルキーニョスの決定的ヘディングシュートも、同じようなイメージの共有をベースにした勝負コンビネーションによるものでした。

 ボールを持った小笠原満男と、最前線で動き出そうとしていたマルキーニョスの視線が一瞬交錯し(瞬間的なアイコンタクト)次の瞬間、マルキーニョスが爆発した。そして、マルキーニョスがイメージする決定的スペースへ向けて、小笠原満男の右足から、ピタリの勝負ロングパスが送り込まれた次第。

 でも、そんな「ロングパス勝負コンビネーション」が、徐々に目立たなくなっていった。そして私は、ハタと考えた。それは、FCソウルの守備ブロックが、アントラーズのロングパスコンビネーションに守備イメージを合わせてきたのか、それとも、アントラーズの側に問題があったのか(パス出しがうまくいかなくなったり、決定的ロングパスを呼び込むフリーランニングが出てこなくなったり・・)。さて・・

 わたしは、その両方だと思っているけれど、まあ、どちらかといったら、パスを呼び込む決定的な全力スプリントが(それを実行する意志のチカラが)減退したというバックグラウンドがもっとも大きかったかな・・

 最後は自由にプレーせざるを得ないサッカー・・だからこそ、主体的な観察と決断、そして実行力が問われる・・

 もちろん、守備でも、攻撃でも、味方との組織コンビネーションは大事。だから、互いの戦術的なイメージの共有(イメージシンクロ)は重要です。でも、それ以上に大事なことは、自由であるからこその(与えられた自由への可能性を維持するための)意志のチカラなのですよ。

 あっと・・戦術的な現象というテーマなのに、最後はやっぱり『意志』という心理・精神的な領域に入っていかざるを得ないか〜〜。まあ・・ネ・・必然と偶然が、とめどなく交錯しつづけるのがサッカーだから・・。

 ちょっと「まとまり」がなくなってきたかも・・スミマセン・・眠気が・・ということで今日はこのあたりで・・オヤスミナサイ・・グ〜グ〜・・

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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