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2009_チャンピオンズリーグ_いろいろ・・そして鎌倉の「シーキャッスル」についてももう一度・・(2009年3月12日、木曜日)

この一両日、ゲームを観すぎてお腹が一杯になってしまった。ヨーロッパとアジアのチャンピオンズリーグ。

 ヨーロッパCLでは、まあほとんど順当という結果になったと思いますよ。良いサッカーを展開した方のチームが、しっかりと結果も手中にした。要は、世界選抜チームの天才連中が、攻守にわたる「汗かきプレー」にも精を出したチームが順当に勝利を収めたということか。

 そんな勝負マッチを観ながら、私は「サッカーの絶対的ベースは守備にあり・・」という事実を再認識していました。

 ・・ポジショニングバランス・オリエンテッド(縦横に動きつづける相手マークを受け渡す)ディフェンスという発想をベースに、忠実でダイナミックなチェイス&チェック(汗かき)という守備の起点プレーを「ほとんど」の天才が繰り返す・・守備の起点がしっかりしているから「次のボール奪取勝負」がより鮮明に見えてくる・・

 ・・だからこそ、マークする相手との間合いを意図的に「空けて」パスを出させるような余裕のポジショニングプレーも可能になる・・だからこそ、次のボール奪取ポイントでの協力プレスが繰り返されるような「瞬時の集散プレー」が素晴らしく機能する・・

 ・・そして、だからこそ、次の攻撃での、ボールがないところでの動きが活性化することで組織パスプレーが高揚する・・だからこそ、最終勝負を仕掛けていく際の「組織コンビネーション」と「個人勝負プレー」のオプションにも広がりが出てくる・・もちろん、だからこそ天才による勝負ドリブルも「より」良いカタチで仕掛けていくことが出来る・・などなど・・

 そんな発想ベースで観ていたから、たしかに一瞬でも退屈することはなかったけれど、ホントに疲れた・・。でも、リヴァプールとマンUが魅せた、攻守にわたる素晴らしいダイナミックサッカーには疲れを忘れるくらい引き込まれた。あっと・・バルサやバイエルン、ビジャ・レアルも素晴らしかったよね。

 要は、ヨーロッパビッググラブの「世界選抜」チームのなかで、守備を絶対的なベースにする「チーム戦術コンセプト」が、プレーの具体的イメージとしてチーム内に浸透し、それを高い実効レベルでグラウンド上で表現できていたチームが勝ち抜いたということだけれど、このポイントについては、以前、ある雑誌で発表した「世界選抜チームの功罪」というコラムを参照してください。

 さて、アジアチャンピオンズリーグ。開幕ゲームについては、昨日のフロンターレ対天津戦だけはスタジアム観戦しました。

 フロンターレについては、後で簡単にレポートするけれど、その前日の火曜日に行われた開幕マッチでは、ガンバとグランパスが一クラス上のサッカーで順当な勝利を収めた。まあグランパスは、攻守の「流れ」がスムーズに機能するまでに、ちょっと時間がかかったけれどネ。

 でもアントラーズは、韓国の水原に「4-1」でうっちゃられた(アウェーゲーム)。私はまだこの試合のビデオを観ていないのですが、聞くところに拠ると、まあまあのペースで立ち上がったアントラーズが、前半には何度かチャンスを作り出したけれど、相手の大きな展開でディフェンスラインが振り回されて先制ゴールをブチ込まれ、守備の組織イメージを整理できないうちに追加ゴールを奪われたとのこと。その後は、積極的に攻め上がる「逆モーション」をうまく突かれたカウンターで失点を重ねたと聞きました。

 素晴らしくソリッドにまとまった「あの」アントラーズが、こんな大敗を喫するなんて・・。自身の学習機会としても、後で、しっかりとビデオでサッカーを確認しよう。

 ということで、締めはフロンターレ。昨日のゲームについては、ホントに勝ててよかった・・ってな、どちらかといったらネガティブニュアンスの印象が残りました。

 要は、フロンターレのサッカーに十分なダイナミズムが感じられなかったということです。立ち上がりは、ある程度は機能していたと思うけれど、先制ゴールを奪ってからは、足の止まった沈滞サッカーに終始してしまう。それだけではなく、相手の天津に攻め込まれ、流れのなかで何度も「ウラの決定的スペース」を突かれたり、セットプレーで大ピンチを迎えたりといった体たらくでした。

 まあ、後半になってフレッシュな選手が登場してきてからは少しは動きが活性化したけれど、ゲーム全体としては、大きな課題が残ったとするのが正しい評価でしょう。

 「いま攻撃的なサッカーと言われたが、その大きな部分は、個人のチカラによるモノだったと思っています・・今シーズンは、攻撃を、より組織寄りにシフトしていかなければならないと思っています・・」

 先制ゴールを奪ってからは、どうも足許パスばかりが目立つという印象の方が強く残った・・我々が期待するフロンターレの攻撃サッカーとはほど遠かったという印象なのだが・・。そんな私の質問に対し、関塚監督が、例によって真摯に答えてくれました。

 たしかにフロンターレには優れた個の才能が揃っている。ジュニーニョ、ヴィトール・ジュニオール、レナチーニョ、チョン・テセ。そして中村憲剛、谷口博之、森勇介、村上和弘、黒津勝・・など。

 でもこの日のサッカー内容となると、どうも(関塚監督の発言ニュアンスに含まれていたように!?)前戦の四人と、守備的ハーフコンビ(憲剛と谷口)とサイドバック(伊藤宏樹と山岸智)が、前後分断気味になっていたという印象が残りました。そういえば関塚監督は、「しっかりと(前後左右の)ポジションチェンジも繰り出していけるようにならなければならない・・」といったニュアンスのことも言っていた!?

 前半16分の決勝ゴールは、ヴィトール・ジュニオールの勝負ドリブルから送り込まれた見事なクロスボールをレナチーニョがヘッドで決めた得点だったわけだけれど、関塚監督は、あくまでも人とボールがしっかりと動きつづけるような優れた組織プレーを基調にしながら、この決勝ゴールシーンのような、個の才能を最大限に活用できるような最終勝負をイメージしているということなんだろうね。フムフム・・

 タレント(才能)主導から組織コンビネーションイメージ主導のサッカーへの軌道修正。ジュニーニョの「衰え」が顕著になってきたことも考え、今のフロンターレには、確かにそのイメージの修正が必要だと思う。

 それだけじゃなく、中盤でのリーダーシップ強化にも取り組まなければ・・。

 要は、中村憲剛。彼は、中村俊輔のように、もっともっと「我を全面に押し出さなければ」ならないと思いますよ。叱咤も含む自己主張。彼には、そんなリーダーシップを発揮できるだけの絶対的なバックボーン(優れたプレーコンテンツ)があるし、チームメイトも期待していると思うのですよ。

 この試合では、天津が展開した強固なディフェンスもあって、時間の経過とともに、まさに「笛吹けど踊らず」といった倦怠感がグラウンド上に蔓延していったわけだけれど、そんな雰囲気を、憲剛が中心になって打破し、サッカーのペースを爆発的に高揚させるのですよ。

 昨日の試合は、強力守備に対抗していかなければならない状況だったからこそ、自分たちのとっての理想的な「学習機会」でもあったはずです。

 要は、様々な主体的チャレンジを繰り出していくチャンスだったということです。型にはまらず、爆発的にテンポをアップさせるコンビネーションを繰り出していったり、積極的にアーリークロスや中距離シュートにトラしたり。そんな「攻撃の変化」こそが望まれていたわけで、中村憲剛には、そんな「変化」のリーダーとなって欲しかったわけですね。

 今シーズンは、フロンターレの「進化」にも注目だね。

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 最後になりましたが、私のもっとも近い友人たちが「ジャパンタイムス」に記事として採りあげられたのでお知らせします。

 鎌倉の長谷にある「シーキャッスル」というドイツ料理レストラン。彼らについては、以前も書いたことがあります。その「コラム」も参照していただきたいのですが、その彼らが、今度はジャパンタイムスでも採りあげられた。嬉しくて、その「記事」にリンクを張っちゃうことにしました。

 鎌倉へ行ったら、是非、長谷にある(長谷の海岸沿い!)シーキャッスルにお立ち寄り下さいネ・・あははっ・・

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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