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2008_ACL_決勝の2・・アジアの強豪ネーションという「イメージ価値」・・ガンバに感謝!・・(アデレード対ガンバ、0-2)・・(2008年11月12日、水曜日)

よ〜しっ! やった〜っっ!! よし、よし、よ〜しっっっ!!! そんな気持ちの昂(たか)ぶりがおさまった後には、とにかく本当によかった・・と胸をなで下ろしていました。これで、日本のクラブが2年連続して「ACLチャンピオン」のタイトルをゲットした・・。

 日本代表だけではなく「J」のクラブも、「アジアの強豪フットボールネーション」という日本サッカーのイメージを(世界中に!)深く浸透させるプロセスに大いに貢献しているじゃありませんか。素晴らしい・・

 この「イメージ価値」には、ものすごく重要な意味が内包されているのだけれど、まあ「それ」は、日常的に体感できるものじゃないよね。それは、長いスパンにおいて、経済的にも文化的にも、21世紀の日本にとって、とてもポジティブな役割を果たすに違いない価値なのですよ。まあ「そのこと」を体感するためには、それなりの「異文化接点(国際的な)シチュエーション」に入っていかなければならないだろうけれどネ。

 ちなみに、第一戦コラムと同じ書き出しになっ最初のガッツポーズ(それと掛け声)はルーカスが、佐々木のシュートからのこぼれ球に飛び込んで先制ゴールを挙げたとき瞬間的に出たものでした。ただ、同じルーカスが、まさにワザありという「シュート・リズム」で二点目を決めたときは、単に「フムフム・・」と、ルーカスのシュートの「巧さ」に舌鼓を打っていた。

 その決定的な二点目ゴールは、二川からのスルーパスを、職人技のボールコントロールでトラップし、その流れのなかで、相手GKの飛び出しアクションを冷静に見極めながら、まさに「二軸動作」的に、トット〜ンという「リズム」でゴールへ流し込んだスーパーシュートでした。

 このシーンでは、何といっても「トット〜ンという二軸動作リズム」というテーマが大事。日本人は器用なんだから、全てのボールコントロールアクションだけではなく、シュートなどの決定的アクションでも「トット〜ンの二軸動作リズム」が出てくるように、子供からプロまで徹底的にイメージトレーニングしなきゃダメだよね。ジダンなどの希代のテクニシャンのベースは、例外なく、この「トット〜ンという二軸動作リズム」なんだからね。頼みますよ、協会技術委員会さま・・

 あっと・・試合。

 アデレードの、攻撃のイメージシンクロ力(組織的にスペースを活用するチカラ等々)だけれど、ガンバにリードされてから攻め上がってきた第一戦を通じて彼らの実力レベルは分かっていたから、試合が始まる前から、ガンバが(西野監督が志向する!?)立派な攻撃サッカーでアジアの頂点に上り詰めることについては確信していましたよ。ただ・・そこは『サッカー』だからね、偶然が重なったら・・なんて、ちょっとは心配はしていたよね。

 でも、立ち上がりの「ゲームの流れ」を見ていて、そんな心配も霧散した。とにかく、ガンバが取り組んだ「積極的なディフェンスが」素晴らしかったのですよ。一人の例外もなく、汗かきプレー(チェイス&チェック=守備の起点プレー)から創造性プレー(美しいインターセプト)まで、見事に「有機的に連鎖」しつづけていた。

 たしかにゲームの立ち上がりはアデレードが爆発的な勢いで押し上げてきたし、そのなかで中距離シュートにトライしたり、アーリークロスから、ガンバゴール前で「高さの競り合い」になるシーンもあった。でも、それらのアデレードの「仕掛け」には、まったくといっていいほど本物のチャンスになる雰囲気がともなっていませんでした。

 それほど、ガンバ選手たちが展開する、ボールがないところでの忠実でダイナミックなディフェンスが素晴らしいハーモニーと機能性を魅せつづけていたのですよ。あっと、分かり難い美辞麗句ばかり・・。要は、中盤での組み立てプロセスにおける、気持ちの入った忠実な守備プレーだけじゃなく、最終勝負での「高さの競り合い」シーンでも、マークする相手から決して身体を離さなかったりなど、強い闘う意志をベースにした主体性プレーが素晴らしく機能しつづけていたということです。

 もっと分かり難くなったですかネ・・。とにかく、一人の例外なく全員が、攻守にわたって、ボールがないところで「も」全力で闘いつづけたということです。要は、攻守にわたっての「全力ダッシュの量と質」が素晴らしかったということです。そこにこそ、本当の意味での「意志」が明確に表現されるわけだからネ。

 ところで、この試合を中継したテレビ局の「映像」。それは、なかなか玄人好みでしたね。しっかりと「俯瞰」した映像作りだったから、攻守にわたる、ボールがないところでのドラマも堪能できた。だからこそ、ガンバが展開するサッカーの奥深さにも舌鼓が打てた・・というわけです。

 とにかく決勝については、実力の差がそのまま結果に現れたと言わざるを得ないわけだけれど、しっかりと(特に第一戦で、相手のゲーム戦術の逆手を取るような逆カウンターでゴールを積み重ねて圧倒した!)内容でも、そして結果でも、その実力差を明確に表現できたガンバには、心からの拍手を惜しまない筆者です。

 まあ、ガチガチに守って必殺カウンターを喰らわすというアデレードのゲーム戦術イメージが完璧に崩れたわけだから(逆に、両ゲームで、何度もガンバの必殺カウンターを喰らって撃沈してしまった!=アデレード守備ブロックには積極的に攻める際の守備のバランス感覚が欠如している!?)、それを考えれば順当なゲーム内容になったといえるだろうね。

 ということでガンバは、昨年の浦和レッズと同様に、今年のクラブワールドカップにおいて、欧州クラブチャンピオンとのガチンコ勝負にチャレンジできる可能性を勝ち取りました。そう、「あの」マンチェスター・ユナイテッドとのガチンコ勝負。

 いまから期待が膨らみつづけるけれど、その勝負ステージに到達するには、まず、オセアニア代表のワイタケレ(ニュージーランド)と開催国特別枠チーム(ガンバがアジア代表だから昨年と同様にACL準優勝となった「この」アデレードが出てくるハズ!?)の勝者を蹴落とさなければいけません。

 たぶん準々決勝には、このアデレードが進出してくるはず。そうしたら、ガンバとは、また「白紙のガチンコ勝負」が展開されることになる。一発勝負マッチのアデレードは、万博での第一戦のように、簡単な相手ではないよね。ガンバには、そのこともしっかりとイメージトレーニングしておいて欲しいと切に願っている筆者です。

 昨年のクラブワールドカップでは、これまた、ACL決勝の再現(レッズ対イランのセパハン)となった準々決勝に浦和レッズが勝ち、ACミランとの準決勝へと駒を進めることができた。とにかくガンバには、クラブワールドカップで「3試合」を立派に闘うことで、世界に対して日本サッカーをアピールし欲しいと願って止まない筆者なのです。ガンバレ、ガンバ・・

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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