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2007_CWC・・立ち上がりの2ゴールで既に勝負は決まったも同然だった・・(セパハン対ワイタケレ、3-1)・・(2007年12月7日、金曜日)

ありゃりゃ〜〜

 ゲーム立ち上がりの数分間で、二度も三度も、一発タテパスによってワイタケレ最終ラインが裏の決定的スペースを突かれてしまう。そんなシーンを観ながら、ため息が出たものです。何せ、そのうちの一つが、勝負の行方を決定づけるセパハンの二点目になってしまったわけだからね。

 個人のテクニックだけではなく、人とボールをしっかりと動かすという戦術的な組織プレーの発想レベルでも、セパハンに一日以上の長がありました。そのことについては、誰もが同意するでしょう。

 だからこそワイタケレは、何としてもゴールだけは死守しなければならなかった。とにかく、忠実な(そしてハードな!)プレッシングを基盤に守備プレーを有機的に積み重ねていくことで失点を防ぎ、徐々に、フィジカル的なぶつかり合いという大雑把なゲーム展開に持ち込むしかワイタケレのチャンスの芽はなかったわけだからね。それが・・

 ということで、勝負の行方は、実質的に、立ち上がりの2ゴールで決まったも同然でした。たしかに試合終了間際には、ワイタケレのパワープレーがセパハンを押し込んではいたけれど、それにしても、(点差が開いていたこともあって!?)セパハン守備陣にとっては、ある程度の余裕をもって受け止められるレベルだったに違いありません。

 とはいっても、フィジカル要素を前面に押し出した一発の放り込み攻撃や、パワフルなロングシュート攻撃をつづけられたら、いくら屈強なセパハン守備ブロックといえども、心理的に押され気味になるのは当然の流れです。要は、心理的に受け身になることで(物理的に)足が止まり気味になってしまうということ。

 不確実な要素が満載されたサッカーでは、主体的に、そして全力で(特にボールがないところでの!)仕事を探しつづけるというプレー姿勢こそが大事なのですが、そのマインドに少しでも「陰り」が見えた次の瞬間には、心理的な悪魔のサイクルというワナが頭をもたげてくるものなのですよ。

 だからこそセパハンにとっては、3点のアドバンテージという心理的なバックボーンが大きかったとも言える。逆からすれば、もし最小のゴール差(要は一点差)でゲーム終盤に突入していたら、本当に勝負はどちらに転んだか分からなかったとも言えるのですよ。

 「このフリーキックが決まったら、確実に延長に突入するぜ・・」。「3-1」とワイタケレが迫った状況で、セパハンのペナルティーエリア内で間接フリーキックが与えられたとき、隣に座るジャーナリスト仲間にそんな声を掛けたものでした。

 またまた、そんな「タラレバ」のハナシになってしまったけれど、とにかく最後の時間帯でワイタケレが繰り返したシンプルな仕掛けには、それ相応のパワーと迫力が放散されていたのですよ。だからこそ、「もし最少ゴール差で終盤に突入していタラ、手に汗握るドラマを堪能できたかも・・」なんていうことも考えてしまったわけです。

 さて、セパハン。この試合では、熱を出した主力の三人が出ていませんでした。それでも、前述したとおり、高質なサッカーを展開していた。明らかにイランは、中東地域の他の国とはプレーイメージが違うのですよ。個人的なチカラが、組織的に活かされていると感じます。あくまでも人とボールをしっかりと動かす組織プレーを基盤に、ココゾ!の場面では、勇気と責任感をもった個人勝負に挑んでいく。

 そんなセパハンに、アジアチャンピオンズリーグ決勝でも、レッズは苦しめられた。それに今回の対戦では、レッズの絶対的な仕掛けリーダーであるポンテがいない。さて・・。とにかく、月曜日に豊田スタジアムで行われる勝負マッチが楽しみで仕方ありません。もちろん私も豊田へ駆けつけますよ。

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 しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(ウーマン)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま四刷り(2万数千部)ですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞、東京新聞の(また様々な雑誌の)書評で取り上げられました。NHKラジオでも、「著者に聞く」という番組に出演させてもらいました。また、スポナビの宇都宮徹壱さんが、この本についてインタビューしてくれました(その記事は「こちら」)。またサボティスタ情報ですが、最近、「こんな」元気の出る書評がインターネットメディアに載りました。

 




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