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2006_ヨーロッパの日本人・・中村俊輔がハットトリック!?・・(2006年10月16日、月曜日)

さて、難敵のダンディー・ユナイテッドとのアウェー戦にフル出場し、そこでの快勝に大きく貢献した中村俊輔。

 実は、前半のプレーを見ていて、レポートする気力が完全に失せていた湯浅だったのです。攻守にわたって、まあまあの(ボールなしの)動きはみせるけれど、パスレシーブについては、足を止めて横パスを受けようとする姿勢が目立ちすぎていたし、ボールを持っても、リスクチャレンジマインドが中途半端だから(まあ、周りの味方のパスレシーブの動きが悪かったこともあったけれど・・)ミスの方が目立ってしまう。こりゃ今日はダメだな・・と、ラップトップのディスプレイを閉じたのですよ。そしたら・・

 まあ、中村の一点目と二点目は偶発ゴールという性格のものだったよね。もちろん、絶好のこぼれ球が自分の眼前に転がってきたとはいっても、それをキッチリと決めたことは高く評価すべきだけれど、それで私のレポートモティベーションが高まることはありませんでした。でも後半13分に挙げた、中村自身の3点目は素晴らしかった。自らがリードするワンツーコンビネーションから抜け出し(そこで最後まで走り抜けたことが素晴らしい! このところ決定的スペースへの走り込みが目立つ!)、リターンパスを、まさに「ここしかない!」という相手ゴール左上隅へスムーズに流し込んだのですからね。これこそ、日本代表に欠けている「決定力」だ・・なんて快哉を叫んだ次第。

 それだけじゃなく、その5分前にセルティックが挙げた3点目シーンでも、そこに至るまでの「状況プロセス」をお膳立てしたのは中村俊輔でした。軽いタッチのボールコントロールから、例によっての「二軸動作タイミング」で流れるように正確なタテパスを通します。そのパス出しのタイミングが素晴らしかったから、受けた味方選手(マローニーだったと思ったけれど)は完璧にフリーで振り向けた。そして、決定的スペースへ走り抜けるヘッセリンクへの(当然の帰結のような)ベストタイミングのスルーパスが決まったという次第。それにしても、パスレシーブから素早いボールコントロール、そしてタテへのスルーパスに至る中村のボールタッチは魅惑的でしたよ。まさにビューティー。

 その後は、まさに中村の独壇場でした。忠実で効果的なディフェンス参加をベースに、よいカタチでボールに触りまくり、素早くシンプルなタイミングでボールを展開したり、タメを演出したり、ドリブル勝負から決定的なパスを供給したり。

 その背景要因としては、何といっても、攻守にわたるボールがないところでの動きが格段に活性化したという事実を挙げなければなりません。その動きがあったからこそ、プレーがシンプルになったし、パス&ムーブも活性化した。だからこそ、ボールを持ったときに、自分が得意なカタチで最終的な仕掛けプレーに入っていけたというわけです。

 彼も気持ちよかったことでしょう。それにしても、前半の「寸詰まりプレー」は大いなる反省材料だよね。味方のプレーも悪かったけれど、それとは関係なく、自分自身を奮い立たせ、しっかりとボールがないところで走ったり、しっかりと守備に参加することで、自分自身の全体的なプレーコンテンツを「主体的に」盛り上げなければならなかったと思うのです。反省のないところに進歩なし・・でっせ。

 後半の中村俊輔だったら、オシム日本代表にとっても確実にプラスでしょう。このところの彼の、攻守にわたる「汗かきマインド」は、悪くないですよ。もちろん、汗かきプレーの実効レベルにはまたまだ課題があるけれどネ。

 それらのテーマについて、またまた「このコラム」を参照してくださいネ。そこでの、(オシムさんに対する!?)アピール内容は、いま読み返してみてもまあまあまとまっているなと感じて悦に入る湯浅なのですよ。あははっ。

 追伸:このコラムは、後半の中村のパフォーマンスに刺激されて書く気になったのであって、決して彼のハットトリックがモティベーションではありませんでした。




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