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2006_CL・・次は中村俊輔のセルティック・・(2006年9月14日、木曜日)

さて、中村俊輔。全体的には劣勢というゲーム展開のなか、攻守にわたって、なかなかの存在感を発揮していた。まあ、とはいっても、(マンUにゲームを掌握されていたことで)チャンスメイカーとして、セットプレー以外で「実効ある仕掛けの流れ」を演出できていたというわけでもないけれどネ。

 全体的には劣勢という表現だけれど、それは、マンUがチーム戦術的な総合力の差を明確に見せつけていたということです。もちろん、マンUホーム(オールドトラフォード)ということもあるけれど。要は、マンUが、個の能力を加算した総計「以上」の全体チーム力を演出できていたということ。それこそが、あくまでも組織プレーというベースの上に立ち、そこに個の才能(個人勝負コンテンツ)を効果的に組み込んでいくというチーム戦術的な発想のタマモノだというわけです。

 そんなマンU相手だから、セルティック選手たちも、単純にロングボールを放り込んでも何も生まれないことをよく知っている。だからこの試合では、しっかりと人とボールを動かしながら仕掛けていこうという意識が強かった(皮肉なことに、ヘッセリンクの先制ゴールは、GKからの一発ロングから生まれたけれどネ!)。まあ、だから中村俊輔を積極的に探してパスを回そうとする意識が殊のほか強かったということです。(グラヴェセンにも!)頼りにされている中村俊輔。

 でも、マンUが相手ということで、中村俊輔の仕掛けコンテンツにも限界が感じられました。

 小さなワンツーはあるけれど、マンU守備ブロックを振り回したり、彼らの穴を突いたりするようなコンビネーションを演出できているわけではない。自らが決定的スペースへ飛び出していくようなワンツーも見られない。また、勝負ゾーンでのドリブル突破も見られないし、「それ」にチャレンジしようとする意志自体が脆弱だと感じる。

 やっぱり「気圧されて」いるのかもしれない。相手も中村の上手さを分かっているから簡単には「飛び込んで」こないわけだけれど、その「ウエイティング」の迫力に、中村が気圧されていた!? だから、タメは演出するけれど、結局は、勝負せずに安全な展開パス(横パスやバックパス)に「逃げて」しまうというシーンの方が目立ってしまう。フムフム・・。もちろん、十分な人数が攻撃に参加してきたら、彼を中心にした「タテへ仕掛けいく」コンビネーションも出てくるけれどネ。

 また、守備にも積極的に参加していた。もちろん「走りっこ」になったらかなわないけれど、チェイス&チェックやカバーリング、ボール奪取勝負へのサポートなど、クレバーに実効プレーを添加していました。だから、冒頭の、全体的にはなかなかの存在感という表現に落ち着いたわけです。「中村俊輔の意志とアピール」というテーマについては、先月のコラムを参照してください。

 それにしても中村俊輔のフリーキックは秀逸でした。同点ゴールだけじゃなく、その数分前の、ヘッセリンクのアタマに正確に合ったボールなど。ホント、素晴らしい。

 さて最後に、ちょっとおまけのテーマ。それは、相手にボールを奪われた次の瞬間が、最高のチャンス!!

 マンUが挙げた2点目と3点目のシーンだけれど、それが、まさにその典型例でした。そこでは、両ゴールともに、グラヴェセンの展開パスのミスがキッカケ。そこでボールを奪い返したマンUが、アッという間のパス交換でゴールを叩き込んでしまったのです。やはり、ボールを奪い返して「さあ、攻めるぞ」とチーム全体が前へ重心がかかった状態で、再び相手にボール奪い返されることほど危険な状況はない。だからこそ、攻めから守りへの転換の早さが重要な意味を持つというわけです。そこでは、「クソッ!」なんて悔しがっている暇などない。

 このテーマもまた、クレバーに編集した「ビデオ」を駆使したイメージトレーニングの対象でしょう。やり方によっては、ものすごく大きな効果がありまっせ。もちろん、才能ある選手たちを「もっと走るようにする」というテーマも含めてね。

 



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