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05_ジーコジャパン(68)・・今回のジーコ采配では、大会のなかで「闘う姿勢」がメインテーマになった!?・・でもまず中村俊輔から・・(日本vs韓国、1-0)・・(2005年8月7日、日曜日)

昨夜のことです。中継があるとはつゆ知らず、ある方からの連絡でセルティックの試合にチャンネルを合わせたときには、既に残り20分というタイミングになっていました。それでも、観はじめた次の瞬間には、俊輔が、ディフェンスで相手を効果的に追い込んでいくシーンが目に飛び込んできたのですよ。すぐにでもわたしが試合にのめり込んでいったのも道理じゃありませんか。

 次のシーンでは、後方から縦パスを受け、例によっての天才的トラップから素早く振り向いてシンプルな展開パスを出し、自らは右サイドの縦スペースへ向けて全力でダッシュしていく・・(結局パスはこなかったけれど、そんな汗かき自己主張プレーこそが彼の存在感を深化させる!)。また次のシーンでは、彼の天賦の才が存分に発揮されます。右サイドでボールを受け、自信満々のドリブル勝負から相手二人のマークを振り切ってロビングシュートを放ったのですよ。ギリギリのところで相手GKのアタマを越せなかったけれど、その勝負はまさに世界!ってな具合。

 いいね、ホントに。これからセルティックの試合は、スカパーでライブ中継されることになったと聞いていますし、「この試合」についても、水曜日に再放送があるらしい(できれば試合を全部観てからレポートするかも・・)。スコットランドは、イングランドのダイナミズムに軽快なパスワークがミックスしているのが基調だから俊輔にとってもやりやすいに違いない。要は、彼が仕掛けのコアになり(彼にボールが集まり)、周りがボールなしの勝負アクションを繰り広げるという理想的な展開になりそうな予感がするということです。

 もちろん「そんな流れ」を加速させるためにも、ボールがないところも含めた忠実で効果的なディフェンス参加だけではなく、シンプルな組み立てパスやボールがないところでの全力アクションなどなど、「組織プレーでの自己主張」を怠ってはいけません。それがあってはじめて、彼の才能が本当にカタチで活きる(味方によって活かされる)。もちろん彼自身も、「それ」によって大きく発展したことを深く体感しているハズ。だからこそ、まったく心配していない湯浅なのですよ。ところで、昨シーズンからの「大きな変身」・・というか、2003コンフェデレーションズカップ・フランス戦でのパフォーマンスレベルを常に発揮できるようになったことの背景要因が、いま一つ明確じゃない。もちろん彼自身の「覚醒」なんだろうけれど、それには何らかの「刺激」があったハズ・・さて・・。

 あっと・・ちょっと前段が長くなり過ぎた。さて、勝負の韓国戦です。

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 ホントに日本代表はよく勝った。この試合でのキーワードは、「意地・・」といったところですかね。北朝鮮とのゲームでは、緊張感(集中力)と闘う意志(リスクチャレンジへの意欲)がまったく感じられなかったチーム内の雰囲気を、自分自身が演出する「刺激」によって活性化させてみせるぞ!というジーコの意地・・「So Called」サブ組の、フザケルナよ、オレたちはセカンドチョイスじゃネ〜ぞ!という意地・・そして、一般的な「韓国にだけは負けられないぞ!」とか、「So Called」サブ組の、「ここで負けたら男じゃネ〜ぞ!」という意地・・等々。

 そんな、グラウンド上のスピリチュアルエネルギーの揺動を感じていたからこそ、観ている方も手に汗握るし、心から応援する・・だからこそ、当事者意識・参加意識も極限まで高まる・・だからこそこのゲームが、最高の歓喜のドラマになった・・っちゅうところですかね。タイムアップの瞬間、思わずガッツポーズが出ましたよ。そしてチームに対し、心から「おめでとう」と語りかけていました。

 それにしても日本はよく闘った。私は、特にクロスからのヘディングなど、中国戦での守備ブロックの不安定さがあったし、この試合の韓国が大きなフォワードを先発させてきたから、ちょっと心配していました。でも韓国は、シンプルに放り込むような攻撃を仕掛けてこなかった。要は、試合前のイメージ作りに、そのような仕掛けコンテンツが含まれていなかったということなんでしょう。もちろんそれには、日本守備ブロックが、サイドをしっかりと抑えることで簡単にクロスを上げさせなかったということもあったに違いありません。また日本の中盤ディフェンスの「抑え」もよく効いていたから、簡単に決定的スペース(ウラ)を突くような仕掛けを許さなかったというポイントも目立っていました。だからこそ韓国は中距離シュートに頼らざるを得なかったということでしょう。

 巻は、ねばり強く闘いつづけました。爽快です。持てるチカラを、物理的にも心理・精神的にも限界まで出し切ろうとするプレー姿勢。それこそオシム市原の真骨頂(昨日のナビスココラムを参照してください)。それこそが人々の感動を呼ぶのですよ。私は、巻の闘う姿勢に感動を覚えていました。また、今野にも阿部にも、村井にも駒野にも、それ以外の選手たちにも・・。

 ジーコは、「So Called」先発組に対し、闘う姿勢の重要性を、叩きつけるように再認識させたかった!? だからこそ、中国戦では「横パスのやり過ぎ」という消極姿勢が目に付いた時間帯があったにせよ、全体的には(リスクチャレンジあふれる)吹っ切れた闘うサッカーを魅せたチームに、もう一度チャンスを与えることで、闘う姿勢の重要さを強調したかった・・!? 

 ということで私は、この二試合におけるジーコの采配(チームマネージメントの意志コンテンツ)をポジティブに見ていました。もちろん「前述した仮説」は、韓国に勝ったからこそ「より明確に輪郭が見えてきた」ポイントです。その意味でも、この試合に勝てて本当によかったと思っている湯浅でした。だからこそガッツポーズまで出た・・っちゅうわけです。

 



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