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2022_日本代表(WM最終予選)・・森保一が演出した、ハーフタイムの冷静なイメチェン!?・・ホント、サッカーって奥が深いよね・・とにかく、森保一ジャパン、オメデト〜ッ!!・・(オーストラリアvs日本、0-2)・・(2022年3月24日、木曜日)

「いや・・彼は強いから・・」

「オレだったら、すぐにアタマに血がのぼっちゃうけど、森保は、ものすごく冷静なんだよ・・」

例によって、ダゾン解説に登場した名将、岡田武史が、森保一について、そんな素敵なコメントをブチかますんだよ。

ところで・・

そのコメントの背景ストーリーだけれど・・

前半のゲーム展開・・

そこでのダゾン解説&ゲスト陣(牛若丸、内田篤人、岡田武史)が、異口同音に、とても心配していたんだ。

「これは、安心して観ていられないゲーム展開だよな〜・・」

「何か、前半から、ノーガードの打ち合い的な展開になっちゃってる・・」

わたしも、「引き分けでもいいんだから、完璧なチャンスの流れ以外は、もっと落ち着いて組み立てていけばいいんじゃない・・」なんて感じていた。

何せ、森保一ジャパンは、組み立てプロセスでも、何度も、スペースを攻略できていたわけだから。

でも、たしかに・・

その前半、森保一ジャパンは、何度も、決定的なゴール機会を創りだした。

でも・・

そう、その「反作用」として、オーストラリアの、とても危険な、カウンター気味の仕掛けを喰らいつづけたんだ。

コトの経緯(発端!?)は・・

オーストラリア守備陣が「甘い」コトで、森保一ジャパンが、繰り返し、とても良い「仕掛けの流れ」を創りだせていたっちゅうコトだろうね。

スピードスターの浅野拓磨と伊東純也への「一発ロングパス」だけじゃなく・・

組み立てプロセスでも、スムーズで巧みな「人とボールの動き」をベースに、何度も、スペースを突いていけたんだ。

もちろん「周り」も、その仕掛けの流れイメージに「乗って」いく。

そう、後方からのサポートやオーバーラップなど・・ね。

でも・・

そう、そんな状況じゃ、やっぱり、様々な意味合いを内包する「人数的&ポジショニング的」なバランスが、「前掛かり」になってしまうものなんだよ。

そして、仕掛けプロセスが「フィニッシュ」までいけずにはね返され、それが効果的なタテパスになったりする。

それを、仕掛けリーダーの「フルスティッチ」が、フリーで受けちゃうんだよ。

彼は、パスもできるし、ドリブル突破にも威力を発揮する。

そして・・

そう、「そこ」から、効果的なクロスが送り込まれたり、決定的なパスを通されたり、はたまた彼にドリブルシュートまで喰らったりする。

何度も、肝を冷やした。

それが、前半の展開についてダゾン解説陣が異口同音に語っていた、「落ち着かないゲーム展開」っちゅう表現になったわけだ。

ところが・・

後半になったら、そんな「チャンスをゴリ押し的に広げようっ!?」ってな、「行き過ぎ」の雰囲気が、見るからに、落ち着いていったんだよ。

「森保が、落ち着いて仕掛けていこう・・行き過ぎに注意しよう・・なんていう指示を出したに違いない・・」

もちろん、岡田武史です。

また牛若丸や内田篤人も、異口同音に、「そうそう・・」なんていうニュアンスで、アグリーしていたっけネ。

たとえばサイドゾーンからの仕掛けシーン・・

そこで、パスを受けたサイドハーフ(南野拓実か伊東純也)。

そんな仕掛けチャンスじゃ、サイドバックの山根視来や長友佑都(中山雄太)が、オーバーラップを狙うのも道理。

でも・・

そう、後半は、そんな仕掛けチャンスでも、ボールホルダーのサイドハーフは、無理せず、落ち着いた展開パスを中央ゾーンへ「戻し」たりするんだよ。

そんなシーンを観ながら、三人の解説陣が、「そうそう・・それだ〜っ!!」なんてね。

「どう!?・・後半は、安心して観てられるようになったじゃない・・」

もちろん、岡田武史のコメント。

たしかに・・

岡田武史も言っていたように(もちろん私も!)、森保一ジャパンの方が、地力で、明らかに、オーストラリアよりも上なんだよ。

そんな現実をしっかりと理解しているオーストラリアだからこそ、カウンターや、クロス攻撃(セットプレー)での勝負をイメージしているっちゅうわけだ。

このテーマについては、ヴィッセルとメルボルンが対峙した、ACLプレーオフのコラムをご参照あれ。

ということで前半は・・

森保一ジャパンが、そんなオーストラリアのゲーム戦術に「はめ込まれ」かけたっちゅうわけだ。

でも後半は、「冷静な」森保一が、ただしく対処した。

そしてゲームが、日本にとって、とても有利な、「落ち着いた」展開へと、正しくポジティブに変容していったちゅうわけだ。

まあ、森保一による見事な采配ではあった。

とにかく・・

森保一ジャパン・・オメデトウございました。

日本のサッカー人の一人として、心から称賛し、感謝します。

あっと・・

そういえば・・

もう20年ちかく連載をつづけている「商工ジャーナル」という雑誌で、一月前に、こんなコラムを発表したっけ。

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「そりゃ、一度、地獄をみることだよ・・」

友人のドイツ人プロコーチと、覚醒というテーマで話し合っていたときのことだ。本来チカラのあるチームが調子を崩したとき、そのパフォーマンスを劇的に復活させる効果的な刺激は何か・・。そんな問いかけに、ソイツが、間髪を入れず、そう応えた。

森保ジャパン。彼らは、W杯アジア最終予選で、まさかの窮地に立たされた。初戦で相まみえたオマーンに、ホームだというのに足許をすくわれ、次の中国戦は勝ち切れたけれど、3ゲーム目のアウェー、サウジアラビア戦では、バックパスのミスから一敗地にまみれたのだ。

3試合を終えた時点で、なんと、1勝2敗という崖っぷち。メディアでも、ネガティブコメントの嵐が吹き荒れる。しかし、そんな厳しいリアリティーを体感した彼らは、「何か」からフッ切れ、目を見張る起死回生ぶりを魅せることになるのである。

つづく、オーストラリア、ベトナム、オマーン、中国、そしてサウジアラビアと、5連勝を飾ったのだ。特に、先日、埼玉スタジアムで行われた最強サウジアラビアとの勝負マッチは、結果(2-0)だけではなく、内容でも凌駕するなど、まったくチャンスを与えない完勝だった。

そこで魅せた素晴らしいチーム力。それは、基本とも言える、攻守にわたる優れた「小さなプレー」の積み重ねに支えられていた。

たとえば守備では、素早い攻守の切り替えから、フルパワーで相手ボールホルダーを追い詰めたり、それに連動するマーキング、カバーリング、協力プレスと いった、目立たないハードワークをうまく回す。だから攻撃では、人目に付きにくい、ボールがないところでの「小さなサポート」が活性化し、ダイレクトパス を織り交ぜた美しい組織コンビネーションや、「エイヤッ!」の突破ドリブルも繰り出せるようになった。

チーム総体パフォーマンスは、そんな、攻守にわたる「忠実なチームプレー」を地道に連動させることによってのみ、高みで安定させられるのだ。そして、その絶対ベースが、強固な意識や意志といった心理パワーなのである。

地獄を体感させられた森保ジャパン。彼らは、「やるしかない」ところまで追い込まれたからこそ、「基本」に立ち戻ることができた。そして、完璧にフッ切れたマインドで、リスキープレーにも勇気をもってチャレンジしていけるようになった。

個人でも組織でも、どん底から這い上がりながら回復させた自信と確信は、とても、強い。

W杯アジア最終予選は、3月末に行われる2試合で雌雄が決する。まずアウェーでのオーストラリア戦、そしてホームでのベトナム戦。たしかにオーストラリア は強敵だ。でも、いまの森保ジャパンが内包する、最悪の状況から覚醒し、サバイバルできたからこその底力は、レベルを超えている。わたしは、この時点で既 に、森保一ジャパンのW杯アジア代表達成を、100%確信している。

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ということで・・

とにかく、良かった。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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