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2019_女子WM・・なでしこの粘りが、ゲーム内容をポジティブに変容させていった・・でも・・フ〜〜ッ!!・・(なでしこvsオランダ、1-2)・・(2019年6月26日、水曜日)

フ〜〜ッ・・まあ、仕方ない・・

とにかく、「高倉麻子なでしこ」が、男子の各種代表につづき、世界に「日本サッカー」をアピールしてくれたことに敬意を表します。

彼女たちは、それほど「立派な闘い」を魅せてくれたのだよ。

そのことだけは、再認識しなきゃいけない。

ゲーム内容の変遷・・

たしかに・・

我らが「なでしこ」が、その「立派な闘い」を展開できるまでには(立ち上がりの時間帯)、ちょっと、心理・精神的な紆余曲折があった。

そう・・

オランダがブチかます、スピード、高さ、パワーにあふれ、積極的にタテへ仕掛けていくフィジカルサッカーに、すこし「受け身」に立ってしまったんだ。

そんなコトは戦前から分かっていたわけだけれど・・

そこには、「なでしこ」のイメージを超えた(!?)オランダの進化があったのかもしれない。

そう、彼女たちは、テクニックや戦術でも、進歩しているんだよ。

イレギュラーするボールを足で扱うことで、不確実な要素が満載のサッカー・・

だから、ボールを確実に止め、しっかりと支配下に置いてコントロールする「基本テクニック」が、すぺてのスタートラインになる。

その意味で、立ち上がりのオランダが、フィジカル「だけ」じゃないことを、「なでしこ」に体感させたということなのかもしれない。

そして、そんな上手いボールコントロールから、ガンガンと、「タテのスペース」へボールを送り込んでいくんだ。

もちろん、そんなタテへの(ロングボール主体の!)仕掛けは、イメージ的には把握している「なでしこ」だから、的確に対処はしていた。

でも、「まずタテへボールを送り込み、そのセカンドボールを支点にする・・」ってなイメージのオランダは、たまに、とても危険な仕掛け(最終勝負の)プロセスを成就させそうになっちゃうんだ。

もちろん最後は、高さやスピードを駆使した、パワフルな個の勝負。

対する「なでしこ」は、オランダの、正確なタテへの「フィード起点」を抑えるというイメージで守備に入っている。

そう、パスの出所であるオランダの10番や8番を「フリーなボールホルダー」にしないというイメージで、前線からの「抑制ディフェンス」を展開するんだ。

そんな忠実で粘り強いディフェンスが機能するにしたがって、徐々にゲーム展開が、拮抗していったっちゅうわけさ。

「なでしこ」の攻撃・・

もちろん、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが、絶対ベースだよ。

前半20分に飛び出した決定的チャンスシーン・・

・・まず、岩渕真奈が、最前線スペースへ「動く」長谷川唯へパスを送り込む・・

・・同時に、菅澤優衣香が、タテの決定的スペースへ動きつづけている・・

・・そして、長谷川唯から、ダイレクトで、その菅澤優衣香への決定的パスが決まる・・

でも・・

菅澤優衣香のシュートは、惜しくも、(日本側から見た!)右ポストに弾かれてしまうんだよ。

でも私は、その最終勝負シーンが、「なでしこ」に与えた勇気の価値は、計り知れないと感じていたんだ。

そして思った通り、そのチャンスメイクから、「なでしこ」のサッカーが、攻守にわたって、立ち上がりの「受けに立つ心理状態」から解放されていくんだよ。

そして・・

そう、前半43分の、長谷川唯がブチ込んだ同点ゴール。

それもまた、人とボールが、「勇気満々に動きつづけた」ことの大きな成果だった。

そしてゲームが、両チームの「特長」が、ガップリ四つにせめぎ合う、エキサイティングマッチへと成長していくんだよ。

もちろん「なでしこ」は、様々な意味合いで、フッ切れたサッカーを展開できるようになっている。

だからこそオランダも、そう簡単には、ゲームの(勝負の!)流れのイニシアチブを握れない。

そこまで観ながら、「これは、なでしこ得意の粘りのゲーム展開になってきた・・」なんて、心躍らせていたんだ。

このままの「ゲームの流れ」ならば、かならず最後は勝利に結びつく・・ってね。

そんな私の「確信」が実を結びそうになったのが、後半26分に飛び出した、長谷川唯の、まさに決定的と言えるシュートシーン。

僅かに、右ポストを外れてしまったけれど、それこそが、観ている誰もがイメージしていたはずの、「なでしこの粘りチャンスメイク」が結実しそうになった決定機だった。

そこでは・・

たしかに、ボックス内でボールをキープする岩渕真奈の、スペースへ走り込む長谷川唯へのヒールパスは見事だった。

でもソレだけじゃなく、その前段階での、ボールをキープする長谷川唯を、全力スプリントで「追い越していった」鮫島彩のフリーランニング「も」また秀逸の極みだったんだよ。

そのフリーランによって、オランダ守備が引きつけられ、それが、長谷川唯の、少し余裕をもった、岩渕真奈へのタテパスにつながった。

それこそが、なでしこの「粘りの真骨頂」になるべきだったのに・・

あっ・・と・・

それ以外にも、後半35分には、籾木結花の決定的シュートシーンもあったし、その後には、杉田妃和のバー直撃弾、オーバーラップした三浦成美の決定的シュートシーンもあった。

そんな「粘りの決定的チャンスメイク」を観ながら、そして、タイムアップ寸前の、悔しい「PK」も体感しながら、高倉麻子は、とことんツキに見放された・・なんて思っていた。

監督に就任してから、よい仕事を積み重ね、成果も出していたのに・・

高倉麻子が志向しつづけた「なでしこコンセプト」は正しかったし、その「高み」へも、十分な実効を伴ったカタチで進化&深化していった・・と思う。

わたしは、今後とも、日本サッカーに貢献する彼女の良い仕事に、期待します。


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最後に、新規の「告知」です。

昨日(2019年6月10日)から、「The Core Column」を、カリオカ(ラモス瑠偉)との対談というカタチで再スタートしています。

まあ、私の自伝である「My Biography」については、まだ再スタートは切れていないけれど・・。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と考えている次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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