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2016_WM最終予選・・とても立派なサッカーを展開したハリルジャパン・・だからこそ、脅威と機会は表裏一体というテーマも!・・(オーストラリアvs日本、1-1)・・(2016年10月11日、火曜日)

攻撃に関する統計数字には、ポゼッション(ボールキープ率)以外に、シュート数と「枠内」シュート数がある。

でも、UEFAチャンピオンズリーグなどの本場では、(実効的な!)ゴールチャンス数という統計数字も使うことで、ゲームの内容を、より正確に表現しようとする。

まあ、決定的なチャンス(決定機)の量と質という視点だね。

「それ」で比べると・・

たしかにボールのキープ率では上回られていたけれど、「それ」では、決して日本が後れを取っていたわけじゃないんだよ。

特に、流れのなかから創りだしたゴールチャンスの量と質では、明確に日本が上回っていた。

まあ、たしかにオーストラリアは、例によってセットプレーでは、とても危険だよね。

特に、タイムアップ直前のフリーキックからブチかまされた、スピラノビッチのヘディングシュートは、「ほぼ失点のカタチ・・」だった。

でも、全体的なゲームの流れを観れば、それが完璧に「日本の流れ」にハマッていたことは誰の目にも明らかだったと思う。

たしかに、とても早いタイミングに原口元気の先制ゴールが決まったことで、少し「落ち着いたサッカーに入っていった」日本代表だったけれど、それでも、全体的なゲームの流れは、選手たちが描いていたイメージと、ピタリとシンクロしていたはず。

そう、究極の「守備意識&意志」をベースに、守備を、「ブロックとして固める」のではなく、あくまでも「激しく上下動」するダイナミック連動ディフェンスをブチかますんだ。

そして、素晴らしい機能性を魅せる、まさに「猛禽類の眼」でボール奪取チャンスを狙う、組織的なダイナミック連動ディフェンス。

そんなだから、次の、間髪を入れないカウンター「気味」の仕掛けに、人数をかけた複合フリーランニングを絡める、確かなダイナミズム(危険な雰囲気)を乗せられるのも道理だった。

そのカウンターの流れで「軸」になっていたのは、もちろん、本田圭佑。

彼の「眼」は、確かにハイレベル。

だから、彼にボールが入ると確信したチームメイトは、脇目もふらずにサポートに入ったり、2人目、3人目のフリーランニングで、決定的スペースへ走り抜けたりする。

そこには、本田圭佑に対する深い信頼があった。

もちろん、「そこ」が日本攻撃の「軸」だと分かっているオーストラリア守備も、パスを受けようとする本田圭佑に対しては、人数をかけて集中プレスを掛けてくる。

それでも本田圭佑は、とても高い確率で、シュートにつながるような実効レベルの高い「チャンスの流れ」を創りだしてしまう。

まあ、大したモノだ。

また、久しぶりに先発に名を連ねた香川真司も、攻守ハードワークと、仕掛けの流れのなかでのクリエイティブで危険なチャンスメイクで、気を吐いていた。

両サイドハーフ(原口元気と小林悠)も、強烈に意志に支えられ、しっかりと、守備からプレーに入っていった。だからこそ、多くのシーンで、カウンターの流れに後れを取ることがなかった。

長谷部誠と山口螢で組んだダブルボランチ。

2人とも、素晴らしいリーダーシップを発揮した。

彼らが魅せつづけた、自ら、仕事(ハードワーク)を探しつづけるプレー姿勢(強烈な闘う意志!)は、チーム全体に勇気をもたらしたことでしょう。

(そんな両サイドハーフとダブルボランチに支えられて!!)だからこそ、両サイドバックも、後ろ髪を引かれることなく、フッ切れたオーバーラップをブチかましていけた。

もちろん回数は限られていた。

でも、仕掛けシーンでの「意志と勇気のレベル」が高かったからこそ、何らかの惜しいチャンスにはつながっていた。

そして、だからこそ、チーム全体の「勇気レベル」を、より充実させられた・・と思う。

あっと、オーストラリア。

たしかに彼らは、組織パスサッカーへと変身を遂げた。

でも、組織サッカーじゃ、日本が、一枚も二枚も上手。

オーストラリア選手は、最初のマーク&チェックをかわせても、次のパスレシーバーのところで、ほんどの仕掛けの流れを潰されていたんだ。

また、流れのなかからクロスボールを送り込むシーンでも、(多くが日本の忠実プレッシャーを受けながらのクロスだったこともあって!?)よいボールは送り込めずにいた。

そんなゲーム展開だったからそ、最後の時間帯に、オーストラリア得意の(我々がイメージする!?)怖い仕掛けに特化していったのも道理だった。

そう、ハイボール&強力ヘディング勝負と、そこでの「こぼれ球」を狙った押し込み。

それは、まあ、純粋なフィジカル勝負。

でも、それは確かに、怖い。

サッカーの「質」を進化&深化させるために、組織パスサッカーへと舵を切ったオーストラリア。それは、とても正しいベクトルだと思う。

でも彼らは、それが上手くいかなくても、とても強力な「最終勝負ツール」を備えているんだよ。それが、高さを活かしたフィジカル勝負っちゅうわけさ。

考えてみたら・・

十年ほどの前の(ドイツW杯当時の!)オーストラリアは、組織サッカーに、そんなフィジカル要素や、個人勝負ファクターまでも兼ね備えた、とても強いチームだったよね。

でも、その「強力ジェネレーション」が過ぎ去った後に残ったのは、まさに「チカラ任せのフィジカルサッカー」だったんだ。

そこに登場した救世主が、(ギリシャ生まれでオーストラリアに移住した)アンジェ・ポステコグルー監督だったというわけさ。

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さて、日本代表。

これで、上位への進出は持ち越しになった。

でも私は、いまの状況を、とてもポジティブに捉えているんだ。

そう、脅威と機会は表裏一体。

何といっても、不確実なファクターが満載のサッカーは、究極の「意志のボールゲーム」だからね。

そう、緊張感にあふれた闘う意志(攻守わたって常に主体的&積極的に仕事をさがしつづける集中力!?)こそが全てなんだよ。

彼らは、オーストラリア、UAE、イラクは、厳しい相手だと体感(再認識)したはず。また一ヶ月後には、サウジアラビアとのホーム戦もある。

W杯の地域予選こそが、本物の、肉を切らせて骨を断つギリギリの闘いだし、それは、日本代表の猛者ども(プロの個人事業主!)にとっても、とても貴重な学習機会ってわけさ。

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あっと・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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