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2014_W杯(23)・・アルゼンチンとベルギー・・そしてレンタカーと神経痛についても少しだけ・・(2014年7月1日、火曜日)

フ〜〜ッ・・。結局、最後はメッシか〜・・。

思わず、そんな溜息が出た。

何せ、スイスの粘りディフェンスが、あまりにも素晴らしかったし、最後の最後に、スイスもチャンスシーン(ポストシュートやシャキリのフリーキック!)を演出したからね。

スイスは、あれだけ押し込まれていながら、アルゼンチンに、ほとんど数えるほどしかチャンスを作らせなかったんだよ。立派だった。

逆に、十分にチャンスを作り出せなかったアルゼンチン。その問題の本質は、まさに明確だよね。

そう、攻守にわたるハードワークがゼロに等しい「メッシ」という諸刃の剣・・。

そんな彼が攻撃の中心にいることで、組織コンビネーションが、うまく機能しない。仕掛けに入った段階での「ボールがないところでの動きの量と質」が、見るからに「寸詰まり」なんだよ。

メッシが勝負ドリブル勝負に入ったら、周りも「様子見」になっちゃうよね。メッシだから、たしかに決定的スペースへ抜け出せる確率は高いけれど、スペースを攻略していく主な手段が「それだけ」というのでは・・。

そして、そのことが原因で、アルゼンチンの仕掛けプロセスが、個人勝負ばかりに偏ってしまう傾向が強くなっちゃうんだよ。

でもサ、皮肉なことに、最後の最後に飛び出した決勝ゴールは、勝負ドリブルで抜け出したメッシが、相手の視線と動きを「引きつけ」たことによるモノだった。

その天才的なドリブル勝負によって、右サイドで「様子見」に入っていたディ・マリアを、まったく「フリーにした」んだよ。そして最後の瞬間、そのディ・マリアの眼前スペースへ、まさに天才の迸(ほとばし)りとでも表現できる、「置くような」ラストパスが送り込まれたんだ。

もちろん、スイスゴールの左サイドネットに突き刺さった、ディ・マリアの計ったようなダイレクトシュートは見事だったけれど、それは、メッシの「0.7点」といってもいいゴールだった。

ということで、一つだけ言っておかなければならないことがあると感じている。

まあ、前にも示唆したけれど、「この」アルゼンチンが、私が期待する、組織プレーと個人プレーが高いレベルでバランスしていた当時とは、似ても似つかない「別物チーム」であるということ。

だから私は、今回のチームには、あまり魅力を感じないし、期待もしていない。残念ではあるけれど・・ネ。

もちろん「それ」が、ディエゴ・マラドーナだったら、彼を中心にチームを組み立てることにはアグリーだけれど・・サ。

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ところで、私が借りたレンタカー。

こちらに来てから購入した「カーナビ」と同様に、ちょっと「難しいクルマ」なんですよ。

何せ、蒸し暑いレシフェで、エアコン無しなんですからね。それだけじゃなく、パワステも付いていない。まあ、マニュアルシフトは楽しいから、それはそれでプラスなんだけれど、重い、重いステアリングを回すときに、特に神経痛がひどくなるのです。

この神経痛。日本を出発する二週間ほど前から症状が出てきていた。

そのときは、まあ出発までには何とかなるんじゃないかな・・などと楽観的に考えていたけれど、実際は、厳しくなるばかりだったんですよ。

友人の医者にも診てもらったけれど、「首からきている・・でも、対処療法は、首をつるとか、痛み止めを飲むとか、そんなコトしかないよね・・」と、冷たい。

また、色々な方から紹介された、鍼灸や整体の先生方にも、何度も治療をお願いしたけれど、結局は、あまり効果はなかった。

でも、最後に治療してもらった整体の先生は、「湯浅さんの首は、かなりデコボコになっていますよ・・いまは、できるだけ整えてはみますが、多分この痛みは、あと二週間はつづくでしょうね・・」と言っていた。

それは出発の前日だったんだけれど、その言葉どおり、ブラジルへ来て2週間目から、やっと、本当にやっと、快方へ向かいはじめたんだ。

いまは、もうあと少し・・というところまで回復している。だから準々決勝からは、「いつものように」活発に移動してスタジアム観戦するつもりなのです。

レンタカーも、次の目的地であるサンパウロへ飛ぶときに、レシフェ空港で返却するつもり。とにかく、クルマの運転だけは、特にキツイんですよ。

まあ、それでも、ある意味ポジティブな派生効果もあったよね。

それは、今回のワールドカップ現地取材では、スタジアム観戦、テレビ観戦の組み合わせで、ほとんど全てのチームを観察できたことです。

普通だったら、移動や、その他もろもろのことがあるから、チームやゲームの観察や分析は、限られたモノにならざるを得ないんですよ。だから、チーム&ゲーム分析は、帰国してから本格的に・・ということになるのが常なのです。

でも今回は・・

でも、もちろん、スタジアム観戦をかなりキャンセルせざるを得なくなったことは残念で仕方ないのですが・・。

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さて次は、ベルギー対USA。

USAは、最後の最後まで、誰にも勝負の行方が見わたせないくらい、素晴らしく立派な闘いを展開した。そう、最後まで、立派な闘う意志を魅せつづけたんだ。

彼らは、世界中に、USAサッカーが着実に発展していることを、強烈にアピールした。

その意味でも、USAサッカーにとって、このブラジルワールドカップは、ものすごく大事なコノテーション(言外に含蓄される意味)を持つことになった。

とにかく私は、USAの立派な闘いに対して、心からの賞賛を惜しまない。

既に表明している通り、私は、USAを応援しています。2000年のシドニーオリンピック当時から、彼らのサッカーに取り組む「姿勢」に、シンパシーを感じているのですよ。

あっと・・このことも、既に書きましたよね。アメリカが展開する、素晴らしい意志が込められたロジカルサッカー・・って。

それでも、ベルギーは強敵です。

前半は互角の展開でしたが、勝負のかかる後半は、ベルギーも、より人数を掛けてリスクにチャレンジしていくのですよ。そして、何度か、決定的なシュートを見舞うのです。

でも、そこはUSA。とにかく、レベルを超えた「意志のパワー」で、押し込まれつづけることなく、勇気をもって押し返していくんだよ。そして、決定的チャンスまで作りだしてしまう。

多分そんな現象もまた、アメリカ的ロジックをバックボーンにしているからこその勇気と意志のパワーを絶対的なバックボーンにしているんだろうね。

・・押し込まれはじめたら、「こうやって・・」押し上げ、前線をサポートしていくことで、ペースを再び自分たちの側に引き戻せられる・・そして、勇気をもって仕掛け、最後のシュートまでいけば、次の守備に戻っていく時間は十分だ・・

・・そんな感じですかネ・・。

また、延長も含めて、アメリカGKハワードの活躍は、まさに筆舌に尽くしがたい程の強烈なパフォーマンスだったじゃありませんか。

彼がいなかったら、後半30分までに、2点、3点は、ブチ込まれていたかもね。

もちろん、その間に、アメリカが、少なくとも1点は返していただろうけれど・・。

それにしても、ハワードは、本当に素晴らしいゴールキーパーだよね。プレミアのエバートンでも高い評価を得ているのも納得ですよ。

そしてFIFAの公式記録を見たら、そのハワードが、この試合のMVPにも選ばれたとのこと。当然だとは思うけれど、ちょっとFIFAを見直したりして・・。

あっと・・試合。

そしてなだれ込んだ延長戦。

ゲームは完全に「オープン」な様相を呈していきます。要は、両チームともに、相手ボールホルダーを、うまく抑えられなくなっているのですよ。

要は、相手ボールホルダーを、簡単に振り返らせてしまうだけじゃなく、その眼前を十分に抑えられないことで、簡単に仕掛けのタテパスを出されてしまう状況がつづいているということです。

まあ、そうなったら、アザール、ルカク、デブライネ、フェライニ等など、ベルギーの才能を、「より」光り輝かせてしまうのも道理だね。

ベルギーが挙げた2ゴールは、「あの」ハワードでも、絶対に防げないシュートでした。

これで勝負あり・・!?

そんなことを思った次の瞬間、やってくれちゃったのですよ、USA。交替したグリーンが「追いかけゴール」をブチ込んでしまうんだよ。

このゴールは、秀逸だった。左サイドの後方から、斜めに全力スプリントで走り抜けたグリーンへ、ブラッドリーから、まさに「ここしかない!!」っちゅう浮き球のスルーパスが送り込まれたんだよ。

それを、グリーンが、振り向きざまのボレーでゴールを決めた。

そして、そこから、「これぞサッカー・・」というギリギリの攻防が繰り広げられたんだ。

もちろん「そこ」では、USAが、もうほとんど同点ゴール・・ってなチャンスを作り出しただけじゃなく、逆にベルギーも、カウンターから追加ゴールを挙げそうになる。

観ているこちらは、もう完全に、時間を忘れた。

とにかく、立派な闘いを披露したUSAに心からの拍手を送っていた筆者でした。

これで、アルゼンチンには、ヨーロッパの実力チーム、ベルギーがぶつかることになった。

これもまた、限りなくエキサイティングな闘いになるでしょう。

今回の大会は、こんなギリギリのエキサイティング勝負ばかり。神経痛にもかかわらず、ブラジル遠征を強行したのは大正解だった。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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