トピックス
- 2014_香川真司と本田圭佑(インザーギ・ミラン)、そしてアギーレ新生日本代表・・(2014年9月1日、月曜日)
- このテーマについては、新連載の「The Core Column」で取りあげるつもりでした。
でも、まあ、観察をつづけることで(後から)抽出される本質エッセンスコラムの方がいいと、取り敢えず、レギュラーコラムで簡単に取りあげておくことにした次第。
本田圭佑については、このところ「進化ニュアンス報道」がつづいていたから期待が高まっていた。もちろん、アギーレ新生日本代表との絡みもあるし、また、ドルトムントに復帰した香川真司のこともある。
でもまず、香川真司。彼のドルトムント復帰だけれど、本当に良かったと思っていますよ。
私は、ドルトムントへの復帰というよりも、再び「あのストロングハンド」ユルゲン・クロップの下へ戻った・・という感覚の方が強い。
何といっても、サッカーは(要は、選手たちのプレーイメージが!!)、監督によって、まったく違ったモノになるわけだからね。
ファン・アールが監督に就任したマンUのサッカー。やはり、「個のテイスト」が、まだまだ強すぎる。
これは、とても微妙なディスカッションだけれど、本田圭佑にしても、香川真司にしても、基本は「組織プレイヤー」なんだよ。
攻守のハードワークをこなしながら、攻撃での人とボールの動きを加速させ、そして(シュートにつながる!)スペースを、コンビネーションで突いていく。簡単に言えば、そんなイメージ。
それが、マンUでは、「個の勝負テイスト」が強い選手ばかりになってしまい、どうも、各ステーション(ボールホルダー)で、ボールが「滞留」する時間が長くなってしまう傾向が強い。
要は、勝負のコンビネーションを「加速」させられないマンUっちゅうことだ。この傾向、昨年のモイーズのときも同じだった。
まあ、このテーマについては、また機会を改めるけれど、そんな「サッカーのリズム」じゃ、組織プレーの「加速装置」である香川真司がチカラを発揮できるはずがない。
彼が出場したゲームを観察しながら、「こりゃ、ダメだ・・」と、思った。
決して彼の総合力が劣っているわけじゃない。でも、香川真司は、屈強な本場ディフェンダーと「静対」した状態から、突破ドリブルでブッちぎれるわけじゃない。
もちろん、流れのなかでスペースを使えたら(動きながらベストタイミングのパスを受けられたら!)、そこからのドリブル勝負じゃ、他を寄せつけない能力を発揮するけれどネ。
そんなプレイヤータイプの香川真司だから、「あのマンUの(ファン・アールの!?)チーム戦術イメージ」じゃ、まったく活きない・・と確信していたんだ。
だから、ドルトムントへの復帰を、心から喜んでいた。
まあ、香川真司にとっちゃ、「都落ち」ってな感覚が付きまとうんだろうけれど、決して、そんなことはないよ。
本場エキスパート連中は、彼の「能力タイプ」を、ものすごく高く評価しているんだから。
だからこそ私は、選手の才能は、監督(サッカーフィロソフィー!?)との「巡り合わせ」による・・」って言いつづけているんだよ。
以前にも書いたけれど、ドイツ名将の一人で、古くからの友人であるクリストフ・ダウムとも、そのディスカッションでは意見が一致したっけ。
ディエゴ・マラドーナといった世紀の天才じゃない限り、選手が秘める才能は、サッカーのやり方によって、何倍にも跳ね上がったり、逆に矮小に縮こまったりしちゃうんだよ。
あっと・・このテーマについても機会を改めて・・
ということで、本田圭佑。
この試合では、カウンターから先制ゴールを決めた。良かった。
まあ、とはいっても、そのゴール以外じゃ、彼の特徴ある存在感は、十分に発揮できていなかったけれどね。
この試合では、なんといっても、強烈に強いミランの守備ブロックが目立ちに目立っていた。
その守備ブロックがあったからこそ、メネス、エル・シャーラウィといった超特急プレイヤー(ブッちぎりドリブラー!)たちのカウンターが効いた。
その守備・・
アバーテ(右サイド)、アレックス、サパタ、そしてボネーラ(左サイド)という最終ラインと(とにかくサパタとアレックスのセンターバックコンビが強烈!!)、デ・ヨング、ポーリ、ムンタリで構成する2列目トリオによる、効果的に連動しまくる守備ブロックが秀逸だった。
もちろん、前線の三人も、しっかりと守備に戻ってくるし、ボールを奪い返したら(もちろん、その直前の、ボールを奪い返せる雰囲気になったら!!)、脇目も振らずに、ラツィオ守備ラインのウラに広がる決定的スペースへ、忠実に飛び出していく。
形容句が多くて、すみませんネ。
さて、ということで本田圭佑。
彼のスピードじゃ、カウンターの「流れを引っ張るコア選手」には、なれない。だから、中継役&フィニッシャーとして期待されている。
先制ゴール場面での「コア選手」は、言うまでもなく、エル・シャーラウィだった。
本田圭佑は、彼が「抜け出す」タイミングを計り、その瞬間に全力スプリントをスタートした。そして、相手GKの「足許をすり抜ける」見事なシュートを決めた。良かった・・。
でも・・
このゲームでは、監督のインザーギは、勝ち点を取ってチームの雰囲気を上昇ムードに乗せるために(!?)、このような戦術サッカーに徹した。
カウンターの流れでの本田圭佑は、しっかりとタテパスをキープしたり、ダイレクトパスを駆使することで、エル・シャーラウィとメネス、はたまた、攻め上
がってくるポーリやムンタリ(エッシェン)、右サイドバックのアバーテを上手く「使う」ことでカウンターの流れを「加速させる中継役」と、その後の、ピン
ポイントでシュートを打つ「フィニッシャー」として期待されていたはずだよね。
まあ、その視点じゃ、ある程度の存在感は発揮したと言える。
でも、まだまだ攻守ハードワークが甘いし、パスレシーブの動きにしても、足許の(クサビの)タテパスと、決定的スペースへのスルーパス「しか」イメージにない。
要は、仕掛けの流れを、自分が中心になって「動かす」ために、もっと動き回ってボールの動きを加速させなきゃいけない。
そこでのキーワードは、ボールがないところでの動きの量と質。そして、もちろん、忠実なパス&ムーブの積み重ね。
まあ、とはいっても、この「インザーギ」ミランは、明確なやり方(カウンター)があるし、エル・シャーラウィとメネスという、超速の「天才」連中がいる。
でも、アギーレ新生日本代表には、いない・・。
もちろんアギーレは、武藤嘉紀、原口元気に代表される超速ドリブラーを中心にチーム戦術の構想を練っているのかもしれないけれどネ。
そう、「それ」は、このゲームで魅せた「勝負強いサッカー」を志向するインザーギ・ミランにも通じるモノがある。
さて〜〜・・
まあ、これからの「展開」には、様々な興味深いテーマ(学習機会)がありそうだ・・と、期待をふくらませている筆者なのであ〜る。
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ところで、ブラジルW杯に、後藤健生さんと「スカイプ」を通して繰り返したディスカッションをまとめた、ライブ感あふれる「ナマ対談本」が出来上がりました。
その新刊については、「こちら」をご参照ください。ではまた・・
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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