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2011_UCL決勝・・ポイントを、箇条書きで、ランダムにピックアップしました・・(マンチェスター・ユナイテッドvsバルセロナ、 1-3)・・(2011年5月28日、土曜日)

この、様々な意味合いの深〜いコンテンツが満載されたサッカー史に残る勝負マッチについては、気付いたコトを、ポイントだけ簡潔に(箇条書きで)ピックアップすることにします。では・・

■まず何といっても、ペドロが挙げた先制ゴールシーン・・

・・ボールを持ち上がるシャビの絶妙な「タメ」と、視線フェイント&アイコンタクト・・その全体的な雰囲気で、マンUの強者ディフェンダーたちも「惑わされ」、意識と視線を引きつけられてしまう・・そして、ゴール前中央でのマークが、一瞬だけれど甘くなる(ペドロとの間合いを空けてしまうヴィディッチ!)・・そして次の瞬間、ズバッというスルーパスがペドロへ通される・・フ〜〜・・

・・それは、シャビが主役を張った瞬間的な「駆け引き」の最終勝負シーン・・ボールがないところでの、マーキングとウラ取りアクションの駆け引き・・鳥肌が立った・・フ〜〜・・

■次は、ゲームの立ち上がりにマンUが魅せた、ものすごい勢いの協力(攻撃的)プレッシング・・

・・たぶん「そんなゲームの立ち上がり方=ゲーム戦術」は、これまでのバルサをスタディーした結論だったはず・・とにかく、立ち上がりはゲームを落ち着かせずに先制ゴールを目指す!?・・バルサは、まず「受け止めること=様子見」からゲームに入っていくはずだから・・フムフム・・

・・とはいっても、たしかにマンUが押し込んでいるように見えて、実は、バルサ守備が(余裕をもって!?)マンUの勢いを受け止めているというのが実態だった・・実際マンUは、流れのなかからは、ほとんどチャンスを作り出せなかった・・

・・マンUのチャンスメイクは、そんな協力プレッシングからではなく、一発ロングボールからだった・・最初は、GKファン・デルサールからの一発ロングから、ルーニーが抜け出しそうになったシーン(バルサGKバルデスが飛び出してパンチ!)・・

・・でも逆に、そのピンチが、バルサに明確な守備イメージを与えた・・その後も何度か、勝負のロングパス一本という仕掛けはあったものの、バルサは、余裕をもって対処できていた・・ゲームのなかでの「守備イメージ構築」・・そんなところも、バルサの実力の証明!?・・

■そして前半も10分を過ぎたあたりから、ゲームの構図が見えてくる・・マンUのディフェンス姿勢が(マンU選手たちの意志が=こりゃ、いくらプレッシングしてもうまくいかネ〜〜!=)落ち着いてきたんだよ・・まあ、落ち着かざるを得なくなったとも言える!?・・

・・そして、バルサがボールを支配し、マンUが(ロングボールを織り交ぜた)一発カウンターを狙うというゲームの構図が出来上がっていく・・

・・落ち着かざるを得なくなった(!?)マンU守備・・要は、チェイス&チェックを「注意深く」仕掛けていかざるを得なくなったマンU守備ということ・・

・・仕掛け「過ぎる」と、バルサの罠にはまる・・そう、そんな「前掛かりの勢い」の逆を突かれてウラスペースを攻略されてしまうのだ・・チェイス&チェックで仕掛けていく選手と次のボール奪取を狙うチームメイトの能動アクションが、素早くバルサにウラを取られて置き去りにされてしまう・・そして、彼らがいるべきゾーンが(多くの場合、バイタルエリア!)大きなスペースになって、バルサの強者どもに使われてしまう・・こりゃ、マンU守備も大変だ・・フ〜〜・・

■10分を過ぎたあたりから、バルサのボールの動きが活性化していった・・

・・マンUのチェイス&チェックの勢いが落ち着き、ポジショニングバランスを重視する守備イメージに変容していった!?・・そして、そんなゲームの流れに呼応するように、バルサのボールの動きが活性化していく・・ボールがないところでの動きの量と質の高さをベースにしたスーパーコンビネーションの積み重ね・・フムフム・・

・・もちろん足許パスも多い・・ただ、次のスペース攻略をイメージしながら「事前に」動いているからこそ・・また、忠実なパス&ムーブを積み重ねているからこそ、「ポンポンポ〜ン」と、ダイレクトでボールを動かせる・・そして最後は、決定的スペースを攻略してしまう・・

・・この、相手の意識と視線を「フリーズ」させてしまう、狭いゾーンのなかでの、素早く広いボールの動き(コンビネーション)こそが、バルサの真骨頂・・

・・バルサが演出する夢のようなボールの動き・・ポゼッション(ボールのキープ)能力に長けているからこそ、それぞれの「勝負ゾーン」に必要な人数が集まるのを「余裕で待つ」ことができる・・また、人数が集まらなかったら、勝負ドリブルをブチかます・・

・・仕掛けプロセスにおける、組織プレーと個人勝負プレー(勝負ドリブル)の高質なバランス・・やはり「このバルサ」は、サッカー史上最高の「コンビネーションイメージ具現化グループ」っていうことか・・えっ!?・・またまた分かり難い自分勝手な表現だって!?・・スミマセン、ね・・

■次は、前半41分のバルサ・フリーキックのシーン・・素晴らしい「計画(イメージ・シンクロ)コンビネーション」だった・・

・・最初、壁に入っていたペドロ・・その壁を、大回りしながら、ゆっくりと「3人目」の動きに入る・・そして次の瞬間、シャビのフリーキックが、ゴール正面ゾーンで戻り気味の動きをしたブスケッツの足許へ正確に飛んでいく・・もちろん、同時にペドロも爆発する・・そして、足許パスを受けたブスケッツから、ダイレクトで、ペドロへとパスが飛ぶ・・そのパスは、ほんの少しズレてしまったけれど、そのときのペドロは、ホントに、まったくフリーになっていた・・

・・とにかくバルサのコンビネーションは、常に、3人目、4人目の動きを活用して決定的スペースを突いていく(シュートへつながる最終勝負を仕掛けていく)・・まさに、スーパーな「イメージ・シンクロ・コンビネーション」・・溜息が出る・・

■ところで、チーム全体の「移動距離」・・バルサは、もっとも少ないらしい・・まあ、選手の運動量が「効率的」ということか・・

・・まあ、それも、ほとんどのケースでバルサがボールを支配しているのだから当たり前の現象だね・・ボールを「走らせる」バルサっちゅうことです・・また、スペースを攻略するためのコンビネーションイメージが、とても強固に、そして柔軟に、グラウンド上で表現できているとも言える・・

・・蛇足だけれど、それって、4対2に代表される、「クローズド」なフィールド内でのボール回しを、どんどん発展的に組み合わせていくバルセロナの仕掛けプロセス・・なんて表現もできる!?・・

■そして、このゲームでの最初の決定的シーン・・前半15分にバルサが作り出したビッグチャンス・・最終勝負は、バルサの右サイドからだった・・

・・その直前の「最初の仕掛けの流れ」のなかで最後にボールを持ったビジャ・・右サイドには、まったくフリーのシャビがいる・・そこへ、ビジャから、測ったようなパスが出る・・それを、ダイレクトで、ラストクロスを送り込むシャビ・・その直前、シャビと、最後のシューターになるペドロが、「一瞬のアイコンタクト」を交わしていた・・

・・そして、ペドロが「爆発」する・・リオ・ファーディナンドの背後から、彼の「眼前スペース」へ斜めに走り込んだ・・もちろん(ラストクロスを送り込む)シャビも、その動きを明確にイメージしている・・だからこそ、ファーディナンドの眼前スペースへ、疑うことなく、ダイレクトで、ラスト・クロスを送り込めた・・世界最高の「イメージ・シンクロ・コンビネーション」・・溜息が出た・・

・・ところで、このシーンでペドロをマークすべきだったマンUの右サイドバックファビオ・・彼は、ペドロを「行かせてしまった」・・そのことが、この(マンUにとって)大ピンチの重大な要素・・このシーンでは、ポジショニングバランスから、最終勝負を明確にイメージした「ブレイク」への移行が、スムーズに行われなかった・・そこでは、「ポジショニングバランス」から、最終勝負で人をマークする「ブレイク・アクション」への移行が、明確にイメージされていなかった・・自分の背後から走り込んだペドロに、自分の「眼前スペース」を使われてしまったファーディナンドの怒りがよく分かる・・

■メッシの、スーパー決勝ゴール・・

・・まあ、これは、解説の必要なんてないね・・日本選手にも、あの「イメージ」でシュートを打ってもらいたい・・このゴールだけじゃなく、コンビネーションやタメ&一発スルーパス等からのシュートシーン、ビジャの、狙いすましたミドルシュートなども含め、とにかくバルサの最終勝負プロセスには、素晴らしい「イメージ・トレーにニング素材」がてんこ盛りだ〜・・

■チームのコンセプト(チーム戦術)が、個のチカラの総体を何倍にも膨張させる・・それがチーム総合力となる・・

・・とにかく、バルサの組織コンビネーションは、まさに夢のレベル・・個のチカラが優れていることは大前提だけれど、その個のチカラを、とても「有機的」にリンクする、チームのコンセプト・・やはり監督のイメージ力、マネージメント力が、チームの全てだよね・・

・・監督によって、チームの内実が(ガラガラポンで!?)大きく変容してしまう・・

・・今年のクラブワールドカップで「この」バルサを観たいけれど、それでも、もし来シーズン、グアルディオラが抜けてしまうのだとしたら・・ちょっと心配ではあります・・

■ということで、今日は、こんなところですかネ・・また、クラシコも含め、ビデオに収めている今シーズンのスーパーマッチを見直し、そこで拾ったテーマについても、追い追い発表していくつもりではあります・・

・・エッ!?・・いつも、そんなことを言っているけれど、結局は書かないじゃないかって!?・・そうだな〜・・サッカーでは、新しいイベントが目白押しだからな〜・・今日も、これからフロンターレ対ガンバのエキサイティングマッチを観に行くしネ〜・・フ〜〜

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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