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2011_ヨーロッパの日本人・・長友佑都は、やっぱり日本のアイデンティティー(誇り)・・(インテルvsラツィオ、 2-1)・・(2011年4月25日、月曜日)

長友佑都の、疲れを知らない全力プレーを観ながら考えていた。

 ・・たしかに長友佑都は、サッカーの美しさ演出するタイプの天才じゃない・・それでも、あふれんばかりの強烈な意志のパワーを放散しながら、攻守にわたって、常に全力でプレーする姿は、たしかに、人々の感動を呼び起こす・・

 ・・彼の、心の底から湧き上がってくる強烈な意志は、明確に、攻守にわたる全力スプリントとなってグラウンド上に投影される・・そんな全力プレーを観て、感動しない人はいない・・全力スプリントこそ、やり遂げたいプレー(イメージ)のあることがグラウンド上に表現された現象なのだから・・

 以前、イビツァ・オシムが率いるジェフユナイテッド千葉のサッカーを観て、久しぶりの感動が呼び覚まされたことを思い出す。そこでは、攻守にわたって、人々の「イメージを超越する全力アクション」が演出されつづけたものだ。そう、攻守にわたる、ボールがないところでの全力の動き。

 「エッ!? どうして、あの裏スペースにアイツが走り込んできているんだ??」、「エッ!? アイツは、どこからカバーリングに入ってきたんだ??・・そこにいるためには、少なくとも数十メートルは全力スプリントで戻らなければならないのに・・」、「エッ・・!?」・・などなど。

 イビツァ・オシムが率いた当時のジェフユナイテッド千葉のサッカーには、そんな感嘆&感動プレーがてんこ盛りだった。

 長友佑都のプレーには、そんな、当時のジェフが展開した魅力的サッカーのエッセンスが存分に盛り込まれていると感じる。

 この試合でも、忠実でエネルギッシュなチェイス&チェックやマーキング、勇気をブチかますボール奪取アタック、抜かれても(抜かれても)全力ターンで追いつづける粘りの競り合い・・といった基本的な守備プレーを絶対的ベースに、機を見計らい、100メートルに及ぼうという長い距離を全力スプリントで駆け抜けてインテルのカウンターをリードしたり、(これまた勇気満々の)ドリブル勝負&爆発シュート(またはクロスを送り込む)というエキサイティングなシーンを演出したり・・と、存在感抜群だった。

 特に、疲れがピークに達する後半30分あたりにブチかましたドリブル突破シーンは圧巻。相手を二人引き連れてタッチライン沿いにドリブルを仕掛け、最後は決定的なクロスを送り込むところまでいった。まあ、最後は、相手の必死のスライディングタックルに抑えられちゃったけれど、その直後に、スタンドに向かって両手を振り上げ、「もっと盛り上げてよ〜〜!!」のボディーランゲージ。それでも、まったく「嫌み」を感じない。それも彼の優れた人間性の証か・・。まあ・・大したものだ。

 とにかく、世界のスター軍団であるインテルのなかにあって、長友佑都に対するチームメイトの信頼の厚さを体感できることは、心地よいことこの上ありません。スナイデルが、エトーが、カンビアッソが、サネッティーが・・常に長友佑都を捜している。フムフム・・

 そんな信頼の絶対的ベースは、もちろん、攻守にわたる「忠実なチームプレー」と優れた人間性なんだよね。

 例えばディフェンスでは・・自分の背後のスペースをパスやドリブルで突かれても、大丈夫・・ユウトがカバーしてくれる・・という信頼がある。例えば攻撃では・・前戦で、孤立した状態でボールをキープしなければならない状況でも、大丈夫・・ユウトがサポートに上がってきてくれる・・という信頼がある。

 長友佑都は、日本のアイデンティティー(誇り)です。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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