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2011_ヨーロッパの日本人・・長友佑都・・初ゴ〜〜ル!!・・(2011年3月7日、月曜日)

そのとき、ベンチのあるタッチライン際までフッ飛んでいった長友佑都を、監督のレオナルドも含めたベンチ全員がクシャクシャにした。もちろん祝福しているのだけれど、その表情や態度から、彼らが長友佑都のゴールを心から喜んでいると感じた。

 それは、後半33分に交替出場し、その5分後に長友佑都が叩き込んだインテルの5点目ゴールのシーンでした。

 レオナルドに祝福された長友佑都だけれど、その後は、グラウンド上のチームメイトたちと「最敬礼」のパフォーマンス。あの強者どもが、心から、その「ジャパニーズ・パフォーマンス」を楽しんでいる。とにかく、長友佑都の、どこまでも明るく、くったくのないパーソナリティーは、チーム全体の雰囲気をポジティブに盛り上げていると感じますよ。それも、世界でもっとも厳しい競争環境であるにもかかわらず。フムフム・・

 「そのとき」の長友佑都の左足は、相手のプレッシャーをモノともせず、まさに電光石火の勢いで振り抜かれた。その「振り」の、素早くコンパクトで、力強かったこと。いや・・ホント・・ビックリした。

 どうして長友佑都が、そのとき相手ゴール前にいたかって?? そりゃ・・サ、長友佑都の積極性の故(ゆえ)だよね。事と次第によっちゃ、非難の対象になりかねないリスクチャレンジ。でも「そのとき」は、まさに大正解のオーバーラップということになったわけです。

 ということで、そのキッカケだけれど、それは、この試合でも、素晴らしいスーパーパフォーマンスを披露したエトーが、長友佑都に出したバックパスだった。

 そのパスを、例によって、素早く正確にコントロールした長友佑都。すぐに、横にいるハルージャへパスを出し、自身は、そのまま上がっていこうとする姿勢を見せた。そして次の瞬間、ハルージャから、タイミングよいリターンパスが長友佑都へ戻されたのですよ。

 前に大きなスペースが広がっている状況でボールを持った長友佑都。そりゃ、もう、行くっきゃないでしょ。自分が前の味方を追い越していった「後の穴」は、エトーやスナイデルがカバーしてくれるさ・・ってなマインド。もちろん、彼らに対する信頼ベースの積極マインドですよ。

 それが正しいんだよ。守備意識が高い(攻守にわたる汗かきプレーもいとわない)天才という呼び声高いエトーとスナイデルもいるということで(またもちろんサネッティーやモッタもいる!)、長友佑都も、まったく後ろ髪引かれることなく上がっていけた・・っちゅうわけです。

 そして長友佑都は、ドリブルで相手守備ブロックへ突っ掛けて行きながら、タイミングよく、横にいるスナイデルにボールを預け、自身は、そのまま相手ゴール前まで突進していった。

 その勢いは、まさに火の玉小僧。観ていた誰もが、動いているボールが(インテルのパス展開が)最後は、長友佑都へ戻っていく(そこへ収斂されていく)に違いないと肌で感じていた!? いや・・ホントに、そんな雰囲気が放散されていた。実際、長友佑都へラストパスを出したのは、(そんなスピリチュアルなエネルギーを肌で感じていたに違いない!?)ハルージャだったからネ。あははっ・・

 そのシーン以外でも、例によって長友佑都は、それが、どんなに「小さな」チャンスであったとしても、決してそれを逃すことなく、目の覚めるような全力スプリントのオーバーラップをブチかましつづけていた。それでも、次の守備では、決して戻り遅れることなく必要なポジションを取り、安定したディフェンスを魅せるのですよ。いや・・ホント・・素晴らしい。

 ところで、長友佑都のディフェンスプレーだけれど、それは、相手ボールホルダーをとことん追い詰めるまで、素晴らしく小回りの効く「スーパー機敏」なディフェンスアクションで、粘り強くチェイス&チェックを繰り返すというものです。

 とにかく、何度切り返されても、すぐに体勢を立て直して食らいついていく。そこでは、「エイヤッ!」なんていう「一発で飛び込んでいく安易なアタック」を仕掛けることはありません。あくまでも、最高のボール奪取勝負を仕掛けられるタイミングまで、世界レベルの敏捷性を絶対的なベースに、粘り強く食らいつき、追い込んでいくのです。どんな天才であっても、相手にとって、これほどイヤなディフェンダーはいない。

 とにかく、これからも、長友佑都の「本物のブレイクスループロセスという貴重な学習機会」を、逃すことなく追いかけつづけることにします。

 それにしても、サネッティーと交わした「最敬礼パフォーマンス」。そのとき世界の強者どもがみせた満面の笑みは、本当に素敵だったね。長友佑都のパーソナリティーには、恐るべきコミュニケーションパワーが秘められている・・のかもしれない。

 この日の長友佑都は、様々な意味合いで、日本にとってのアイデンティティー(誇りを感じさせてくれる存在)になった!? さて・・

 もう朝方だけれど、長友佑都のスーパーゴールから元気をもらい、その勢いで一気に書いてしまった。ということで、もう寝ます。

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 またまた、出版の告知です。

 今回は、後藤健生さんとW杯を語りあった対談本。現地と東京をつなぎ、何度も「生の声」を送りつづけました。

 悦びにあふれた生の声を、ご堪能ください。発売翌日には重版が決まったとか。それも、一万部の増刷。その重版分も、すでに店頭に(ネット書店に)並んだそうな。その本に関する告知記事は「こちら」です。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。

 4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。

 出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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