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2011_日本代表・・強かったペルー・・前後半でやり方を変えた日本代表・・などの視点はいかが?・・(日本vsペルー, 0-0)・・(2011年6月1日、水曜日)

冗談じゃネ〜よな〜・・ホントに・・

 わたしは、以前、ウクライナでジーコジャパンが試合したときのことを鮮明に思い出していましたよ。何のことかって? 試合後にホテルまで戻るのに四苦八苦したことです。当時の、ウクライナ代表vs日本代表のコラムは「こちら」

 ・・ウクライナじゃ、大渋滞のせいでタクシーが来ないから、仕方なく歩いた・・トボトボと1時間近く・・それも、冷たい雨のなか・・そして大渋滞の原因が分かり、ホントにアタマに来た・・だから、余計疲れた・・

 ・・今日も同じく、タクシーもつかまらず、バスもないから、仕方なく歩きに歩いた・・でも今回は、幸運にも最終バスに乗せてもらえたから、ウクライナの時ほどひどくはなかった・・往路は、新潟の駅から、散歩がてら、ビッグスワンスタジアムまでゆっくりと歩いたわけだけれど、1時間半はかかったかな・・それはそれで気持ちよかったけれど、試合後は、雨のなかだからネ・・歩いて駅前のホテルまで行くことを考えただけで気持ちが萎えた・・ホント、バスに乗れてラッキーだった・・

 というわけで、ホテルに到着したときは、既に2330時をまわっていた。それに、ペルー戦だけじゃなく、U22関塚ジャパンのコラムもある。とにかく気を取り直し、 ポイントだけは押さえておこうとキーボードに向かった次第でありました。フ〜〜・・

■ペルー戦のテーマ・・まず、予想通り、コパアメリカの準備を進めるペルー代表が、とても強いチームだったということ・・とにかく、ドイツ留学時代の強いペルー代表のイメージが脳裏に刻み込まれている私にとって、今でも彼らはサッカー強国なのですよ・・

・・だから、セルヒオ・マルカリアン監督に、こんなことを聞いた・・「私が考えていたように、ペルーは、日本に対して互角以上の優れたサッカーを展開した・・そして、監督がおっしゃるように、作り出したチャンスの量と質では、日本以上だった・・日本代表にとっては、とても良いトレーニングになったと思う・・その意味でも、感謝している・・ところで、そんなペルーのFIFAランキングだが、数字的には、日本の三倍強といったところにいる・・そんなFIFAランキングをどう思うか?」・・

・・まず、我々を「アイ・ドント・ノ〜〜ッ!!」と笑わせてくれたマルカリアン監督・・「それでも、私がこのチームを引き継いだときのランキングは80位くらいだったんだよ・・わたしは、1982年の大会以来出場を果たせていないワールドカップに、是が非でもペルー代表を出場させたい・・今回のコパ・アメリカにしても、そのための準備大会だと思っているんだ」・・だってサ・・ナルホド・・

■そんな「強い」ペルーに対して、ザッケローニ監督は、3-4-3というシステムで臨んだ・・

・・長くなりそうだから、簡単に書きますよ・・まず、以前に発表した、日本代表vsJリーグ選抜のチャリティーマッチのコラムを参照して下さい・・そこでの日本代表は、3-4-3で試合に臨み、とても素晴らしい、魅力にあふれたサッカーを展開した・・多分それは、実力で(寄せ集めの)相手を凌駕していたから!?・・でも今日は「強い」ペルーが相手だから、そう簡単にはいかないし、オーバーラップもままならず(前半では)相手に押し込まれてファイブバックになってしまうシーンも多かった・・

・・わたしは、単なるスリーバックじゃなく、ザッケローニ監督の3-4-3を、こんな風に表現したい・・例えば・・スリーバックのサイド選手と、サイドハーフ&ウイングの三人が、タテ方向に連係し、攻守にわたって、サイドゾーンを支配する・・とかネ・・

・・もちろん、相手によって「見え方」は変わってくるし、ポジショニングバランスだって変容してくるよね・・ペルーという強い相手の場合、サイドハーフじゃなく、サイドバックになってしまう(ファイブバックになってしまう)・・とかね・・

・・この試合の前半は、特に、相手の分厚い中盤に苦労させられた・・だから、勇気をもって押し上げてけなかった・・特にファイブバック気味になった「後」の押し上げがままならなかったことで(また守備でも)中盤が薄くなってしまった・・これじゃ、満足な中盤ディフェンスを機能させられないだけじゃなく、相手が怖がる攻撃を仕掛けいけないのは当たり前・・なにせ、ドリブルで突破していくような個人勝負が苦手の(まだまだ個の才能が十分ではない!)日本は、あくまでも人数を掛けた組織コンビネーションを主体に仕掛けていかなければならないわけだからネ・・

・・とにかく、ザッケローニ監督がイメージする「3-4-3」は、普通のスリーバックとは、かなり違うということが言いたかったわけです・・私は「それ」を、とても攻撃的なチーム戦術だと思っているのですよ・・

・・ホントに三人だけで最終ラインを守っちゃったり・・サイドゾーンで(前述した)タテの三人が協力し、攻守にわたって相手を凌駕しちゃったり・・もちろん、サイドゾーンに相手を誘い込み、効率的にボールを奪いかえした次の瞬間には、(ボールを奪いかえす前から!)ちょっと上がり気味にポジショニングしていた(フリーになっていた)逆サイドのサイドハーフへ素早いサイドチェンジパスを送ることで効果的なカウンターを決めちゃったりする・・

・・それでもザッケローニ監督は、3-4-3は、一つのオプションに過ぎず、ケースバイケースで、様々に応用していく・・と言っている・・まあ、そういうことだね・・そのときの「ケースの要素」としては、やっぱり相手が(そのチーム力や、彼らのサッカーのやり方などが!)、もっとも重要になってくるだろうね・・フムフム・・

■後半、選手のポジショニングバランス(まあ・・システム!?)を従来のモノへ戻してから、明確にサッカー内容が良くなったことについて・・

・・まあ、それは確かな事実だよね・・攻守のバランスも(リスクヘッジも)上手くマネージできるようになった・・そして攻撃に、バランスよく人数を掛けられるようにもなった・・前述したように、日本代表は、まだまだ人数が(組織コンビネーションを基盤にチャレンジしていくことが)必要なんだよ・・もちろん、相手が本当に怖がるようなスーパードリブラーがいれば別だけれどネ・・

・・その個のチカラじゃ、ペルーの方が、怖い選手を擁していたね〜・・スゴイ勢いの巧みなドリブル勝負からの爆発シュートなどなど・・日本が(川島やポストに助けられるなど!)命拾いしたシーンは、とても目立っていた・・だからこそ、引き分けに持ち込めたことには価値があった・・とはいっても、勝負という視点じゃ、勝てた試合だったという評価も出来るわけだけれどネ・・

・・まず「こんなところ」で筆を置こうと思うけれど、どうでしょうか・・ちょっと疲れたし、この後でU22のコラムにも取りかからなければならないから・・まあ、東京へ戻ってからビデオを見直し、テーマを掘り下げることにします・・前半と後半で、さまざまな「意味深コントラスト」があったわけだから・・

・・では〜〜・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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