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2011_アジアカップ・・決勝プレビュー・・また、香川真司の穴埋めは?・・(2011年1月27日、木曜日)

アチャ〜〜ッ・・香川真司がケガ(足小指骨の骨折!?)で脱落してしまった〜〜・・

 もちろん彼の不在は痛い。カタール戦で待望のゴールを挙げ、やっと本格的な調子の波に乗ったという期待感が高まっていたからね。

 韓国戦でも(ケガを負うまで)、確かにそんなに目立つシーンはなかったけれど、局面での効果的勝負プレー(韓国守備ブロックのバランスを崩すキッカケになるプレー=クレバーなトラップからのスペース突き勝負、決定的フリーランニング等々)だけではなく、忠実ディフェンスやシンプルで効果的な展開パスなど、しっかりと、攻守にわたる汗かきハードワークでも貢献していた。

 まあ仕方ない。とにかく、ザッケローニが、どんなゲーム戦術(ここでは選手タイプの組み合わせ)で臨んでくるのか・・という見所が一つ増えたと、ポジティブに(前向きに)考えることにしよう。日本代表には、柏木陽介、細貝萌、本田拓也、そして藤本淳吾といった、下克上の意気に燃える(!?)そうそうたる中盤メンバーが控えているんだからネ。

 そこには、選手タイプの組み合わせという興味深い視点もある。とはいっても、これまでとても安定していた「大人のダブルボラランチ」を組み替えるのは、ちょっと危険かもしれないね。とにかく、遠藤保仁と長谷部誠のコンビは、このチームの絶対的支柱なんだからネ。

 ということで私は、例えば藤本淳吾とか、 香川真司と似通ったプレーイメージの選手で穴埋めするのが無難だと思う。もちろん、サウジ戦で、ある程度安定したプレーを披露した柏木陽介という選択肢もある。彼の場合は、攻守両面で十分な汗かき貢献ができるし、「大人のダブルボランチ」にも信頼されているだろうから、日本中盤の攻守にわたる機能性は「厚く」なるよね。

 とはいっても相手はオーストラリア。 彼らは、パワーとスピード(ハイレベルなフィジカル能力)に秀でているだけではなく、スキルフルでもあるし(技術的にも高いレベル!)戦術レベルも高い。オーストラリアの組織プレーは、一流なのだ。

 そんな猛者(大男)たちと対峙した場合、やはり柏木陽介は、特にフィジカル面で、ちょっと見劣りするかもしれない。もちろん、そんな大男たちの間を、ヒラリ、ヒラリとかいくぐってしまうような牛若丸プレーを期待するっちゅう見方も出来るけどサ。さて〜〜・・

 牛若丸といえば・・。こんなときに頼りになるスーパー・ユーティリティー・プレイヤー中村憲剛がメンバーに含まれていないことが残念で仕方ない。もちろん「次のワールドカップ」のための人選だから、年齢という要素もあったんだろうけれどネ(彼は、代表引退を表明したんだっけ??)。アッと、タラレバは禁物か・・

 とにかくザッケローニが、どのような決断を下すのかに興味が湧くよね。これまでの彼の人選には感服させられたし、その心理(ヒューマン)マネージメント能力(指先のフィーリング能力!?)からも、まあ聞く限りではあるけれど、いやが上にも期待感が高揚する。さて〜〜・・

 あっと・・オーストラリア。

 ウズベキスタン戦の大勝については、まあ、あまり気にすることはありません。でも、そこでヤツらが魅せた勝負強さには、やはり警戒感が高まる。

 ここでいう「勝負強さ」とは、チャンスを作り出す能力と、そのチャンスを実際のゴールに結びつける能力のことです。最後の勝負の瞬間にヤツらがブチかます「強烈な意志」は、本当に見所満点なのですよ。そんな「チャンスをゴールに結びつける強烈な意志」こそが、勝者メンタリティーの根底的なバックボーンでもあるわけです。

 アッと・・、もちろん、相手からボールを奪い返す能力(守備意識)もまた、彼らが魅せる勝負強さの根底的なバックボーン(要素)だよね。要は、攻守にわたって、最後の勝負所で・・勝ち切ってしまう・・勝ち切ろうとする・・『意志のポテンシャル』が素晴らしいということです。

 ウズベキスタン戦でも、そんなオーストラリアの特長がいかんなく発揮された。もちろんそれには、ウズベキスタンの組織プレーが、人の動きが十分ではないことで、あまりにも「足許パス」が多すぎたということもあった。だからオーストラリアは、余裕をもって(次のボールの動きを)予測し、効果的&効率的(そして忠実!)にアタックを仕掛けてボールを奪い返せていた。

 そしてオーストラリアは、「そこ」から、パワフルでスピーディー、そしてスキルフルに、より直線的に仕掛けていく。そこでは、忠実なパス&ムーブ(フリーランニング)の積み重ねをベースにした危険なコンビネーションあり、勇気をもった個のリスクチャレンジ(勝負ドリブル)あり。

 特にウズベキスタン戦では、(先制ゴールを叩き込んだことで気分を良くした!?)キューウェルの活発な「ボールがないところでの動き」が目立っていた。また、それにつられるように(まあ、どちらが引っ張ったかは定かじゃないけれど・・)ケイヒルの動きも、これまでにないくらい、大きく、スピーディーに変容していったと感じた。

 そして・・このコトがもっとも大事な「波及効果」なのだけれど、そのように「最前線のフタ」が開いたことで、中盤プレイヤーが、より積極的に、そして効果的に最前線ゾーンへ絡んでいけるようになったのですよ。

 わたしは、キューウェルとケイヒルには、これまでのように「最前線のフタ」でい続けて欲しかったけれど、まあ、そうは問屋が卸さない・・っちゅうことだね。

 とにかく、「最前線の二つのフタ」が開いたことによって、中盤の両サイドで、忠実で危険な組織プレーを展開する、14番のホルマンと17番のマッカイの機能性が格段に向上したことは確かな事実だった。彼らは、とても優秀な組織プレイヤー。個の勝負プレーをブチかませるし、最前線のスター二人と協力した勝負コンビネーションも引き出していける。

 それともう一人。私は、守備的ハーフコンビの一角を占める15番のジェディナックにも注目している。日本選手の視野から「消え」、大事なシーンで、どこからか降って湧いたように顔を出して決定的な仕事をしてしまう。彼のミドルシュートは、ものすごく危険なんですよ。私は、ジェディナックを、決勝戦での要注意人物だと考えているのです。

 そんな勝負強いオーストラリアと対峙する日本代表。

 韓国戦の前半に魅せた、攻守にわたって素晴らしいダイナミズムが感じられるような組織サッカーを期待するのは言うまでもありません。もちろん、両サイドバックのオーバーラップによる爆発的なサイド攻撃も含めてネ(特に、フットボールネーションのスカウト連中にとって垂涎の的になりはじめた長友佑都!?)。

 とにかく、日本代表は、人とボールをしっかりと動かしつづけることが肝心です。それがうまく機能しなければ、確実に、オーストラリアの猛者連中に餌食にされ、彼らの勝負強さをいかんなく発揮されてしまう。

 今日はこんなところでキーボードから離れるけれど、また何か気付いたら書き足すことにします。

 とにかく、土曜日が待ち遠しい。

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 またまた、出版の告知です。

 今回は、後藤健生さんとW杯を語りあった対談本。現地と東京をつなぎ、何度も「生の声」を送りつづけました。

 悦びにあふれた生の声を、ご堪能ください。発売翌日には重版が決まったとか。それも、一万部の増刷。その重版分も、すでに店頭に(ネット書店に)並んだそうな。その本に関する告知記事は「こちら」です。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。

 4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。

 出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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