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天皇杯準々決勝、アントラーズが接戦を制する・・(1998年12月23日)

この試合、ボールの支配率では互角でしたが、内容は完全にサンフレッチェのモノでした。

 中盤での積極的、忠実、確実な守備、そしてボールを奪い返してからの効果的なボールの動き(効果的な組織プレー)をバックボーンに、久保、ビドマー(大木)、山口、服部、はたまた両サイドバックの古賀、吉田などがどんどんと個人勝負を仕掛けてきます。

 そのサッカーは、ダイナミックそのもの。年間チャンピオンは一体どっちのチームだっけ??ってな具合です。特に、最近になって初めて日本代表に選ばれた久保は、確実でクリエイティブなボールコントロールから、岩をも崩す勢いでアントラーズゴールへ迫ります。その迫力はホンモノ。日本人離れしています。やっと日本にも本格的なセンターフォワードが現れた?! 今後の彼の発展に注目しましょう。

 アントラーズでは、ジョルジーニョの抜けた穴が、ことのほか大きかったようです。特に、中盤での守備、そして「大きな展開」に風穴が空いたと感じます。以前は、彼から「勝負のロングパス」がどんどんと最前線に送り込まれたものですが、それがほとんど出てこなくなったことで、最前線プレイヤーの動きも鈍重なものなってしまいます。

 それはそうです。近くまでボールがこなければスペースを狙うフリーランニングを仕掛けても可能性がないのですからね。ボールの位置に関係なく、常に「決定的なスペース狙い」のマインドを鋭く磨いていなければならなかった以前のサッカーとは、かなり様変わりといった雰囲気でした。

 そしてサンフレッチェが、後半19分に、内容的にまったく順当という先制ゴールを奪います。たしかにそれは、アントラーズ、室井の自殺点だったのですが、吉田からの、ニアポスト側への正確なフリーキック、そしてそれに飛び込んだ伊藤の迫力からすれば、生まれるべくして生まれた自殺点だったとすることに異論をはさむ方は少ないに違いありません。

 ただその後はアントラーズが勢いを取り戻します(行かざるを得なかったわけで当然だし、ちょっとサンフレッチェ選手たちの足が止まり気味になってしまったこともありました・・)。そして何度かの決定的なチャンスを逃した後、同点ゴールが飛び出します。それは、ルーキー、本山の、ディフェンダーを外し、ゴールキーパーの動きまでも冷静に見極めるほどの落ち着いたファインゴール(素晴らしい『ゴールへのパス』!!)。彼の並外れた才能の証明といったゴールでした。

 その後は、互いに譲らない内容のゲームが進んでいきます。ただ結局は、年間チャンピオンの貫禄といった「決定力」を発揮したアントラーズが、延長ゴールデンゴール(Vゴールでしたっけ??)を決めて、エキサイティングゲームに決着をつけます。

 それはコーナーキックから、秋田、室井とつないで挙げたゴールだったのですが、こんな「決定的パターン」をもっていることもチャンピオンの証明といったところでしょうか。

 それにしても、素晴らしいゲームを展開したサンフレッチェは残念でした。彼らのサッカーからは、選手たち全員が、何らかのフィニッシュまでいく(いける)という確信を持っていることを感じます。それは、トレーニングで培うもの。トムソン監督は良い仕事をしていると感じます。彼らの来シーズンの活躍に期待が高まります。




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