湯浅健二の「J」ワンポイント
2025年Jリーグの各ラウンドレビュー
第37節(2025年11月30日、日曜日)
最終節までもつれ込んだリーグ優勝争い・・アントラーズとレイソルには、「J」の価値をプロモートしてくれた努力に対し、同じサッカー人として、称賛と感謝の拍手をおくります・・(ヴェルディvsアントラーズ、0-1)
・・ウチがゲームを支配していても、彼らは、気がついたらゴールを奪っているんだよ・・
ヴェルディ監督、城福浩が、そんなコトを言ったとか・・
このゲームも、まさにそんな展開になった。
もちろん、ヴェルディの、あり得ないバックパスのミスをかっさらわれ、決勝ゴールを奪われてしまったシーンもそうだったけれど・・
わたしには、それ以上に、後半15分あたりのアントラーズが、CKから創りだした、絶対的ゴール機会が、より強く印象に残ったネ。
結局、レオ・セアラが放ったヘディングシュートは、ワンバウンドしたコトで、バーを越えてしまった。
でも、それもまた、まさに「絶対的」ってなゴール機会ではあった。
あっと、ゲーム展開の概観だけれど・・
皆さんもご覧になったとおり・・
前半立ち上がりの数分間を除き、それ以降は、城福浩ヴェルディが、明らかに、イニシアチブを握りつづけたんだよ。
そのなかでヴェルディは、何度か、決定的ゴール機会まで創りだしたんだ。
それだけじゃなく・・
そう、ビックリするコトに、後半も、同じようなゲーム展開になったんだよ。
こちらは、アントラーズの反攻を期待していたわけだから、チト、面食らった。
それだけじゃなく・・
そんな、ヴェルディがイニシアチブを握るなかで、松橋優安が、これまた、まさに決定的ってなゴール機会に恵まれるんだよ。
アントラーズGK、日本代表の早川友基は、松橋優安が、眼前5メートルからブチかましたフリーシュートを、右手一本で抑え込んじゃったんだよ。
その瞬間、もちろん、こちらは、息を止めた。
そして次の瞬間、「フ〜〜〜ッ!!」ってな大きなため息が口をついた。
そんな、まさに「凌駕」ってな感じで、ヴェルディがイニシアチブを握りつづけるゲーム展開・・
それでもアントラーズは、前述したような、ほんのわずかなゴール機会を、逃さず、冷徹に、ゴールに結びつけちゃう。
それって、伝統!?
そうだね〜・・
究極の心理ボールゲームともいえる、不確実なファクター満載のサッカーだからこそ、最後は、選手たちの「サイコロジカルな熱量や集中力」が、雌雄を分ける!?
なんか、分かりにくいけれど・・
とにかく、サッカーが不確実であるからこそ、さまざまな局面で、サイコロジカルな部分(心理・精神的な強さ)が問われる。
そのコト「も」、このスーパーエキサイティングマッチから抜き出したいテーマではあった。
そこでの、両チーム選手たちの「心意気」・・
彼らは、例えば、意図していた(予測していた)状況とは、まったく違う展開になり、自分のアクションが「空を切っても」、同時に、次、その次の攻守ハードワークを、主体的に探しつづけるんだ。
選手たちには、そんなサイコロジカルな熱量が、満ちあふれていた。
それは、自分がやりたいと思い、それを実現させようとする心理・精神的なバックボーン(マズローの言う、自己実現ネ)ってな感じで表現できるかも・・
情熱ってな表現もアリだけれど、サッカー人は、そんなサイコロジカルな熱量を、積極的&攻撃的に、求めつづけなきゃいけないんだよ。
私は、そんな、強固な「意識と意志」が集約した「状態」を、「主体性プレー」って表現する。
その意味で、この試合でのヴェルディは、存分に、観る人々を感動させるに十分な「存在感」をブチかましつづけたと思うよ。
とにかく城福浩ヴェルディは、それは、それは、とても立派なサッカーを魅せてくれたんだ。
とにかく、このゲームで彼らが魅せつづけた、高尚な「意識と意志と意地」は、確実に、彼らの、これからの進化&深化を、加速させるに違いない。
ということで、「J」最終節。
勝ち点1の差で、アントラーズと(2位の)レイソルが、しのぎを削る。
両チームともに、最終節は、ホームゲーム。
アントラーズは、降格リーグを、見事にサバイブしたマリノスを迎え、レイソルは、「あの」徹底戦術サッカーで勝負強い(負けないサッカーを標榜する!?)ゼルビアと対峙する。
最終節までもつれ込んだリーグ優勝争い。
両チームには、「J」の価値を、極限まで高めてくれた努力に対し、同じサッカー人として、称賛と感謝の拍手をおくります。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-
"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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