湯浅健二の「J」ワンポイント


2022年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第28節(2022年9月3日、土曜日)

 

2点をリードされてからのリカルド浦和レッズが魅せた、さまざまな意味合いを内包する、メリハリの効いた、プレーの「落ち着きと爆発」には、何かしらのバックボーンがあった!?・・(アントラーズvsレッズ、2-2)

 

レビュー
 
でも、まず、ダゾンのカメラワーク(ズーミングワーク)から。

立ち上がりから、アタマにきていましたよ。

・・なんだ、このカメラアングルは・・

・・これじゃ、最前線での、攻守イメージングのせめぎ合いを体感できないじゃないか・・

そう、例によって、寄り過ぎのカメラワーク。

サッカーゲームを観戦する方法・・

わたしは、ボールを視野の端っこに置き、最前線での、パスレシーバーと守備マーカーの、攻守イメージングのぶつかり合いを楽しむんですよ。

それが・・

まあ、他の大多数のダゾン中継じゃ、ズーミングワークをしっかりと調整してくれてはいると思うけれど、このゲームでは・・

そう、アタマにきていたんだ。

でも、それが・・

そう、前半25分あたりを境に、急に、アングルが広がったんだよ。

ビックリしながら思った。

・・そこまでカメラを「引いて」くれれば、こちらも、フラストレーションなく楽しめる・・

いったい、何があったんだろうか!?

現場の、どなたかが、カメラアングルの修正を指示してくれた!?

そんなコトは知る由もないけれど、とにかく、その調整で、ホッと胸をなで下ろしたんだ。

でも・・

そう、後半になったら、また、同じような「寄り過ぎアングル」のカメラワークに戻っちゃったんだ。

まあ、前半よりは、すこしは良くなったけれど、それでも、寄り過ぎ。

またカメラ画面の、落ち着きのない神経質な動きにも、閉口させられた。

フ〜〜ッ・・

まあ、仕方ない。

さて、ということで、ゲームだけれど・・

皆さんもご覧になった通り・・

ものすごくダイナミックな、動的均衡マッチだった。

まあ、両チームともに、攻守にわたって、持ち味を出し切った・・と、言えるんだろうね。

たとえば、攻撃&仕掛けでの持ち味・・

そう、アントラーズでは、サイドからのクロス攻撃から、抜群にヘディングが強い、アルトゥール・カイキを活かし切る・・とかネ。

そのアルトゥール・カイキは、2点目のラッキーゴールもゲットしたっけ。

またレッズでは、組織と個のバランスが光り輝く・・

活発な人とボールの動き(組織サッカー)をベースに、松尾佑介とか関根貴大といった、勇気まんまんのドリブラーが、アントラーズ守備バランスを崩すとかね。

まあ、でも、結果としては・・

そう、ゴール機会という視点では、リカルド浦和レッズに、明確に軍配が挙がったんだよ。

まあ、全体的な評価(印象)としては・・

魂の闘いを展開した両チームが、「互角」にぶつかり合った・・という評価が、フェアっちゅうコトなんだろうね。

ということで、ここからは・・

チト視点を変え、「強い」リカルド浦和レッズ・・というテーマに入らせてくださいネ。

たしかに今日は、スターティングメンバーに、かなり「変化」があったけれど・・

リカルド浦和レッズの「強さ」が、ホンモノになってきたことのバックボーンとしては・・

まず、選手タイプの「組み合わせ」が、「相乗効果」を発揮するようになったという側面がある。

そう、スターティングメンバーが、その「優れた組み合わせ」で固まってきた・・ということ。

とはいっても・・

そう、このゲームじゃ、ダヴィド・モーベルク、酒井宏樹、大久保智明といった、「固まりはじめたスターティングメンバー」から三人も欠けちゃったんだよ。

にもかかわらず・・

「あの」強いアントラーズに対して、まさに勝るとも劣らない、素晴らしいサッカーをブチかました。

だから私は、今の、リカルド浦和レッズの強さのバックボーンを、こう考えたい。

選手タイプの「優れた組み合わせ」を見出したこともそうだけれど、それに輪を掛けて、チームコンセプトを徹底させられるようになったコトも、あった!?

要は、運動量豊富に、攻守ハードワークとリスクチャレンジを、積極的&攻撃的に(自ら!)探しまくるってなプレー姿勢のことね。

そう、極限の「主体性プレー」という姿勢の、浸透。

いまのレッズでは、チーム全員のイメージングが、そのコンセプトで統一されているって感じる。

彼らは、一人の例外もなく、最前線から、積極的&攻撃的に、ボール奪取プロセス(守備)に参加してくるんだ。

そう、レベルを超えた「意識と意志とイメージング」が、そこにはある。

だからこそ、相互レスペクトと相互信頼という「心のつながり」が浸透する。

そんなだから、このゲームの立ち上がりから、アントラーズにイニシアチブを握られ、2ゴールもブチ込まれたにもかかわらず・・

そう、まったく焦ることなく、落ち着いて、自分たちのサッカーをやり抜き、ドローまで持ち込んだ。

そのドラマチックな同点劇を成就させるまでに、レッズ選手たちが魅せつづけた、攻守にわたる、自信にあふれたプレーぶりは、ホントに、特筆に値する・・と、感じた。

これからも、この「美しく強い」リカルド浦和レッズは、リーグ後半戦を盛り上げてくれるでしょ。

そう、理想的な、美しい質実剛健サッカーを創りあげ、高みで安定させるためにね。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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