湯浅健二の「J」ワンポイント


2022年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第27節(2022年8月27日、土曜日)

 

フロンターレが魅せつづける優れたサッカーの「微妙な質のアドバンテージ」が目に付いた動的均衡マッチではあった・・(フロンターレvsアントラーズ、2-1)

 

レビュー
 
さすがに、上位対決。

激闘とも表現できそうな、エキサイティングな動的均衡マッチではあった。

両チームともに、攻守にわたって、強烈な「意識と意志」を燃え上がらせたんだよ。

とはいっても私は・・

微妙なトコロで、攻守にわたって、鬼木達フロンターレに一日の長があったと感じていた。

ボール奪取プロセス(守備)にしても、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)にしても。

そんなふうに、微妙なニュアンスまで観察できたのは・・

ダゾンのカメラワーク(ズーミングワーク)に、しっかりとした意図があったから他ならない。

たしかに、チト「寄り過ぎ」の感は、「まだ」あったけれど・・

それでも、カメラマン氏(実況も含むクルーの方々!)は、勝負所での、攻守にわたる、ボールがないところでの「せめぎ合い」の内実まで、しっかりと捉えようとしていたって感じたんだ。

今日は、よかったと思います。

ということで・・

フロンターレが魅せつづけた、攻守にわたる、微妙なアドバンテージ。

彼らの意識と意志とイメージングというファクターに、そのバックボーンが集約されていた!?

ここからは、何とか、「それ」を表現することにトライしますよ。

まずボール奪取プロセス(守備)では・・

何といっても、チェイス&チェックやカバーリングの「実効レベル」に、差が見えたね。

そうなんだよ、アントラーズでは、「寄せ」が甘いって感じたんだ。

だから、「次」のカバーリングやインターセプトアクションが、うまく「連動」しない。

それに対して、フロンターレの「それ」は、とても忠実だし、「勢い」があった。

中盤プレイヤーたちのハードワークも素晴らしかったけれど、特に・・

最前線のマルシーニョや(超天才!!)家長昭博が、自軍ゴールライン付近まで下がり、強烈なチェイス&チェックやカバーリングをブチかますシーンが、インプレッシブの極みだった。

そして、だからこそ・・

その「寄せ」を信頼している「周り」も、次、その次のボール奪取を、しっかりと狙うようなハードワーク(勝負アクション)もブチかましていける。

もちろん、局面デュエルってなシチュエーションに入ったら、両チームは互角だったけれど・・

それでも、「そこに至るまでのプロセス」に、差があったっんだ。

だからこそ、その局面デュエルにしても、フロンターレが、より有利に展開できた!?

また、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)でも・・

そう、人とボールの動きの内実で、フロンターレに、微妙なアドバンテージがあった。

それって・・

そう、やっぱり、各ステーション(パスレシーバー)のプレー内容が、とても安定していることが絶対ベースなんだろうな。

彼らは、決して、トラップしたボールをこねくり回したりせず、明確な「リズム」で、次のスペースやチームメイトの足許へ「動かす」んだよ。

その「リズム」があるからこそ、ボールがないところでの決定的フリーランニングにも、勢いが乗る。

そんな、戦術的なイメージングの高質な「シンクロ」があるからこそ・・

そう、ワンツーを積み重ねる、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション「も」ブチかましていけるっちゅうモノさ。

そして、攻守にわたる、そんな、「機微のアクション差」こそが、勝負を分ける。

フムフム・・

でも、後半は、アントラーズも、存在感をアップさせたよね。

そう、優れたサッカーを展開し、前半には、何度も、2点のリードを広げられるチャンスを創りだしたフロンターレだったけれど・・

後半のアントラーズもまた、新任監督の、岩政大樹にリードされ(!?)、「意識と意志とイメージング」のレベルを大幅にアップさせてグラウンドに立ったんだ。

だから・・

前述した、攻守にわたる微妙な「戦術プレーの差」は、縮まった。

でも、結局アントラーズは、最後は、「エイヤッ!」の単発勝負プレーばかりが目立つような仕掛けに終始するようになってしまった。

もちろん彼らは、それでも、危険な流れを創りだしたよ。

ただ、そんな、強烈な意志が込められた、パワフルな勝負プロセスを魅せたアントラーズではあったけれど・・

結局、最後は、フロンターレとの「微妙な差」を埋め合わせるコトは、できず仕舞いに終わった。

さて、Jリーグ・・

サッカーの内容で、「J」を引っ張る(べき!?)、ケヴィン横浜マリノス、鬼木達フロンターレ、ミヒャエル広島サンフレッチェが、上位を占めるような展開になってきた。

この3チームが、「J」のイメージリーダーになるコトは、とてもポジティブだと思うよ。

そして、そこに・・

そう、そのうち、チームの「骨格」が固まりつつある(そしてパフォーマンスも格段にアップしつつある!!)リカルド浦和レッズも、目立たず、ヒタヒタと、追い上げてくるような・・

へへっ・・

何か、楽しいネ〜・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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