湯浅健二の「J」ワンポイント


2022年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第12節(2022年5月8日、日曜日)

 

レッズ選手たちは、心理的に「守り」にはいるのではなく、もっと自分自身を解放しなきゃいけない・・そう、ホンモノの主体性プレーを志向してネ・・(レイソルvsレッズ、0-0)

 

レビュー
 
スゴかったね〜、レイソルのボール奪取プロセス(守備)。

素早く効果的な攻守の切り替え(トランジション)・・

そこからの、間髪を入れない、ダイナミックなチェイス&チェック(寄せ)・・

忠実なマーキングやカバーリング(チェイスと連動!)・・

強烈な意識と意志を放散する局面デュエル・・

そして、闘う意志が集約する、最終勝負シーンで繰り出す「最後の半歩」・・

・・等など。

サスガにネルシーニョ。

レイソルは、よくトレーニングされたチームだ。

そんな強いチームと対峙したリカルド浦和レッズ・・

前半42分、江坂任がスペースへ抜け出して送り込んだクロスを、まったくフリーで走り込んだアレックス・シャルクが、ヘディングシュートを見舞ったシーン。

たぶん、本当の意味で「ゴール機会」って呼べるのは、これだけだったね。

まあ、それ以外にも、チャンスができそうな「仕掛けの流れ」は、何度もあったけれど・・

それでも、前述したレイソルの、強烈なボール奪取プロセス(守備)に、潰されまくったんだ。

ということで、このコラムのテーマ・・

それは、イニシアチブを握りながら、スベースを攻略できない(シュートチャンスやゴール機会を創りだせない!)レッズ・・。

今シーズンのレッズの成績は、振るわない。

でも・・

そう、シーズンの立ち上がりは、まさに「ツキに見放された」ってなゲームがつづいたんだよ。

イニシアチブを握り、人とボールを動かしながら、「個の勝負」も効果的にミックスしていく。

そんな、「組織」と「個」が、ハイレベルにバランスする高質サッカーを魅せていたんだ。

だから、当時のわたしは、まったく心配していなかった。

またACLでも、優れた闘いを魅せたしね。

とはいっても・・

そう、ACLで対戦した、レッズの「良さを消す」だけってな戦術サッカーをブチかました「テグ」との対戦では、苦労させられた。

たぶん・・

そう、百戦錬磨のネルシーニョが、そのテグ戦を参考にしなかったハズがない。

そして、この試合のレッズ・・

最初の時間帯は、人とボールが、とても有機的・効果的に「連動」するシーンを創りだした。

でも、徐々に、レイソルがブチかます、レベルを超えた「忠実マーキング&カバーリング」に、レッズ選手たちの足が止まり気味になりはじめたって感じられるようになったんだ。

それじゃ、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションだって、うまく機能するはずがない。

そう、無為な「様子見」がはびこる、アナタ任せのサッカー・・

そんなだから、レッズのスペース攻略プロセス(仕掛け)から、「期待と可能性のポジティブムード」が、どんどん減退していっちゃうのも道理。

また、「個の勝負」という観点でも、とてもネガティブな印象が残った。

ドリブル勝負を期待されている選手たちが、ことごとく、横パスやバックパスに「逃げる」ように、気持ちがダウンとつづけたんだ。

また、雰囲気をガラリと変えられる「爆発ミドル弾」などが、出てくる気配もない。

それじゃ、チーム内の雰囲気が、ネガティブに停滞しちゃうのも道理。

後半は、目も当てられない、後ろ向きのプレー姿勢ばかりが目立っていた。

さて・・

どうなんだろうね・・

わたしの目には、選手たちが、心理・精神的に「解放」されていないと映っていた。

そう、「失敗したくない・・ミスしたくない・・」ってな、後ろ向きの心理。

いいじゃん、失敗したって・・

わたしの師匠だった、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーや、故リヌス・ミケルスは、口を酸っぱくして、「もっと、選手たちのマインドを解放しなきゃダメだ〜っ!!」って主張しつづけていた。

そう、攻守にわたる、主体性プレー。

もっと言えば、リスクチャレンジへの積極マインド。

さて、ここから、リカルド・ロドリゲスの、心理マネージャーとしての「本当のウデ」が試される。

レッズ選手たちの「偏狭な心理」を感じ、とても心配になっていた筆者だった。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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