湯浅健二の「J」ワンポイント


2021年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第35節(2021年11月7日、日曜日)

 

やっぱり、ボール奪取プロセス(守備)の内実こそが、全体サッカーの「質と実」を左右する決定的ファクターだよね・・そう、美しい質実剛健サッカーを目指して・・(アントラーズvsレッズ、1-0)

 

レビュー
 

なんで、こんな大事なゲームで、このカメラワーク(ズーミングワーク)なんだ!?

ロングパスが出されても、こちらは、「結果」しか観られない。

大事なのは、そんな結果ではなく、(最前線での!?)攻守のイメージング(両チームの意志)が、ギリギリで「せめぎ合う」プロセスなんだ。

ダゾンで、世界中のサッカーを観るけれど・・

とにかく、こんな「寄り過ぎ」のカメラワーク(ズーミングワーク)は、日本の国内プロリーグ「だけ」だって感じられるんだ。

ダゾンさんは、その確かな事実と、そのコトに内包される意味合いを、しっかりと認識しているのだろうか!?

・・ってな感じでアタマにきていたら、徐々に、カメラマンの方が、少しだけ「ズームを引く」ようになっていったんだ。

ディレクターの方のアドヴァイス!?

まあ、とはいっても・・

やっぱり、組み立て段階で、ボールと、最前線の「意志のせめぎ合い」を同時に観られないという、フラストレーションが溜まる事態には、閉口させられていた。

フ〜〜ッ・・

まあ、仕方ない。

ということで、ゲームだけれど・・

誰が観ても、アントラーズの「完勝」という結論に落ち着くだろうね。

とにかく、ボール奪取プロセス(守備)で、レッズは、完璧にアントラーズの後塵を拝しつづけたんだ。

チェイス&チェック(寄せ)のダイナミズム(意志の内実!)が、雲泥の差。

それは、素早く効果的な趣向の切り替えも含め、ボール奪取プロセス(守備)の最初のステップというわけだけれど、そこでレッズは、まったく盛り返せなかった。

だから、次の攻撃でも、特に「人の動き」を加速させられない。

それでは、人とボールの動きが活性化しないのも道理ってなもんだ。

そして、そんな緩慢な攻めを、アントラーズの積極的&攻撃的なボール奪取プロセスが、これ以上ない程の実効レベルで「潰し」つづけたっちゅうわけさ。

そんなプロセスを観ながら、ちょっと驚かされたのが・・

気持ち的に「押し込まれた」レッズの、攻守プレーの「意識と意志」が、まったく好転しなかったという事実を目の当たりに「させられた」ことだね。

心理的な悪魔のサイクル!?

たしかに前半のレッズは、そんなネガティブな心理に落ち込んでしまったようだね。

まあ、たしかに後半になってからは、それまでの「雲泥の差」が、「ニュアンスの差」ってなトコロまで縮まりはしたけれど・・

それでも、本質的なサッカーの「質と実」という視点で、この日の(!!)レッズは、アントラーズに手も足も出なかった・・というのは、確かな事実ではあった。

もちろん、本質的な「実力」ではタメを張る両チームだから・・

次の対戦では、確実に「意識と意志とイメージング」が何倍にも膨れ上がったレッズが、まさに「別人」ってなダイナミックサッカーを魅せてくれるはずさ。

とにかく・・

このゲームでのキーポイントは、何といっても、アントラーズがブチかましつづけた、大パワーの、ボール奪取プロセス(守備)だった。

特筆だったのは・・

後半になっても、その勢いが大きく減退することがなかったという事実だね。

また、レッズの攻守ハードワークとリスクチャレンジ姿勢にも、エネルギーの爆発(積極的&攻撃的なプレー姿勢!)が感じられなかったのも、確かな事実だった。

ということで・・

このゲームについては、アントラーズの相馬直樹に対し、その素晴らしい、心理&戦術マネージメントを賞賛するしかない。

ところで・・

先日のコラムで、優勝レースへの参加チームとして、相馬直樹アントラーズのことを忘れてしまっていた。

ホント、申し訳ない。

ここで改めて・・

相馬直樹アントラーズもまた、明確なチャンピオン候補であります。

へへっ・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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