湯浅健二の「J」ワンポイント


2021年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第30節(2021年9月25日、土曜日)

 

勝負強さが(その骨子ファクターが!?)増幅しつづけるリカルド浦和レッズ・・そのことで、以前のトータルフットボール的なテイストも、戻ってきつつある!?・・(FC東京vsレッズ、1-2)

 

レビュー
 

それにしても、ゲーム最後の時間帯・・

FC東京がブチかました(ブチかまそうとした!?)パワープレーを、ものすごく忠実に、そして創造的に抑え切った、レッズの、連動するボール奪取プロセス(守備)。

素晴らしかった。

そう、それこそが、「今のレッズ」が魅せつづけている「勝負強さ」の絶対ベースなんだ。

忠実さ・・

もちろん、その象徴は、相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)へのチェイス&チェック(寄せ)。

それが効果的だからこそ(連動する味方のモティベーション!?)、周りの忠実マーキング、次のカバーリングやインターセプト等を、効果的に機能させられる。

そして・・

そう、自信と確信にあふれる(強烈な意識と意志が炸裂する!?)、「最後の半歩アクション」も、結果につなげられる。

あっ、それって・・

サッカーだから、どうしても発生する、相手の、決定的シュートシーン(絶対的ピンチ!)で、それをギリギリで阻止する、最後の半歩ブロックのことです。

FC東京がブチかましたパワープレーでも、何度か、そんな「ギリギリのブロック」が必要なシーンがあったね。

でも実際には・・

そう、レッズ守備は、「そこ」に至るまでのプロセスで既に、抜群の「連動ディフェンス」で、FC東京のフィニッシュプロセスを抑え込んでいたんだ。

とにかく・・

ゲームの全体的な内容からすれば、まさに、レッズの完勝って言えるでしょ。

その絶対ベースは、誰もサボらない、連動しつづけるボール奪取プロセス(守備)。

「あの」江坂任にしても、ボール奪取プロセスへの参加内容が、アップしているんだぜ。

それって、オリンピック前に彼らが魅せつづけた、「美しい質実剛健サッカー」にもつながる要素を秘めているよね。

そんな絶対ベースに、いまでは、効果的な「勝負強さの感性ファクター」までも加味されつつある!?

とにかく、いまのリカルド浦和レッズは、とても、強い。

あっと・・

そうそう・・

「あの変な」前半のゲーム展開・・

まず立ち上がりの37秒・・

FC東京の田川亨介が、森重真人からの「超」ロング仕掛けパスに追い付き、そのまま先制ゴールを決めちゃうんだ。

その後のFC東京・・

彼らは、まったく押し上げていけず(いかず!?)、まさに「籠の鳥」ってな感じで、自軍ハーフに「張り付く」ばかりだった。

まあ、たしかに、そんな集中ブロック守備に、リカルド浦和レッズは、スペースを攻略するような創造的な仕掛けを、簡単には繰り出していけなかった。

ただ一度だけ・・

そう、前半46分・・

押し上げていた平野佑一が、ノールックの決定的スルーパスを、タテへ決定的フリーランニングを仕掛けた酒井宏樹に、ピタリと合わせちゃうんだよ。

そのタイミングは、副審の方もオフサイドと見紛うほどギリギリだった(VARでノーオフサイドと確認された!)。

もちろん酒井宏樹の「股抜きシュート」も素晴らしかったけれど、やっぱり、平野佑一が魅せた、相手の視線とアクションを引きつける「タメのドリブル」に鳥肌が立つよね。

ところで、この、前半での(リカルド浦和レッズの!)一方的なイニシアチブだけれど・・

そんな展開になった背景は、やっぱり、先発のメンバー構成もそうだったけれど、自分たちが一点リードしている・・という「心理」だったんだろうね。

でも結局、その忍耐サッカーの努力は・・

平野佑一と酒井宏樹のスーパー・コンビネーションで、水泡に帰してしまった。

あっと・・

リカルド浦和レッズが挙げた、決勝ゴールも秀逸だった。

後半21分。

中盤で、フリーでパスを受けた関根貴大が、左足で、まさに「意を決した!」ミドルシュートをブチかましたんだよ。

それが、東京ゴールのバーを直撃する。

言いたかったのは・・

その後に、実際のシュートを決めた江坂任の、落ち着き払った判断・・ね。

バーを直撃したボールは、グラウンドで、大きく跳ね上がる。

それが、直接、江坂任の「足許」へ落ちてきたんだ。

東京ディフェンダーのジョアン・オマリ・・

彼は、もちろんブロック体制に入るけれど、高く上がったボールが落ちてくる瞬間だから、何か「中途半端」なアクションになってしまうんだよ。

たぶん、「あのボール」を、江坂任が、ダイレクトでシュートするという「イメージ」に、確信をを持てなかったというコトなんだろうね。

だから、江坂任へ、強烈にプレッシャーを掛ける(寄せる)というよりも、どちらかといったら、次の決定的展開に備えて(!?)、突っ立ち気味のシュートブロック体制しか執らなかったんだよ。

でも、次の瞬間・・

あろうことか、江坂任が、その、難しい、「落ちぎわのボール」を、ダイレクトで叩いちゃう。

そして蹴られたボールは、ジョアン・オマリの「股」を抜け、東京ゴールの右隅に「吸い込まれて」いったという次第。

もちろん江坂任のイメージには、股抜きシュートと、東京ゴールの右隅へ吸い込まれていくボールが、しっかりとイメージされていたんだろうね。

「あの」ダイレクトシュート・・

それは、まさに、江坂任の才能の証明でもあったということです。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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