湯浅健二の「J」ワンポイント


2019年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第28節(2019年10月6日、日曜日)

 

レッズが魅せた素晴らしい「粘勝」・・そのバックボーンには、大槻毅さんの優れた心理&戦術マネージメントだけじゃなく、様々な「ハートフェルト・ストーリー」もあった・・(レッズvsエスパルス、2-1)

 

レビュー
 
いいね〜〜っ・・

大槻毅レッズの「カタチ」が、徐々に鮮明になってきてるじゃないか。

ところで、監督会見・・

大住良之さんが、会見を終えてホールを出ようとしていた大槻毅さんのもとへ寄っていった。

そして・・

・・今日は、とても早くスタジアムに着いたので・・

・・さきほど大槻さんが言及された、サポーターとの触れあいを目撃したんですよ・・

・・それは、本当に心温まるシーンでした・・

その場には私もいたのですが(大住さんの後、わたしも大槻毅さんと、短く言葉を交わしたっけ・・後述・・)、その大住さんと大槻毅さんとの会話の内容について、大住良之さんに聞いた。

・・今日バスが到着したとき、何があったんですか?・・

そしたら、大住さんが詳しく説明してくれたんだよ。

・・前回、天皇杯で負けた後にバスを取り囲んで、ネガティブな言葉を投げかけたのと同じ人たちが、今日は、チームを心からサポートしていると温かく伝えていたんだよ・・

・・それも、またまたバスを取り囲んでね・・

・・だからバスは、スタジアム内に入庫できず、立ち往生していたんだ・・

・・でも今日の、バスがスタックしたときの雰囲気は、天皇杯のときとは真逆だったわけさ・・

・・そりゃ、感動的な「触れあい」だったんだよ・・

そういえば・・

大槻毅さんも、会見の最後に、そのときの感動と、勇気をもらったことに対して心から感謝するってコメントしていたよね。

いいハナシだね〜〜・・

まあ、それも、これも、天皇杯で敗退したときに、ネガティブな雰囲気で取り囲まれたときの、大槻毅さんの真摯な言動あればこそだったんだろうね。

わたしは見ていなかったけれど、聞くところによると、大槻さんは、取り囲まれていたバスから降り、自身の責任に対する謝罪と、これからも全力でサッカーに取り組むことについて、素直な言葉で約束したということだった。

まあ、たしかに、その行動には、とても微妙なニュアンスが付きまとうけれど、今回だけは、うまく機能したっちゅうことなんだろうね。

まあ、それも、これも、レッズサポーターの方々の「民度が高いことの証明」っちゅうことか!?

フムフム・・

とにかくレッズが、今日の試合も含めて、全力でサッカーに取り組み、結果を出しているのは確かな事実だからね。

そして、そんなグラウンド外の「現象」も含めて、大槻毅レッズが、確固たる「カタチ」を構築するなかで、それに、着実に「実」も詰まりはじめているっちゅうことだね。

いいね〜〜・・

あっと、試合。

篠田善之さんが監督に就任してからのエスパルスは、とても良くなっていると感じているんだけれど、このゲームでも、その事実を、とても鮮明に体感できた。

だから、レッズにとって、とても厳しい勝負マッチになるのも道理だった。

先制ゴールは、セットプレーから、エスパルスのドウグラスがブチ込んだ。

それに対してレッズは、ボールは支配するけれど、どうしても、組み立てプロセスからは(ポゼッションからは)うまくスペースを突いていけない(チャンスメイクがままならない)。

たしかにカウンターから、武藤雄樹の超絶フリーランニングに、橋岡大樹からのスルーパスが正確にシンクロし、武藤雄樹のフリーシュートにつながる決定的は創りだした。

でも結局は、エスパルスGK大久保択生のスーパーな飛び出しと、足でのセービングに敬意を表さざるを得なかった。

とにかくエスパルスは、篠田善之さんに率いられ、とてもクレバーに、レッズの仕掛けプロセスへの抑制イメージを、グラウンド上で表現しつづけたんだ。

ということで、流れのなかでは、うまくスペースを突いていけないレッズ。

でも・・

そう、前半ロスタイムが2分を刻んだとき、そのスーパーゴールが生まれた。

前述した全体的なゲーム内容からすれば、とても、とても、唐突にね・・

まあ、ここじゃ、「5秒間のドラマ」を描写しようとは思わないけれど・・

とにかく・・

興梠慎三が魅せた、「タメ & 相手マーカーの視線スティール & 爆発スプリント & 相手マーカーの眼前スペースの攻略」に、鳥肌が立ったっけ

もちろん・・

その、「相手マーカーの眼前スペース」というピンポイントに、正確で「鋭い」ラストクロスを決めた橋岡大樹には、もう賞賛の拍手いかない。

あっと・・その橋岡大樹だけれど・・

前述のスーパースルーパス、そして「この」スーパーラストクロスだけじゃなく、後半30分には、決勝ゴールまでブチ込んだんだっけ。

まさに、この試合でのスーパーヒーローじゃないか。

素晴らしい・・

あっと・・

そんな素晴らしい最終勝負のイメージを構築し、選手たちに植え付けた、優れた心理&戦術マネージャー大槻毅さんにも、賞賛の拍手を送りましょう。

もちろん、冒頭の「感動ストーリーの主役」という意味合いも含めてネ。

とにかく、この同点ゴールは、唐突であったことも含め、インプレッシブの極みだったのだよ。

そして、もう一つ・・

そう、橋岡大樹のスーパーボレーシュートで、レッズが「2-1」とリードを奪ってからの、勝ち切りプロセス。

わたしは、異質の存在感(重要性)オーラを放散しつづける大ベテラン阿部勇樹の交替も含めて、大槻毅さんの「采配」も、高く評価していた。

もちろん、後半ロスタイムに、ドゥトラの決定的シュートシーンはあったけれど・・

でも・・

そこでも、3人のレッズ選手が、しっかりと「最後の半歩」を、スゴイ勢いでブチかましていたんだ。

だからこそドゥトラも、左上角を狙わざるを得なくなった・・!?

とにかく、そんな「レッズ粘勝」の心理バックボーンに、冒頭の「触れあいストーリー」が、かなりの面積を占めていたことは確かな事実だと思うよ。

これから、大槻毅レッズの「粘勝シリーズ」は、どこまで伸びていくのか・・

願わくば・・

いやいや、まだ早い、早い・・

あっ・・そうそう・・

これが、もっとも大事なポイントだった。

それは・・

・・ゲームのなかで、選手たちが、主体的に、そして柔軟に判断し、しっかりと対応してくれた・・

・・勝ち切れたのも、選手たちの強い意志があればこそだった・・

・・その意味で、選手たちに、心から感謝している・・

いいね〜〜・・大槻毅。

冒頭の「立ち話」では、そのコトにも触れたんだよ。

・・大槻さんは、選手の主体性の発展を、とても大事に考えている・・

・・そのことは、発言の端々に感じるのだが・・

それに対して大槻毅さんが激しく反応するんだ。

・・そうです・・そのとおりです・・

・・とにかく、グラウンドでゲームがはじまってしまえば、そこで実際に闘う選手たちこそが主役なんですから・・

いいね〜・・

============

最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


===============

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

==============

 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





[トップページ ] [湯浅健二です。 ] [トピックス(New)]
[Jデータベース ] [ Jワンポイント ] [海外情報 ]