湯浅健二の「J」ワンポイント


2019年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第11節(2019年5月12日、日曜日)

 

たしかに、優秀な外国人選手が主体になったグランパスは、強い・・でも、それにしても、このレッズのパフオーマンスでは、言い訳できない・・(グランパスvsレッズ、2-0)

 

レビュー
 
ダゾン観戦だったけれど、カメラワークが、ボールがないところでの攻防もしっかりと捉えていたから、まあ落ち着いて観戦できた。

それにしても・・

そう、レッズは、まったくといっていいほど、中盤ディフェンスが機能しなかったよね。

それは、もちろん、全体的な運動量(寄せ)や全力スプリント(デュエル)が絶対的に足りないから。

そんなだったから、グランパスに完璧にゲームを支配され、何度となく、スペースを攻略されるという大ピンチに見舞われるのも道理ってなことだね。

この試合での、グランパス先発の外国人プレイヤーだけれど・・

後ろから・・

ランゲラック、シミッチ、ガブリエル・シャビエル、マテウス、そしてジョー。

また、シミッチのパートナーは、「あの優秀な」米本拓司だし、攻撃陣には、心境著しい、長谷川アーリア・ジャスールも、とても良い機能性を魅せつづけていた。

そんな強者どもが、風間八宏がスクリプトを描く、人とボールが動きつづける、正確無比な「トラップ&パス」をスムーズに連続させていくんだよ。

もちろん、そんな組織プレーのなかに、タイミングよく個の勝負(タメや突破ドリブルなど)をミックスさせていく。

その、ワンタッチ(正確なトラップ)&パスだけれど・・

それは、互いのポジショニングバランスを常にイメージしながらの、素晴らしいリズムの「人とボールの動き」のことだよね。

風間八宏は、そのメカニズムについて、「互いの距離感が大事・・」なんて表現する。

もちろん、現存スペースや、空きそうになるスペースを意識したポジショニングをベースに、次、その次のチームメイトの動きをイメージしつづけるっちゅうわけだ。

フムフム・・

とにかく、あれだけ正確に「トラップ&パス&トラップ&パス・・」をブチかまされたら、そりゃ、スペースだって空くし、そこを素早く攻略されちゃうのも道理だよね。

何せ、最重要の「中盤ディフェンス」が、うまく機能していないわけだから・・

そして、レッズの「闘う意志」が殺がれていくっちゅうわけだ。

まあ、それには、中盤ディフェンスでのイメージとアクションを上手くシンクロさせられず、グランパスの人とボールの動きに翻弄されつづけたっちゅう背景もある。

そりゃ、必死に、次、その次を狙って全力スプリントを仕掛けても、結局は、「走らされて」無駄骨に終わるってなシーンが連続しちゃうんだから、意志が減退するのも道理でしょ。

その「無駄骨」は、わたしがよく使う「クリエイティブなムダ走り」とは、本質的な意味が違うよ。

まあ、いまはそのテーマにゃ、入っていかないけどサ。

そんな、こんなで、まさに一敗地にまみれてしまったレッズだったのだよ。

ところで、レッズの中盤ディフェンスが機能しなかった・・というテーマ・・

その背景の主なトコロは、前述した、相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)への連動プレス(読みの寄せ!?)が甘すぎたことだろうね。

エヴェルトンなんか、ボールと絡んでいなければ、例の「トンコ・トンコ」ってなリズムの緩慢な動きで様子見に入っちゃうんだ。

そして、次、その次の「読みの全力スプリント・チェイス」に入る意志など、まったくみられない。

また彼は、攻撃でも、自分からスペースへ抜け出すような、ボールがないところでのチャレンジプレーも、ほとんど仕掛けていかない。

いったい彼は、何を考えてサッカーをやっているんだ??

そんなだから、周りのチームメイトたちが、彼が間接的な原因の(!?)「ホンモノの無駄骨プレー」の後で、ため息をつくのも道理だよな。

そのエヴェルトンについては、ACLブリーラム戦の後、「こんなコラム」をアップしたから、そちらもご参照あれ。

とにかく私は、「今のエヴェルトン」が、様々な意味合いで、レッズ攻撃が沈滞している「元凶」の大きな要因だと考えているんですよ。

フ〜〜ッ・・

とにかくレッズは、初心に返り、攻守にわたる全力スプリント(ハードワーク)の積み重ねを、自分自身に言いきかせ、忠実に実行しつづけなければ、「美しい質実剛健サッカー」なんて、夢のまた夢でしょ。

それにしても、この試合の内容は、チト、ショッキングに過ぎた。

フ〜〜ッ・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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