湯浅健二の「J」ワンポイント


2018年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第8節(2018年4月14日、土曜日)

 

さて、アントラーズの逆襲がはじまる・・(アントラーズvsグランパス、2-0)

 

レビュー
 
さ〜て、この、アントラーズの完勝ゲームを、どのような視点で料理しようか・・

でもサ、やっぱり・・

そう、アントラーズのサッカーが、正しいベクトル上で大きく進化、深化しつづけているっちゅうテーマから入るべきだろうね。

このディスカッションについては、「Jの雑感コラム」や、第6節コラム(対ベルマーレ)をご参照いただきたいのですが、彼らもまた、「美しく勝つサッカー」を志向しはじめたということです。

そうなったら、地力のあるアントラーズが、日本サッカーの「イメージリーダー」として、誰からもレスペクトされ、目指される存在になるのは自明の理だよね。

たしかに、このゲームでも十分に体感できた・・

リーグ随一のディフェンスブロックを擁するアントラーズが、これまた才気あふれる攻撃の雄たちとともに、攻守ハードワークとリスクチャレンジ豊富な、積極的、攻撃的サッカーをブチかませば、最高クオリティーのゲームを創り上げられることをネ。

とはいっても・・

たしかにポゼッションでは、グランパスに軍配があがった。

でも・・

そう、「ゴール機会の量と質・・」という視点じゃ、まさに一日以上の差を魅せつけたアントラーズだったんだよ。

まあ、そんなゲーム展開になったのは・・

前半10分というタイミングで、金崎夢生が先制ゴールをブチ込んだこともあっただろうね。

だからグランパスは、攻め上がっていかざるを得なくなった。

でもグランパスは、たしかに人とボールは活発に動きつづけるけれど(そんな創造性サッカーついては、風間八宏に心からの拍手を!!)、決定的スペースの攻略という視点では、まさに寸詰まりの最終勝負しか繰り出していけなかったんだ。

その要因は、言わずもがな・・

そう、小笠原満男、三竿健斗、中村充孝、そして植田直通&昌子源のコンビで構成する強力なセンターバックを中心とする、堅牢そのもののアントラーズ守備ブロック。

「読み」がいいから、有利な体勢で「局面デュエル」に臨める。

また、体勢が悪くなるような危急状態でも、抜群に「無理」が効く。

たしかに、アントラーズの守備ブロックは強力そのものだ。

だからこそ次の攻撃でも・・

たまにはカウンター、たまには組織的なコンビネーションや勝負ドリブルなど、変幻自在にスペースを攻略していくアントラーズなんだよ。

ところで・・

そのアントラーズのチーム戦術的コンセプトだけれど、以前とは隔世の感がある・・というディスカッション。

ここでは、これ(下記)以上は深く入り込まないけれど・・

例えば守備・・

まず何といっても、より高い位置でボールを奪い返そうと、攻撃的なボール奪取(連動)アクションを繰り広げているというポイントを挙げなきゃいけない。

それ以外でも・・プレッシングを外された後の組織ディフェンスでは・・

以前の、マン・オリエンテッドな傾向から、より柔軟な、ポジショニングバランス&ボール(その動きの予測!)オリエンテッドなモノへと進化していると感じる。

要は、選手たちの主体性と積極性を、前面に押し出しているということだね。

そう、だからこそ、選手たち自身による、「判断」と「決断」、そして勇気をもった主体的なリスクチャレンジ(行動)が、うまく連動(イメージ連鎖)するんだよ。

そして、だからこそ・・

そう、次の攻撃でも、そんな攻撃性、積極性が、ポジティブに増幅していくんだ。

例えば・・

アントラーズの攻撃では、これまでと比べて、「0.5人」から「1.5人」、後方からサポートしてくる選手の数が増えているっちゅうポイント。

それが、3人目、4人目のフリーランニングとして、とても効果的に(美しく)スペース攻略&シュートチャンスメイクの礎(いしずえ)になっているというわけさ。

なんかサ・・

チマタじゃ、前線から最終ラインまでの「距離」を気にしている人もいるらしいけれど、それって、「トライアングルを創れ〜〜っ!!」なんていう、ワケの分からない発想と同じ次元のディスカッションかもしれないよね。

要は、「いかに、相手のボールを奪い返すのか・・」という唯一のテーマを中心に(考えながら積極的に!)プレーするのが正解であり、決して、最終ラインから最前線までの距離(カタチ)を気にしてプレーするわけじゃないっちゅうことさ。

まあ・・例えば攻撃では・・

ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションを、効果的に機能させるためには、人数が必要だし、互いの「距離感に対するイメージ」をシンクロさせることも大事になってくる。

でも、「外郭的なカタチ」ばかりを気にするのは、スタートラインが違うでしょ。

そんな視点からも、いまのアントラーズは、大岩剛監督のもと、とても、とても「解放」されていると感じるわけだ。

今日は難しかったけれど、この次は、必ず鹿島まで馳せ参じまっせ。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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