湯浅健二の「J」ワンポイント


2018年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第27節(2018年9月23日、日曜日)

 

質実剛健の勝利・・レッズに対する期待が膨らんでいく・・(レッズvsヴィッセル、4-0)

 

レビュー
 
内容的にも、数字的にも、とても立派な勝利を収めたレッズ。

実はこの試合、わたしは、あるテーマをもって観戦に訪れたんだ。

そのオブジェクトは、青木拓矢。

彼の攻守にわたる才能は、見まがうことなくトップクラス。その事実について異論を唱える方はいないと思います。

その「才能」は、攻守にわたって、多岐にわたる。

例えば、守備・・

守備組織のリーダーシップ(連動アクションの声かけ等)はもちろん・・

爆発的な寄せ(チェイス&チェック)や忠実マーキングだけじゃなく、クレバーなカバーリングや協力プレスへの参戦といった基本プレーでも、存在感を発揮する・・等など・・

そんな、守備組織の「コア」としてのプレー内容は、まさに天下一品だ。

そして、攻撃・・

あっと・・

その青木拓矢について、オズワルド・オリヴェイラに質問したんだっけ。

そしたら・・

・・彼の秘めたる才能は、レッズに来て、すぐに分かった・・

・・でも、その才能の発展が、まだまだ道半ばだと感じていたんだ・・

・・もちろん守備での実効プレーは素晴らしいレベルにあった・・

・・でもオレは、攻撃でも、センターハーフとして、またリンクマンとして、より攻撃的な仕掛け(パス、ゾーンつなぐドリブル等など!)を要求しているんだ・・

フムフム・・

とにかく、青木拓矢が魅せつづけている「いぶし銀の活躍」は、そんな日常トレーニングが結実しはじめていることの証なんだろうね。

もちろんオズワルドのことだから、青木拓矢に限りない自由度をもたせることで、彼自身から、様々なプレーイメージの現場アイデアが出てくるように仕向けているんでしょ。

このところ、彼が絡んだ(柏木陽介や長澤和輝とコラボした!?)決定的なコンビネーションや決定的パスが、とても目立つようになってきているんだよ。

もちろん、青木拓矢が攻撃でも目立てている絶対ベースは、前述した、優れた実効レベルのディフェンス・コンテンツにあるんだよ。

それがあるからこそ、チームメイトにレスペクトされ、信頼される。

そして、タイミングよく、彼にボールが集まるようになる。

そしたら・・

そう、着実にボールをキープし(アタックしてくる相手フォワードを翻弄し!)、そこから、効果的な展開パスや、一発勝負ロングパスが出てくるのも道理ってなものさ。

その一発ロング(ラスト)パスだけれど・・

オズワルドは、精度だけじゃなく、強さやコース(放物線!)、また、バックスピンを掛けるなどの勝負テクニックなども要求しつづけているってさ。

とにかく、青木拓矢が、レッズ中盤の「王様」にまで成長しているのを観るのは、個人的にも、とても嬉しいコトなんだよ。

あっと・・

ここからは、今日のレッズ中盤の機能性に注目しましょうか・・

今日のレッズは、青木拓矢をアンカーに、その両脇に、柏木陽介と長澤和輝を据えるという「トリプルボランチ」を基本イメージに据えたようだね(オズワルドの弁)。

サッカーの絶対ベースは、もちろん守備(ボール奪取プロセス!)だよね。

そして、そこで、とても重要な意味をもってくるのが、言うまでもなく、「連動性」。

今日のレッズ中盤ディフェンスでは、この連動性が、素晴らしかったんだ。

何せ・・

前述したトリプルボランチの三人は、全員が、攻守ハードワークを積極的に「探しまくれる」強者じゃないですか。

その攻守ハードワークとリスクチャレンジ姿勢には、アタマが下がりますよ、ホント。

それに加えて、最前線の興梠慎三と武藤雄樹「も」、彼らに輪を掛けて、前線からの「辛いディフェンス仕事を探しまくる」タイプだからね。

攻守にわたる「ハードワークの連動作業」がレベルを超えるのも道理だよね。

とはいっても・・

そう、たしかに、ボール保持という視点じゃ、ヴィッセルが上回ったのは事実。

でも、シュート数じゃ、ヴィッセルの3倍近くブチかましている。

ということは・・

守備ブロックを効果的に機能させることで、次のカウンター「気味」の攻めを、高い実効レベルで機能させつづけた・・!?

まあ、そういう側面もあるけれど・・

でもそこには・・

ゴールをブチ込まれつづけたヴィッセルは、人数をかけて攻め上がらざるを得なかった・・という分析ファクターもあるのだよ。

だからレッズは、そんな相手の「前掛かり」のプレー姿勢を、うまく逆利用し、カウンター気味の攻めを効果的に繰り出していったという見方もできるのさ。

もちろん・・

昨日のフロンターレが魅せた、最後の最後までゲームのイニシアチブを握りつづけるスーパーサッカーと比べたら、「美しさ」や「ダイナミズム」という視点で、少しは落ちるかもしれない。

でも・・

そう、レッズは・・

プレッシングをブチかましてくるヴィッセルに対し、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションで、そのプレッシングの輪を、スッ、スッと置き去りにするような美しいサッカーも魅せたんだ。

それは、それで、観る者を魅了する美しさではあった。

考えてみたら・・

昨日のフロンターレは、最後の最後まで、「前から、前から・・」と、人数をかけて積極的にボールを奪い返すチャレンジをつづけていたよね。

だからこそ、ボールを奪い返した次の瞬間には、そのままの勢いで、(人数が、ある程度そろっているからこその!!)素早いコンビネーションをブチかませた。

それに対して今日のレッズは・・

例によって、ある程度高い位置で守備ブロックを組織し、相手のボールの動きを「誘い込み」ながら、スパッと鋭くボールを奪い返していた。

それは、ボール奪取プロセスに関する「守備のチーム戦術」の違い・・とも言える。

より美しくエキサイティングなのは、もちろん、昨日のフロンターレがブチかましたスーパーサッカーだよね。

そう、観ている者を魅了し、次のゲームにも来たいと思わせる(!?)サッカー。

もちろんレッズも、そんな魅力あふれる積極的な攻撃サッカーへと進化していく途上にあるっちゅうことだよね。

これからのレッズに対する期待が、膨らんでいくじゃありませんか。

最後に・・

途中から交代出場した、柴戸海。

まさに(攻守にわたる!)突貫小僧そのものってな大活躍だった。

そう、攻守ハードワークとリスクチャレンジのチャンスを、自ら「探しまくる」っちゅう爆発プレーをブチかましつづけたんだ。

だから、彼の攻守にわたるアクションでは、全力スプリントのオンパレードだった。

そんなエキサイティングプレーを観ながら・・

・・そうそう、彼は、自分が(その瞬間に!)成し遂げたいプレーの具体的イメージを、常に(自分自身で!?)アタマに描きつづけているんだ・・

・・そんなプレー姿勢(強烈な闘う意志)こそが、次の進化&深化の、絶対的リソースなんだよ・・

そんな、普遍的なコンセプトに思いを馳せていたモノさ。

とにかく・・

今日は出番がなかった荻原拓也にしても、岩波拓也や橋岡大樹にしても、この柴戸海にしても、我々のレッズに対する期待を、質実剛健に増幅させてくれるじゃないか。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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