湯浅健二の「J」ワンポイント


2018年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第14節(2018年5月12日、土曜日)

 

高みで安定する積極的な攻撃サッカーを魅せたポステコグルー・マリノスに乾杯!!・・(マリノスvsガンバ、1-1)

 

レビュー
 
このゲームからピックアップするテーマは、もう、コレしかない。

そう、ポステコグルー・マリノスのサッカーが、「攻撃的にバランスのとれたサッカー」へと、一皮も、二皮も剥けている・・っちゅうテーマ。

もろちん、それは、「美しく勝つサッカー」というテーマと同義だよね。

「The Core Column」では、高いレベルの「美しく勝つサッカー」へ到達するまでのプロセスの「タイプ」についてディスカッションを展開したから、そちらもご参照あれ。

要は・・

攻守ハードワークとリスクチャレンジ豊富な、ゲームのイニシアチブを握りつづける攻撃サッカー・・っちゅうことだね。

とにかく、この試合でのポステコグルー・マリノスは、もう、ホントに、素晴らしく魅力的でバランスの執れた攻撃サッカーをブチかましたんだよ。

観ていてホレボレさせられた。

もちろん、その絶対的ベースは、守備にあり。

彼らは、ダイナミックなチェイス&チェック、それに連動する次のボール奪取勝負や、ボールがないところでの忠実マーク、そして言わずもがなの(ボールの動きの停滞に狙いを定めた!)協力プレス・・等など、素晴らしく「主体的」なハードワークをブチかましつづけたんだ。

もちろん、それらの守備アクションは、美しく「連動」しつづける。

そりゃ、魅せられるのも道理ってなものさ。

でも、「数字」が示している通り、内容ではマリノスが圧倒したにもかかわらず、ゲームの結果は、引き分けということになってしまった。

ということで私は、そんな結果なんて無視し、マリノスが魅せつづけた、攻守ハードワークとリスクチャレンジにあふれた攻撃的な組織サッカーが「とても高いレベルにまで進化&深化したこと」に対する感動を表現したいわけさ。

彼らは、もう、フロンターレのレベルにまで到達している!?

そんな評価だって口にできるほど魅力的なサッカーを、ポステコグルー・マリノスがデモンストレートしてくれたんだよ。

もちろん、マリノスとフロンターレでは、特に「攻撃プロセスのニュアンス」に、ある意味での「差異」はあるよね。

でも、サッカーの内実は、両チームともに、日本サッカーの「あるべき姿」を示唆している・・っちゅうポイントでは共通しているって思えるんんだよ。

だから私は、とにかくハッピーな感覚に包まれていたっちゅうわけさ。

あっと・・

そうそう・・

このコラムで書きたかったテーマは、「そのレベルのバランスを内包する美しく勝つサッカー」へ至るまでのプロセスには、大きく分けて2種類ある・・っちゅうディスカッションだった。

そのテーマについては、前述した「コア・コラム」を参照して下さいネ。

ということで、ポステコグルーに、こんな質問を投げたわけさ。

・・シーズン当初は、たしかに魅力的な攻撃サッカーではあるけれど、まだまだ「穴」が多く、これでは勝てないだろうから、もしかしたらポシャってしまうかもしれないなんて心配していた・・

・・でも、ポステコグルーさんは、周りのノイズになど、まったく気にも留めず、自らが信じ、志向するベクトルを突き進み、具体的な成果が鮮明になりはじめている・・

・・このテーマについては、ドイツでも常にディスカッションされているのだが・・

・・そう・・結局、高いレベルのサッカーは、リスキーな攻撃サッカーを、結果が出ないことに我慢して継続することでしか到達できないというディスカッション・・

・・でも現場のヤツらは、もちろん、理想と現実の狭間で、もがき苦しんでいる・・

・・もちろん、全てのコーチが、レベルアップするためには、リスクを冒して、攻撃的にプレーすべきという絶対コンセプトに、100%アグリーしているにもかかわらず・・

・・ということで、マリノスだけれど・・

・・この試合でのマリノスは、ものすごく高い次元でバランスした、とても攻撃的、積極的なサッカーを魅せてくれたわけだが、そこに至るまでの様々なプロセスを、少しだけお聞かせいただけないか・・

そんな私の質問に対して、例によってポステコグルーは、真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれたっけね。

曰く・・

・・このゲームで、選手たちが、最後の最後まで、攻守にわたってハイレベルなチャレンジをつづけてくれたことをホコリに思う・・

・・そのパフォーマンスは、素晴らしかった・・

・・このレベルのサッカーが出来るようになるまでのプロセスがどうだったかって??・・

・・そりゃ(アンタが言ったとおり!?)、攻撃的なサッカーを継続することさ・・

・・そうしているうちに、選手たちにも、自分たちのサッカーに対する自信と確信が生まれ、様々な意味を内包する「バランス」が、高い次元で執れてくるっちゅうわけだな・・

・・いまのマリノスは、そんな発展プロセスでの難しい段階は、乗り越えられたと思っている・・

・・そして、これからも、前向きの経験を積み、自信と確信のレベルを深めていくなかで、!?(攻撃的・積極的な)バランスを突き詰めていくんだ・・

・・今日のゲームだけれど、90分をとおして、冷静にプレーできたと思っている・・

そう、確かに今日のマリノス選手たちは、「心理的なバランス」が取れていたと感じられたね。

聞くところによると、シーズン当初は、かなり、パフォーマンスに「ばらつき」があったらしい。でもここにきて、それが高みで安定してきているということだった。

それって、ポステコグルーによる、優れた心理マネージメントのタマモノ(!?)

もちろん・・そうさ。

マリノスも、自分の学習機会として、ものすごく価値あるプロセスを魅せてくれている。

フムフム・・

ということで、明日の日曜日だけれど・・

私は、初めて、ミハイロのコンサドーレを観戦するつもりです。

とにかく、いまの「J」では・・

ミハイロのコンサドーレ、渡邉晋のベガルタ、下平隆宏のレイソル、大岩剛のアントラーズ、(希望的観測も含めて!?)オズワルド・オリヴェイラのレッズ、 もちろんポステコグルーのマリノス、そして、言わずもがなの鬼木達フロンターレ・・と、リスキーだけれど、日本サッカーの「あるべき姿」を示唆するチーム が、どんどん増えている(あっ・・ベルマーレを忘れた・・スミマセン、チョウさん)。

そのことも言いたかった筆者だったのであ〜る。

へへっ・・

============

最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


===============

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

==============

 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





[トップページ ] [湯浅健二です。 ] [トピックス(New)]
[Jデータベース ] [ Jワンポイント ] [海外情報 ]