湯浅健二の「J」ワンポイント


2017年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第2節(2017年3月5日、日曜日)

 

2017_J1_第2節・・マッシモ・フィッカデンティに、乾杯っ!!・・(フロンターレvs鳥栖、1-1)・・(2017年3月5日、日曜日)

 

レビュー
 
いいね〜〜、マッシモ・フィッカデンティ。

ホントに優れたプロコーチだぜ。

このゲームでの鳥栖は、「あの」フロンターレに一歩も引けをとらず、まさに互角の組織サッカーを展開したんだ。

あっと・・、「互角」と表現したら、チト語弊が生じるかもしれない。

でも鳥栖は、そんなチョット大袈裟な表現をしたくなるほど「高質」な、人とボールをしっかりと(良いリズムで!)動かしつづける組織サッカーを魅せつづけてくれたんだよ。

もちろん彼らの守備は、いつもの定評どおりに良かった。

マッシモのハーフタイム指示・・

・・プレスにいくときはメリハリをつけて、全員で取り組んでいくこと・・

フムフム。まさに、そういうことだよね。

スタートライン、もちろん、バランスの取れた「ポジショニングバランス・オリエンテッド」な守備ブロックの組織づくり。

「ソコ」から入り、味方チェイス&チェックによる、相手ボールホルダーへの「抑制レベル」を見極めながら、周りのチームメイトたちが、効果的に連動していくっちゅうわけだ。

マッシモは、そんな、メリハリの効いた「ボール奪取プロセスのイメージング」を、チーム内で徹底させている。

そのプロセスが徹底しているだけじゃなく、それを成功に導いていくアクション(守備イメージング)が、ホントに、ハイレベルに「シンクロ(同期)」しているんだよ。

だからこそ、鳥栖プレイヤーたちは、一人の例外もなく、「爆発的なボール奪取アクション」を常に狙えているっちゅうわけだ。

そう、インターセプトやカバーリング、相手トラップの瞬間を狙ったアタック、はたまた、ボールがないところでの忠実なマーキング・・等など。

もちろん、最後の判断は「個」に委ねられるわけだけれど、それがうまく機能しているということは、選手たちの「意識と意志のレベル」が、素晴らしくシンクロしているっちゅうことだ。

マッシモが言う。

・・トレーニングに臨む姿勢を観ていれば、その選手のインテリジェンスやパーソナリティーが手に取るように分かる・・

・・だからこそオレは、若手のホープ、鎌田大地にとても期待しているっちゅうわけさ・・彼のトレーニングに臨む姿勢を観ている誰もが、すぐに感じるはずだよ・・コイツは、素晴らしく主体的にトレーニングに臨んでいるってネ・・

あっと・・、その鎌田大地。

面目ないことに、私は、彼のコトをよく知らなかった。

でも、隣に座る講談社の矢野透さんから、このところの若手注目株だと教えられた。フムフム・・

マッシモは、鎌田大地が、必ず日本を代表するプレイヤーにまで上り詰める・・と断言していた。

たしかに今日の彼のプレーを観ていれば、誰もが、そんな「発想」に行き着くハズだ。ホント、攻守にわたって、素晴らしく主体的な「闘い」を魅せつづけていた。

だからこそ、攻撃での創造性プレーが光り輝く。そう、ハードワークをしっかりと実践しているからこそ、チームメイトから頼りにされ、ボールが集まるっちゅうわけだ。

その鎌田大地。とにかく勇気がある。そしてハードワークをつづけるための意志の「持久力」も素晴らしい。

マッシモのコメントをBGMに、今日の鎌田大地のプレーを反芻しながら、これは、本当に期待していいかもしれない・・なんて思っていた。

あっと・・マッシモ・フィッカデンティのハナシだった。

たしかに彼は、素晴らしい仕事を成し遂げようとしている。そして鳥栖をして、完璧なイメチェンを果たさせた(これは、もう過去形だぜ!)。

そう、オーソドックスに高質で強いサッカー。

そんな鳥栖を観ながら、私は、「やっぱり強い意識と意志に支えられた自信だよな〜・・それがあるからこそ、決してビビらずに、強い相手に対してもチャレンジしていける・・だからこそ互角のサッカーを展開できる・・」なんてコトにも思いを巡らせていた。

そう、イレギュラーするボールを足で扱うサッカーは、究極の「心理ゲーム」なんだよ。

だから、少しでも、本当に、ほんの少しでもビビッたら、まったく自分たちのプレーが出来なくなってしまう。

だからこそ、トレーニングが、ものすごく大事なんだ。そこで、実戦でも威力を発揮する「本物の自信」を、いかに確固たるレベルにまで深化させられるか・・。

ドイツ伝説のスーパーコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーが常々言っていた。

・・ゲームがはじまってしまえば、コーチは何も出来ない・・後は、選手たちの意識と意志に頼るしかないんだよ・・

・・だからこそオレ達コーチは、選手が、本物の自信をもち、それを極限の闘いのフィールドでも存分に発揮できるように(心理的にも!)マネージしなきゃいけないんだ・・そう、怒りなどの人間心理のダークサイドパワーを駆使してね・・

今日の鳥栖の(マッシモの!)サッカーは、そんなヘネスの言葉を思い起こさせてくれた。

とにかく、マッシモ・フィッカデンティに、乾杯っ!!!

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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