湯浅健二の「J」ワンポイント


2017年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第28節(2017年9月30日、土曜日)

 

久しぶりの連チャン観戦だぞ〜・・(FC東京vsジュビロ、0-0)、(フロンターレvsセレッソ、5-1)

 

レビュー
 
さて・・

最初に観たFC東京vsジュビロについては、ごく簡単に・・

この試合からピックアップするテーマは、FC東京の新任監督、安間貴義さんが、とても良い仕事をしているという事実かな。

そう、彼らは、守備の安定とともに、攻撃でも、しっかりと人とボールを動かせるまでに(ゲームの流れのイニシアチブをしっかりと握れるまでに!)進歩しているんだ。

そうそう、そういえば・・

ハリルホジッチが、「日本は、ポゼッションサッカーを目指すべきじゃない・・」なんて、ちょっとワケの分からないコトを言ったとか。

たぶん彼が意図したところは、W杯の本大会では、(ブラジルW杯で、アルジェリアがドイツをギリギリまで追い詰めたような・・)必殺ショートカウンターサッカーを目指すのが有効だ・・ということが言いたかったんだろうね。

そうでなければ、この2年間、いったい何をやっていたのか(何を学習し、日本に何を残していこうとしているのか)・・というコトになってしまうでしょ。

彼は、イビツァ・オシムを敬愛しているはず。それだったら・・

そう、攻守にわたって、しっかりと仕事(ハードワーク)を探しつづけることで、常に数的に優位なカタチを創りだし、イニシアチブを握るサッカー。

リスクチャレンジのないところに、進化はないんだよ。

でも、W杯の本大会というステージは特別。

そこで、実力的に限界がある日本が、できる限り「上」まで勝ち進むためには、それなりの「戦術サッカー」を徹底することが必要になるのは道理っちゅうわけさ。

多分、ハリルホジッチは、そのことが言いたかったんでしょ。

とにかく私は、「変な(偏った!?)報道内容」を読んで、どうも日本サッカー協会は、彼を、うまくフォローアップ出来ていないのかもしれないと感じてしまったんですよ。

何せ、あんな「変なこと」が、直接メディアの紙面を飾っちゃうんだからね。

あっと・・蛇足・・このゲームのイニシアチブをにぎって「美しく勝つ・・」というテーマについては、二試合目のコラムでも扱います。

ということで、チト脇道に逸れすぎちゃったけれど・・

言いたかったことは、FC東京が、正しいベクトル上を進んでいる・・っちゅうことだった。

彼らは、サッカーの内容でも、結果につながる(流れのなかからの)チャンスの量と質という視点でも、明確に、ジュビロを凌駕したんだよ。

でも結局は、そのチャンスを決め切れずに引き分けという結果に甘んじた。

まあ、この試合を総括したら、両チームともに、「石橋を叩いて渡る・・」ってなディフェンス偏重サッカーに陥っていたとせざるを得ないかもしれないね。

ということで、正直、心躍らされないゲームではありました〜。

へへっ・・

_________

さて、ということで、エキサイティングだった、フロンターレvsセレッソ。

私は、美しく勝つことを志向している鬼木フロンターレを心からサポートしているから、心から楽しませてもらった。

まあ、とはいっても、ユン・ジョンファン率いるセレッソが立派なサッカーを展開したのも事実だし、その評価をネグレクトするのはフェアじゃない。

私は、前半のゲーム内容から、本当に、後半のセレッソが巻き返すと思っていたんだ。

でも・・

そう、あれ程のスーパーシュートが、ズバンッ、ズバンッ決まったら、そりゃ相手は、どうしようもないでしょ。

鬼木達監督も、「ゴールのタイミングがよかったことが大量得点につながった・・」って、チト微妙なニュアンスのコメントをしていたっけね。

まあ、でも、日本サッカーにとって(志向するベクトル的に!!)至宝とも言えるフロンターレは、とても強いチームだから、この試合も、順当に勝利を収めたとするのがフェアな評価でしょ。

もちろん私は、彼らが、リーグのチャンピオンに上り詰めることを期待しているんだ。

何せ私は、前述したように、美しく勝つサッカーこそが日本にとって最良だと思っているし、そのサッカーが日本を牽引して欲しいと思っているわけだからね。

そんな、鬼木フロンターレ・・

・・様々な意味合いで、いまのフロンターレは、とてもエキサイティングなブレイクスルーを果たしつつあると感じています・・

・・私は、そのキッカケになったのが、アントラーズを、サッカーの内容と結果で凌駕したリーグ戦だったと思っているのですが・・

そんな質問を、フロンターレ鬼木達監督に投げた。

もちろん彼は、例によって真摯に(まあ基本的には私の意見にアグリーのニュアンスで!?)コメントしてくれたけれど、なかでも、こんな発言がとても興味深かった。曰く・・

・・そうですね・・このところ、(この試合も含めて!?)大事なゲームを、しっかりと勝ち切れるようになっていると感じているんですよ・・

・・熱く(強烈な意志をもって!?)ギリギリまで闘うけれど、心は、クールに冷めている・・そんな、とてもクリエイティブな雰囲気が、チームのなかに醸成しはじめていると感じるのです・・

いいね〜〜、鬼木達。

これまで何度も書いてきているように、フロンターレのサッカーは、たしかに美しいけれど、「それ」で勝つのは容易じゃない。

特に、アントラーズのような、個のチカラに優れた強者連中が、「基本リアクション・・」ってな戦術サッカーを徹底しているケースでは・・ネ。

もちろんアントラーズだって、「美しく勝つサッカー」を志向できるし、もし彼らが「それ」を目ざしはじめたら、鬼に金棒・・ってなリーグ展開になってしまうかもしれないよね。

でも彼らは、勝つこと「だけ」を最優先する・・

ところで、「J」のなかで、美しく勝つことを志向しているチームは・・??

いつも書いているように、フロンターレ以外にも、レイソル(彼らは、相手によって戦術サッカーもやるけれど・・サ)やレッズ、はたまたガンバ等がいる。

でも結局、リーグの優勝争いに残ったのはフロンターレとレイソルくらいになってしまった。

とにかく私は、フロンターレを全面的にサポートするつもりでっせ。

鬼木達さんによって復活し、「本物のブレイクスルー」を果たした天才、家長昭博も、どんどんと攻守ハードワークの量と質をアップさせているしネ。

そう、いまの家長昭博は、牛若丸も認める真の(そして天才的な!)チームプレイヤーとして、チームの誰からも頼りにされる存在になっているんだよ。

いまのフロンターレの「ブレイクスルー」ベクトルも、家長昭博のブレイクスルーと、ある意味「シンクロ」していたのかもしれないね。

とにかく、様々な意味合いで、一皮も、二皮も剥(む)けはじめているフロンターレに、心躍らされている筆者なのであ〜る。

へへっ・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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