湯浅健二の「J」ワンポイント


2014年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第30節(2014年10月26日、日曜日)

 

素晴らしい勝者メンタリティーのぶつかり合い・・手に汗握った・・(アントラーズvsレッズ、 1-1)

 

レビュー
 
まだアントラーズの会見場。

鉄は熱いうちに打て・・ってなコトで、このまま書き終え、コラムをアップしてから帰宅することにしました。

まあ、それには、久しぶりのオートバイでの長距離移動ということもある。

頸椎ヘルニア由来の神経痛が完治したわけじゃないから、首を「反り返らせ」ての単車ライドは、まだキツイ。だから、交通量の少ない夜中に走る方が楽だと思ったわけなのです。

でも、天気予報では、真夜中でも「まだ」雨雲が消えず、それも、私が帰る方角から「迫って」くるんだよ。私は、東関東自動車道、「潮来」から「習志野」を経由して東京まで帰る。だから帰りは、雨の中へ突っ込んでいくっちゅう感じなんだよ。

でも、家にたどり着いたら、すぐに着替えられるからネ・・。これが、「行き」に降られようものなら、もう最悪だった。フ〜〜ッ・・

あっと、ゲーム。

とにかく、最後の最後まで、こちらの集中力が途切れる(眠くなる!?)ことはなかった。それほど緊迫したエキサイティングマッチだった。

これほど充実したゲームは、めったに観られるものじゃない。

ということで、この試合から抽出したテーマは、唯一。

そう、両チームが魅せつづけた、ホンモノの勝者メンタリティー。

私は、両チームともに、ものすごく高い意識と強い意志をもって、最後まで闘い抜いたと思っているんですよ。

そう、強烈な勝者メンタリティーの激突。

両チームともに、決して、ビビって消極的な「リアクション・サッカー」に陥ることもなく、最後の最後まで、積極的に「仕事を探しつづける」という姿勢を貫いた。

だからこちらも(もちろん読者の皆さんも!?)手に汗握ってコトの顛末(てんまつ)を見守っていた。

とはいっても、ゲームの「流れ」には、ある程度の「紆余曲折」はあったよ。

例えば立ち上がりの15分。

ミハイロは、「アントラーズが、これほど守備的にゲームに入ってくるとは思わなかった・・」と言っていたけれど、私は、今日のチームの「フォーム」という視点で、レッズが大きく優っているに違いない・・と感じていた。

要は、ゲームがはじまって15分くらいまで、サッカー内容に「大きな差」があったんだよ。

ゲームのイニシアチブを握るだけじゃなく、「あの」アントラーズの守備ブロックを振り回してスペースを攻略し、実質的なチャンスに結びつけてしまうレッズ。

そして実際に、PKを奪ったり、マルシオ・リシャルデスが(PKを失敗した後でも!)決定的なチャンスを獲得したり。

私は、出発前(前節の)ヴィッセル対アントラーズ戦を、詳しく観察していた。そして思った。アントラーズは、彼らの伝統そのままに、質実剛健に「勝負強いサッカー」を展開している・・。

でも、この試合の立ち上がりの彼らは、見る影もなかったんだよ。でも・・

そう、時間の経過とともに、アントラーズが息を吹き返していったんだ。そして、彼ら独特の、伝統的な勝者メンタリティー・サッカーを展開しはじめた。

実は、このアントラーズの伝統(勝者メンタリティー)について、トニーニョ・セレーゾ監督に「も」聞いたんだよ。その背景は何だろうか・・ってね。

まあ、例によって、とても長いコメントになったけれど、そのなかで印象的だったのは、そんなに潤沢にカネを使えない・・という発想をベースに、クラブの強化プランを練った・・というクダリ。

そう、スカウティングも含めて、チームをサポートするスタッフとの協力作業が、素晴らしい成果につながっている・・ということだ。

・・高校生や大学生の、「これはっ!」というタレントをスカウトしてくる(その才能を見抜くスカウト諸氏のチカラに乾杯!)・・そして、人間教育も含めた「一貫育成プロセス」でチカラを伸ばす・・

・・そして、コレが、もっとも重要なことなんだけれど、その若く(目覚ましい発展を魅せた選手たち!?)に、具体的なチャンスを与えるというコンセプト・・

・・そう、実戦・・

・・それは、負けたらクビっちゅう世界だから、監督にとって大きなリスク・・それでも、トニーニョ・セレーゾは、強い意志をもって、彼らにチャンスを与え、忍耐づよくサポートした・・

・・それが、今のアントラーズのベースになっている・・

・・これぞ、クラブを挙げたチームワーク・・またトニーニョは、来シーズンも、出来れば四人の若者をデビューさせ、育て上げたい・・なんて言っていた・・

・・あっと・・最後に・・

・・それでも、オレの立場じゃ、来年のコトなんか話せないよな・・いつクビになるか分からないんだから・・

・・もしサ〜・・オレの契約について何か情報が入ったら、オレに個人的に教えてくれよな・・ガハハハハッッッッッ!!・・だってさ・・

・・とにかく、この明るさがいい・・私は、1980年代から、トニーニョ・セレーゾの大ファンだった・・

・・もちろん、私の周りのドイツの友人たちも、彼のことを、ものすごく高く評価していた・・

・・私が合格した(ドイツの)プロコーチングスクールでも、トニーニョ・セレーゾのプレー内容を、細かく分析してレポートにまとめていたヤツもいたよな・・

・・もちろん、センターハーフ(中盤の底)というミッションの内容について、トニーニョを題材に、深くディスカッションしたこともあったよ・・

そんなトニーニョ・セレーゾだけれど、アントラーズは、彼のことをクビになんてしないでしょ。

実は、私は、軽々しくプロ監督のクビを切る風潮を、苦々しく思っているんだよ。

もちろん私は当事者(クラブのインサイダー)じゃないから軽々にモノは喋れないけれど・・

・・とにかく私は、クラブマネージメントには、クラブの具体的なターゲットイメージを(様々な視座で)詳細に、そして正しく分析したうえで、監督の去就を判断して欲しいと思っているワケだ・・

あっ・・、ちょっと脱線し過ぎだ〜。

ということで、私は、トニーニョ・セレーゾのサッカーを、来年も見てみたいと思っていることを言いたかったわけだ。

ミハイロ・ペトロヴィッチについては、すでに「継続」が決まっているから、彼には、杉浦大輔も含めて、浦和に、「健康的な本物サッカー文化」が、より広く浸透していく発展プロセスまでもイメージして仕事をして欲しいと思っているんだよ。

あっと・・勝者メンタリティー。

以前にも書いたと思うけれど、その内実は、攻守にわたるボールがないところでのプレーの量と質に、如実に現れてくる。

まあ、攻守にわたる「仕事(ハードワーク)を探しつづけるプレー姿勢」なんていう表現もアリかな。

・・守備では・・次のボールの動きを読んで、忠実に「ボールへ寄せ」つづけるプレー姿勢・・もちろん抜かれても、抜かれても、全力で追いかけつづける、粘り強い「意志のプレー」・・

・・アントラーズも、レッズも、中盤で、相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)をフリーにするケースは、希だった・・

・・要は、両チームのボールホルダー(パサー)が、常に「クローズ」の状態にいるっちゅうわけだ・・そう、相手ボールホルダーへ寄せ、パス出しの方向を効果的に「抑えて」しまうっちゅうハードワークのこと・・

・・まあ、チェイス&チェックのことだね・・

・・そんな両チームだけれど、そりゃ、たまには、集中プレスやマークの環を「外され」、そこからフリーな選手にパスを回されちゃうことだってある・・

・・そうなったら、見ている方は、もちろん「オッ!!!」って感じるわけだよ・・

・・そんな、「オッ!!」っと感じるチャンスシーンは、何といっても、高い位置でボールを奪い返して攻め上がる(ショート)カウンター状況がほとんどだよね・・

・・だから両チームともに、相手にボールを奪われた「次の瞬間」こそがビッグチャンスだって理解しているわけだ・・

・・そう、間髪を入れない攻守の切り替えから、相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)へブチかます協力プレス・・

とにかく、勝者メンタリティーが進化・深化しているチームでは、決して、その、「仕事を探しつづける態度」が減退することがない・・のだよ。

もちろん例外はあるよ・・例外は・・。

ということで、繰り返し、勝者メンタリティー・・。

その絶対的バックボーンは、高い意識と強い意志に支えられ(考えつづけて!)リスクにもチャレンジしていく積極プレーを積み重ねることで「のみ」進化&深化させられる、自信と確信・・ってことだよネ。

そして、この勝者メンタリティーという「視点」は、これからも、私の分析の(学習プロセスの!)骨格を為すバックボーンになるっちゅうわけだ。

その意味でも、この試合は、とても、とてもインプレッシブ(印象深い)勝負マッチだった。

さて、残り4試合の紆余曲折プロセス。

そこで、レッズの勝者メンタリティーは、どこまで深まっていくのだろうか・・。興味深いネ。

アントラーズのメディアワークスペースは、23時半にはクローズしたいということらしい。いまが、その時間。

まあ、勝者メンタリティーについては、明日にでも、本田圭佑コラムと一緒に取り扱おうかね。

さて、それじゃ、雨の中へ突入だ〜・・!!
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ところで、先日、高円寺のパンディットという「トークライブハウス」で、下記の「ナマ対談本」に絡めて、後藤健生さんと対談をやったんですよ。

アナウンス(事前の告知)が足りず、参加していただいた方は少なかったけれど、その対談全体が、「You Tube」にアップされましたので、お知らせします。

2時間近くも話しまくったのですが、その第一部が「こちら」で、その第2部が「あちら」です。

また、下記の「ナマ対談本」についても二人で語っている部分があるのですが、編集部が、それを、このように「編集」したのだそうです。まあ、ということで「こちら」もご参照アレ。

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ブラジルW杯に、後藤健生さんと「スカイプ」を介して繰り返したディスカッションをまとめた、ライブ感あふれる「ナマ対談本」が出来上がりました。

その新刊については、「こちら」をご参照ください。ではまた・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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