湯浅健二の「J」ワンポイント


2010年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第18節(2010年8月14日、土曜日)

 

志向するテーマは見えている・・だからこそ、継続はチカラなり・・(GRvsR, 3-1)

 

レビュー
 
 この試合はテレビ観戦。だから、レッズを中心に簡単に・・。

 全体として、悪い内容じゃなかった。選手たちの前向きな意志も見えた。でも、やはり、まだまだ「何か」が足りない・・という煮え切らない印象も残った。もっと出来る・・やらなければならない・・という感覚的な残像・・。

 もちろん、そんなネガティブな印象が残ったことには、ゲームに負けたという結果も影響しているだろうし、たしかにシュート数では互角だったけれど、決定的なチャンスの量と質ではグランパスの後塵を拝したという事実もある。

 まあ、その「何か」のもっとも大きなところは、やっぱり守備にあり・・だろうね。それも、ギリギリの最終勝負シーンで発揮されるべき「極限の意志」・・。

 例えば、走り込む相手の「三人目」「四人目」の選手を「安易に行かせて」しまったり・・。この意味合いは、最後までマークしているけれど、その最後の瞬間に、相手に身体半分でも「前に出られた」ら、まったくマークしている意味がなくなるというニュアンスです。

 もちろん、完全にマークを外されて「置き去りにされて」しまうようなミスは、問題外。でも、そんな問題外のマークミスも、テレビ画面であるにもかかわらず、何回か目撃した。例えば、原口元気。集中力がなく、タテのスペースへ走り上がる相手を、「仕方なく」といった態度で、その背中を追いかけるんですよ。それじゃ、守備の価値という視点ではまったく意味がない・・

 原口元気。昨シーズンのように、もっとフッ切れたプレーをやらなければ、単なる「その他大勢」になってしまう。とにかく、ボールを持っても、安全な「つなぎパス」を出して足を止めてしまうようなプレーをつづけているという印象が強い。だから、昨年のように、何かをやってくれるかも・・なんていう期待感が高まらない。もっと、もっと、意志(=強烈な自己主張)を前面に押し出すようにプレー姿勢を(もちろん闘う意志を!)アグレッシブに変容させていかなければ、単なる「つなぎプレイヤー」で終わっちゃうよ、ホントに・・。

 チームの全体的なプレー内容は、「ペース配分的なプレーコントロール」という意味合いも含め、悪くはないと思う。でも、「何か」が足りない・・ことも確かな事実。

 もちろん、闘う意志・・最終勝負で最高の集中力・・。私は、全体としては、うまく「流れて」いるけれど、攻守両面で、特に最終勝負シーンでの集中力(=闘う意志)に、まだまだ大きな課題を抱えていると思うわけなのです。

 そんな「意志」は、攻撃では、ギリギリのところでの「抜け出しフリーランニング」とか(=グランパス先制ゴール場面では、トゥーリオが、後方から、加速しながら猫の額のような決定的スペースへ飛び出していった!!)、シュートチャンスで満足するのではなく、あくまでも、ボールをゴールを入れるというアクションの内容とか、そんな、とても細かなところに現れてくるものなのですよ。

 もちろん守備でも同じ。そう・・ボールがないところでのプレー(意志)の量と質。

 サッカーは、究極の心理ゲーム。「数字」を操って戦術を語る輩は多いけれど、サッカーでも、愛する神は細部に宿る・・のですよ。

 ちょっとブツ切りにテーマを挿入しちゃったけれど、そこら辺りのメカニズムについては、第16節のレッズ対アルディージャ戦第17節のエスパルス対アントラーズ戦、同じく、FC東京対クランパス戦ヴィッセル対レッズ戦のコラムを参照してください。

 とにかく、「ここから」だからね。

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 またまた、出版の告知です。

 今回は、後藤健生さんとW杯を語りあった対談本。現地と東京をつなぎ、何度も「生の声」を送りつづけました。

 悦びにあふれた生の声を、ご堪能ください。発売翌日には重版が決まったとか。その本に関する告知記事は「こちら」です。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。

 4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。

 出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 



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