湯浅健二の「J」ワンポイント


2004年J-リーグ・セカンドステージの各ラウンドレビュー


 

第11節(2004年10月31日、日曜日)

 

ダイナミックな仕掛け合いではあったけれど・・(ジェフ対ガンバ、2-2)

 

レビュー

 

 どうも、とらえ所(特筆テーマ)があまり目立たない試合だな・・両チームともに、攻守にわたるコンセプトが似通っているし、それをベースにした組織プレーを繰りひろげているし・・まあ、後半になってガンバが追いつき、ジェフの勝ち越しチャンスが潰えたことで、レッズがもっとも期待していた結果になってしまったというのが特筆ポイントかな・・。

 とはいっても、戦術的な視点でメモしたポイントはありましたよ。例えば・・

 ガンバは難しい「フォーバック」で試合に臨んでいる・・試合後の記者会見で西野監督が「宮本のベストポジションを考えたという側面もあるし、両サイドを固めたかったという意図もあった・・また相手がワントップ(スリートップ)で試合に臨んでくるという予想もあった・・その場合、センターバックのうち一人が相手ワントップをマークし、もう一人がカバーリングに入ることになるからバランスが取れるということもあった・・」と述べていた・・ただ実際には、それまでのスリーバックからフォーバックに変更したことで、最終勝負での「マンマーキング」が甘くなってしまうことになる・・要は、フォーバックの場合、センターゾーンに二人しかディフェンダーがいないため、どうしても互いのポジショニングバランス(ラインコントロールも含む)にも気を遣い過ぎ、最終勝負シーンでのマーキングがうまくいかないこともあるということ・・その典型的な例がジェフ先制ゴールのシーン・・そこで、決定的スペース目がけてタテにスタートした阿部をフリーで走り抜けさせてしまい、そこにパスが通されて万事休してしまった・・この急造フォーバックは、どちらかといったら失敗策だった・・後半のガンバはスリーバックに戻したのだが、そこからはいつものダイナミックなサッカーが展開できるようなった・・やはりサッカーの基本はディフェンス・・それが安定し、効果的に機能していることが、次の実効ある攻撃の大前提なのだ・・

 ちょっと長くなってしまったけれど、ジェフの「一日の長」についても、こんなメモを取っていましたよ。例えば・・

 たしかに両チームともに高質な組織プレーイメージをもっているけれど、局面での現象コンテンツでは、やはりジェフに軍配が上がる・・例えば守備では、忠実に「マーキングの間合いを詰め」つづけるジェフ選手たち・・長い距離を追いかけるにしても、とにかく最後まで忠実にマンマークをつづける・・ガンバの選手で、最前線でフリーになる選手がいない・・チェイス&チェックアクションなど、最初の「起点プレー」が忠実・・また周りのマーキングも忠実だから、次のボール奪取勝負にしても、常にディフェンダーが「近くにいてプレッシャー」をかけつづけているし、協力プレスも効果的に機能している・・

 要は、相手ボールホルダーに対するチェイス&チェック(守備の起点プレー)は当然として、その周りで繰りひろげられるマンマーキングが、とにかく忠実でダイナミックなのです。だからガンバの選手は、フリーでパスを出せないし、フリーでパスを受けられない。またヘディングの競り合いやシュートシーンでも、例外なく、ジェフ選手たちに身体を寄せられているというわけです。

 また攻撃では・・たしかに簡単にスペースを活用できるわけじゃないけれど、忠実なパス&ムーブも含め、いくつかの忠実な「仕掛けフリーランニング」を効果的に重なり合わせることで、二人目、三人目の決定的アクションを活かし切れている・・特に、斜めの長いフリーランニングが有効・・ガンバ守備が、そのアクションに付いてこなかったり、行かせてしまったりする・・それに、ボールをしっかりと動かそうというイメージが強いから、一瞬フリーになった選手にパスが回る頻度が高い・・あくまでも組織パスでの仕掛け・・もちろんマルキーニョスやサンドロ、はたまた林など「個の能力」が高い選手がいれば、仕掛けイメージにも広がりが出てくるだろうけれど・・

 この試合では、マルキーニョスやサンドロ、はたまた林といった個の才能たちを欠いていたことが、彼らの組織プレーイメージを強化したということでしょう。ボール絡みでも(ボールホルダーのシンプルパス等々!)、ボールがないところでも(忠実でダイナミックなタテスペースへの抜けだしアクション等々!)。

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 まあ、こんなところですが、それにしてもジェフは惜しいゲームを落としました。内容的には(守備での実効コンテンツや、攻撃でのチャンスメイクの実質コンテンツでは)確実にジェフに軍配でしたからネ。

 試合後の監督会見や、その後にスタジアム内の廊下で繰りひろげられた、数人のジャーナリストが参加した英語やドイツ語を駆使したインタビューなど(私と後藤健生さん、マイケル・チャーチさん等)、なかなか面白いレポートコンテンツはあるのですが、まあそれは、また機会を改めて・・。さてこれから小野伸二のゲームを観なければ。例によって、乱筆・乱文・誤字脱字・・失礼。

 



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