The Core Column


The Core Column(66)_戦友カリオカ(ラモス瑠偉)との対話・・監督に求められる、真のバランス感覚・・(2019年8月3日、土曜日)


■監督に求められる、チーム(心理)マネージメント的な、真のバランス感覚・・

「ラモスさんからは・・テクニックで最も大事なのは、何といっても、ボールをしっかり止められることだと口を酸っぱくして言われつづけたんですよ」

東京ヴェルディ新任監督、永井秀樹が、あるテレビのインタビューで語っていた。

フムフム・・

さて今回のテーマだけれど、それは、監督の「真のバランス感覚」としたい。

もちろん、そのバランス感覚には、いろいろな「視座」があるけれど、今回は、チーム戦術的な「大枠のディスカッション」ということで展開できればと思っているんだ。

それは・・

規制(制限)と解放(自由)のバランス。

たしかに「大枠」でしょ。

要は・・

選手たちを、どこまでチーム&ゲーム戦術的に「規制・制限」するのか・・

また逆に、いかにして、そのチーム戦術という原則的な決まり事をうまく「機能」させながらも、選手たち自身がそれを超越し、より自由&積極的に、「攻撃的で美しい創造性プレー」を展開できるまでに「解放」させられるのか・・

そんな、チト難しい「視座」のディスカッションなんだよ。

そして・・

それを始めるにあたり、ホワイト監督から東京ヴェルディを引き継いだ永井秀樹新任監督に、冒頭コメントをもって登場ねがったというわけだ。

そう、全てのスタートラインが、ボールをしっかりと止められるトコロにあるわけだから・・。

ところで、その永井秀樹新任監督。

彼がチームを引き継いでからというもの、ヴェルディのサッカーが、明らかに(ポジティブに!)変わりはじめたというポイントも、今回コラムにご登場ねがった骨子にある。

(ラ)「そうなんだよ・・永井秀樹が監督になってからは、選手たちが、ホントに伸び伸びとプレーしているって感じるんだ・・」

そう、チーム戦術を機能させながらも、選手たちが、主体的に「戦術を超越しよう」としているコトが、ヒシヒシと体感できるんだ。

とはいっても・・

たしかに、人とボールの動きが活性化しているのに対して、うまくシュートまでいけない(うまく決定的スペースを攻略できない!?)などといった課題は、見え隠れしている。

でも、全体的なサッカーの内容は、たしかに好転ベクトルに乗っているんだ。

(ゆ)「なんかサ〜・・永井秀樹になってから、選手たちは、カリオカが言うように伸び伸びとプレーしているって感じるよな・・」

(ゆ)「まあ、伸び伸びっていうのは、選手たちが、今まで囚われ過ぎていた戦術的な規制や制限から、より解放されているってコトかな・・」

(ラ)「そうそう・・前は、チーム戦術に押し込められていた面もあったからね」

(ゆ)「特に、天皇杯で法政大学にやられたゲームは、最低だったよな・・」

(ゆ)「その試合じゃ、選手たち自身で、あのジリ貧の展開をなんとかしようっていう意欲が、まったく感じられなかったかなね・・」

(注釈)あの、天皇杯で法政大学に惨敗を喫したゲームは、内容的に、まさに最悪。それは、戦術以前の、選手たちの意識と意志の欠落こそが敗因であり、その責任は、ひとえに、監督が負わなければならないモノだった。

(ゆ)「もちろんオレは部外者だから、たしかなところは分からない。でも、まあ、誰が見ても、選手たちの意欲の減退は明白だったよな」

(ラ)「それでも選手たちは、最後は、自分たちで戦うしかないって割り切ったと思うんだよ」

(ラ)「あっ・・あの、最後まで意志がアップしなかった天皇杯のことじゃなくて、リーグ全般についてなんだけれど・・」

(ラ)「選手たちは、ゲーム戦術的な決まり事に押し込められるんじゃなくて、最後は、テメーの意志で戦いはじめたっていうことね」

(ラ)「そんな、自分たちの考えと意志で闘いはじめたことは、彼らのポテンシャルの証明だから、それは、それで、とてもよかったと思っているんだ」

(ラ)「もちろん、湯浅さんが言った、法政大学に惨敗した天皇杯じゃ、最後まで、闘う意志をアップさせられなかったけれど・・サ」

(ゆ)「そうだよな〜・・まあ、あの天皇杯は忘れるしかないよな・・」

 (ゆ)「でもリーグ戦じゃ、前半ヒドイ内容で相手にリードされていたにもかかわらず、後半は、フッ切れたサッカーで盛り返すっていうゲームがつづいていたよな」

(ゆ)「その、後半の盛り返しは、選手たち自身が覚悟を決め、自分たちの意志で、主体的に戦うしかないって、戦術的な決まり事を吹っ切ったっちゅうことなんだろうね・・」

(ラ)「・・・・」

 (ゆ)「まあ、とにかく、永井秀樹が、とても良い雰囲気で監督デビューを果たせたことは、とても良かったと思うし、これからのヴェルディの進化に期待しよう・・」

(ラ)「うん・・そうだね・・」

(ラ)「永井秀樹は、選手たちから信頼されているし、これから、どんどんサッカーが良くなっていくと思うよ・・」

(ゆ)「そうそう・・今回コラムは、チームが、過ぎた規制や制限から、自由で解放された雰囲気へ向かうベクトルに乗って、サッカーが良くなっていくというのがテーマだから・・」

(ゆ)「オレは、戦術サッカーとか、規制サッカーなんて呼ぶんだけれど、勝つことだけをターゲットに、選手たちを、型にはめちゃうっていうかさ・・」

(ラ)「湯浅さんの言いたいこと、よく分かるよ・・」

(ラ)「それに、選手たちが、楽しんで(喜びをもって!?)プレーしていなきゃ、観ているお客さんだって、楽しくないだろうし・・」

(ラ)「まあ・・、とはいっても、自分勝手にプレーして無様に負けてしまうんじゃ、元も子もない」

(ゆ)「そう、そこだよ、今回コラムでディスカッションしたいテーマは・・」

(ゆ)「オレはさ、選手たちが、限りない自由を謳歌しながらも、しっかりと勝負強さも発揮できるようなサッカーこそが、オレたちコーチが目指すべきゴールなんだと思っているんだ」

(ゆ)「オレは、それを、美しい質実剛健サッカーなんて呼ぶことにしているんだよ」

(つづく)

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「The Core Column」の全リストは、「こちら」です。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

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