The Core Column


The Core Column(65)_戦友カリオカ(ラモス瑠偉)との対話・・良いサッカーは、ミスの積み重ね(その2)・・(2019年7月10日、水曜日)


■積極的なリスクチャレンジこそが、喜びと楽しさ(進化原動力!)のベース・・

(リスクチャレンジというテーマについては、まず「このコラム」をご参照あれ・・)

(ゆ)「もちろん、攻守にわたって、積極的にリスクへチャレンジしていったら、ミスは、多めに出てくるよね」

(ゆ)「でもサ、そんなチャレンジがあるからこそ、選手たちは喜びを感じるだろうし、その楽しさが、次の進化につながるんだよな」

(ラ)「そうそう・・」

(ラ)「もちろん、選手にとってだけじゃなく、リスクを冒すアグレッシブなプレーは、観にきてくれるお客さんにとっても、大きな魅力になるよね・・」

(ゆ)「そうか・・それも大事な視点だよな・・」

(ゆ)「日本の社会は、リスクを避けようとする傾向が強いからな〜・・」

(ゆ)「必要なリスクを避けようとしたら、進歩できないだけじゃなく、お客さんにとっても詰まらないモノになっちゃう・・」

(ゆ)「ハナシは飛ぶけど・・」

(ゆ)「実は、オレ、読売サッカークラブを辞めてから、会社を立ち上げたんだよ」

(ラ)「知ってるヨ・・なんか、むずかしい仕事だよね・・聞いたことある」

(ゆ)「難しい仕事!?」

(ゆ)「あっ、そうね。たしかに見方によっては・・ね」

(ゆ)「それ・・マーケティングっていうんだよ」

(ゆ)「要は、人々が、どんなモノやサービスを欲しがっているかを探り、それを商品にして、いかに効率的に売っていくのかを工夫する仕事っちゅうわけさ」

(ゆ)「まあ、たしかに簡単じゃない。だからオレも、いろいろと勉強したんだよ」

(ゆ)「そのなかでサ・・あるコトを再認識させられたんだ」

(ゆ)「プロサッカーには、際ビジネスっちゅう側面もあるってね」

(ラ)「際(きわ)ビジネス・・??」

(ゆ)「そう、際ビジネス」

(ゆ)「人々が、自分じゃ、進んでやらないような危ないビジネスってことさ」

(ゆ)「プロサッカーって、普通の人の目には、いろいろな危険がイッパイって見えるじゃない」

(ラ)「そうだね・・必死に戦うなかでケガしちゃうかもしれないし、良いサッカーをやったって、負けたら、ガンガン叩かれたりするしね・・」

(ラ)「もちろん、あること、ないこと、スキャンダラスに書かれたりするし・・サ」

(注釈)アッ・・カリオカの眼に、メラメラ燃える炎が・・へへっ・・

(ゆ)「そう・・、だから、プロサッカーは、典型的な、際ビジネスなんだよ」

(ゆ)「お客さんは、手に汗にぎるコトを体感したり、感動したりするような、エキサイティングなイヴェントには、カネを惜しまないよな・・」

(ゆ)「だから、危ない橋でも渡っていかなきゃ、お客さんは観にきてくれなくなっちゃう」

(ラ)「そうそう・・、また観たくなる魅力的なサッカーっていうことね・・」

(ゆ)「そう・・、危険と隣り合わせだからこそ、魅力が、より大きくなる・・!?」

(ラ)「怖いモノ見たさ・・ね」

(ラ)「だからこそ、オレたちは、いつも、ギリギリのリスキープレーにチャレンジしていかなきゃいけないんだよね・・」

(ラ)「でもサ・・」

(ラ)「実はオレ・・、どちらかといったら、お客さんのためじゃなく、自分が楽しむためにチャレンジしているって言った方が正直なトコロかもしれないんだよ・・」

(ラ)「まあ、カッコつけたら、自分が限りなく自由だって感じるためにチャレンジしている・・なんていう言い方がいいかもしれないけれど・・ね」

(ゆ)「そう、そう」

(ゆ)「そんなサ、自分中心の、勇気あふれるチャレンジ精神こそが、プロとして、もっとも望まれる態度なんだよ・・」

(ゆ)「カリオカも言った通り、まずは自分ありき・・という姿勢は、とても大切だと思うよ」

(ラ)「そういうことだよね」

(ラ)「自分が楽しめていなかった、お客さんだって楽しくないからね」

(ゆ)「まあ、なかには、攻守のハードワークが基本のチームプレーとは関係なく、単に、自分勝手に楽しんでいるヤツもいるけれどね・・」

(ゆ)「それって人間ドラマだよな。それこそが、サッカーの本質だったりして・・」

(ラ)「またまた〜・・そんな、難しいコト言っちゃって〜・・」

(ラ)「とにかく、チームプレーのなかでも、とことん楽しめるっていうのが、理想なんだろうね」

(ラ)「だからこそ・・」

(ラ)「汗かきの攻守ハードワークとリスクチャレンジに積極的に取り組むことが大事・・」

(ラ)「そしてサ・・、それがうまくいっているときほど、仲間から頼りにされているコトを、より強く実感するんだ」

(ゆ)「サスガ、カリオカ・・」

(ゆ)「だからオレも、カリオカに対する敬意は、今でも変わらないんだよ」

(ラ)「アリガト・・」

(ラ)「でもさ、オレ・・」

(ラ)「監督として選手たちと向き合ってはじめて、きついハードワークと楽しさを、うまくバランスさせるのが、いかに難しいコトかって体感させられたよ」

(ラ)「クラブの監督は、ハードワークとリスクへのチャレンジを要求するじゃない」

(ラ)「そして同時にサ・・、それが、自分で考え、勇気をもって決断したモノじゃなきゃいけないって実感させるんだ」

(ラ)「そう・・、自分が楽しむために・・ね」

(ラ)「だって・・」

(ラ)「もし、攻守のハードワークとかリスクへのチャレンジを、誰かに指示され、やらされているようだったら、まったく楽しくないでしょ」

(ラ)「それじゃ、進歩だって望めないよ。それだけじゃなく、そんな選手に限って、後ろ向きのミスを繰り返しちゃったりする・・」

(ゆ)「そして、周りのチームメイトが、心のなかでは毒づきながら、ものすごく疲れる、汗かきのリカバープレーに戻らなきゃいけない・・へへっ・・」

(ラ)「ホント・・疲れるんだよ・・」

(ラ)「あっと・・その話題じゃなかったでしょ・・」

(ラ)「とにかく・・」

(ラ)「選手が、自分から進んで考え、勇気をもってハードワークとリスクチャレンジにも全力で取り組むようにマネージしていかなきゃダメなんだよね」

(ゆ)「そんな主体的な姿勢がなかったら、サッカーを、心から楽しめないだろうしね」

(ゆ)「とにかく、選手たちだけじゃなく、オレたちコーチも、しっかりとバランス感覚を磨かなきゃダメだっちゅうことなんだろうな・・」

(ゆ)「まあ・・自由と規制のバランス・・っちゅうことかな」

(ラ)「その表現、いいね〜っ!」

(ラ)「それって、規律と解放・・って表現できるかもしれないしね」

(ゆ)「日常のトレーニングってさ、そのバランス感覚をアップさせる場っていうことかもしれない」

(ラ)「そうだ、そうだ・・」

(ゆ)「監督は、自分が理想とするバランス感覚を、いかに効果的にチームに浸透させていくのかっていうテーマに取り組んでいるとも言えるわけか・・」

(注釈)チームマネージメントの本質は、そのプロセス自体!?

(注釈)何か、とても面白いテーマに発展していきそうな予感が・・。

(注釈)ということで、次のテーマは、自由と規制(規律と解放!?)をハイレベルにバランスさせる、バランス感覚あふれるチームマネージメント!?

(不定期に、つづく)

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「The Core Column」の全リストは、「こちら」です。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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