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2024_EURO_10・・最後の最後まで、両チームの「可能性の行方」が、最高テンションのなかで「見えない」という、すごいドラマだった・・(クロアチアvsイタリア、1-1)・・(2024年6月25日、火曜日)

グループB・・

スペイン、イタリア、クロアチア、そしてアルバニアで構成されるグループ。

そこでは、アルバニアとの結果が、最終順位を、大きく左右したっちゅうコトか。

このグループでは、スペインが全勝し、順当に、決勝トーナメントへ駒を進めた。

それに対して・・

イタリアは、アルバニアに勝利を収めたけれど、クロアチアは、アルバニアと無念の引き分けにおわってしまったんだよ。

ということで、この試合でのクロアチアは、何としても勝利が必要だった。

そうでなければ、決勝トーナメントへの道が閉ざされてしまう可能性が大きくなってしまうんだ(各グループ3位から、成績上位の4チームが次へ駒を進める!)。

そして・・

結局クロアチアは、後半ロスタイムまでリードを奪っていたけれど、その98分に、イタリアに同点ゴールを奪われ、引き分けてしまう。

クロアチアが、リードしたままタイムアップの笛を聞いていたら・・

そう、勝ち点4で、クロアチアが2位、勝ち点3で、イタリアが3位になっていた。

また勝ち点3のイタリアだから、成績上位4チームに滑り込める確率も、高かった。

あっ、タラレバのハナシばかり・・

ということで、実際には、2引き分けに終わったクロアチアが、たったの勝ち点「2」で3位に甘んじることになったんだよ。

あの、世界から恐れられた、強いクロアチアが、グループリーグで姿を消す!?

ということで、このゲームでは、「ルカ・モドリッチ」という、世界のスーパースターのパフォーマンスにスボットを当てるしかない。

何せ・・

そう、クロアチア監督、ズラトコ・ダリッチは、彼と「心中」するつもりだったわけだから・・

ダリッチも、モドリッチのパフォーマンスがダウンしているコトは、重々承知だったんだよ。

そのダウンの本質は、なんといっても、攻守ハードワーク。

皆さんもご存じのように、全盛期のルカ・モドリッチは、攻守にわたるスーパーハードワークの権化だった。

それに加えて、ボールに絡めば、まさにスーパースター。

組織プレーでも、個人の勝負プレーでも。

この試合でも彼は・・

スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)での個の勝負プレーでは、スピード、テクニック&スキル、相手を翻弄する「感性プレー」などなど、観る者を魅了する、美しい才能を魅せつづける。

でも、攻守ハードワークという側面では、やはり、衰えは、否めなかったんだ。

ということで・・

ダリッチは、その攻守ハードワークを、他のチームメイトたちに「振り分け」・・

ルカ・モドリッチには、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)でのボール絡みプレー「のみ」に集中できるよう、ゲーム戦術をプランしたと思うわけだ。

そう、所属のレアル・マドリーでも、そうであるように・・ね。

「あの」世界選抜とも言える、レアルでも、彼の「天賦の才」に対する畏敬と感謝の念は、強い。

だから、チームメイトも、彼のためならば、「攻守ハードワーク」に、自然とカラダが動いているっちゅうコトなんだろうね。

あっと、モドリッチの守備ハードワークの内実だけれど・・

もちろん、局面デュエルへの、クレバーな(!)誘い込みや、そこでの、実際のフィジカルな「闘い」では、今でも、まったく見劣りしないよ。

でも、そこに至るまでの、チェイス&チェック(寄せ)というハードワークの内実では・・

まあ、とにかく・・

いまでもモドリッチが、攻守にわたる「要所」では、しっかりと「代えがたい価値」を魅せられているというコトが言いたかった。

そして・・

このクロアチア代表を率いるズラトコ・ダリッチの判断は、正しかったというコトもね・・。

そう、誰あろう、そのルカ・モドリッチ、その人が、クロアチア先制ゴールを奪っちゃうんだ。

後半10分。

でも・・

その直前のPKを、信じられないコトに、ルカ・モドリッチが失敗しちゃうんだ。

でも・・

その彼が、PK失敗の1分後に・・

そう、「肝心な勝負所」で、ものすごい粘りで、最後の最後まで動きつづけ、イタリアGKが弾いたボールを、蹴り込んだんだ。

なんだ、これは・・

そのとき、「ドラマの予感」が、こみあげてきた。

これまでもそうだったように、今回も、ルカ・モドリッチのための大会になるのかもしれない・・

とにかく、「あそこ」で、素晴らしい反応を魅せたのは、「そこ」に、確信があったから。

そう、必ずボールが「こぼれる」という確信。

とにかく「それ」は、ルカ・モドリッチの名声を、世界中で、「蘇らせる」に足る、素晴らしい先制ゴールだった。

その後は、もちろんイタリアが攻め上がり、クロアチアが、「カンヌキ」をかけるってなゲーム展開がつづく。

ルカ・モドリッチも、80分に交替し、グラウンドを去った。

そう、「これで、何とか・・」という期待に胸膨らませながら・・

その後も、何度かイタリアが、ゴール機会を創りだしたけれど、クロアチアの、効果的&狡猾なボール奪取プロセス(守備)によって、ことごとくはね返された。

そして入った後半ロスタイム。

その、残り1分というタイミングだった。

中央ゾーンを、ドリブルで攻め上がる5番のカラフィオーリ。

そして、最後の瞬間(クロアチアのペナルティーエリア寸前で)・・

カラフィオーリが、左サイドで、まったくフリーだった、マッティア・ザッカーニへ、ラストパスを出したんだよ。

その直後、カラフィオーリは、アタックにきたクロアチア選手に、足を引っ掛けられ、ブッ倒れてしまうけれど・・

もちろんレフェリーは、「その次」に何が起きるか「予想」し、スムーズに「流した」というわけだ。

そして、コトが起きた。

左サイドで、まったくフリーで、その横パスを受けた、マッティア・ザッカーニが、右足ダイレクトで、シュートを放ったんだ。

蹴られたボールは、美しいカーブを描きながら、クロアチアゴールの、右サイドネットに、吸い込まれていった。

そのゴールを観ながら、その試合を見つめていた誰もが、フリーズしたに違いない。

アタマなかで、結果として起こりえるコトをイメージしながら・・

そう、クロアチアのグループリーグ敗退。

カメラマンは、間髪を入れずに、交替してベンチに座る、ルカ・モドリッチへと、カメラを振った。

「ドラマ」の本質は、その瞬間における、両チーム選手たち、そしてベンチの表情に、明確に刻まれていたんだよ。

先日も、「The Core Column」で、昔、発表した、ある試合のドラマストーリーに、リンクを張った。

今回も、そのときの興奮が、蘇ってきたモノさ。

とにかく、最後の最後まで、両チームの「可能性」が維持されつづけた、すごい試合だった。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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