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2021_CWC_バイエルン・ミュンヘン・・美しく、破壊的な、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション!!・・(2021年2月12日、金曜日)

「湯浅さん・・」

「あの、ドイツのチームは、ホントに素晴らしいサッカーを魅せてくれましたよね・・わたしはサッカー素人ですが、そんな私を、これほど心躍る気持ちにしてくれたんですから」

とても有名な、お世話になっている歯科医の先生が、治療をはじめる前に、興奮気味に、そんなコトをおっしゃるんですよ。

「えっ!?・・あの試合は朝の3時頃からだったんですよ!!」

「ええ・・そうなんですが、目が醒めて、寝られなくなってしまったんですよ。だから、仕方なくテレビを点けたら、彼らの素晴らしいサッカーが目に飛び込んできたというわけです」

「先生・・先生を、それほど興奮させたのは、何だったと思われますか?」

「いや・・そう言われても・・」

「そうだな〜、敢えて言ったら、動きですかね・・とにかく、彼らは、間断なく動きつづけるじゃないですか・・そして、それがピタリとツボにはまる・・」

「先生・・。彼らのチーム名をご存じですか?」

「え〜〜っと、何と言ったかな〜・・あっ・・そうそう・・バルセロナとか言いませんか?」

「あ〜〜・・たしかに、バ、は、つきますよね・・彼らは、ミュンヘンのチームで、バイエルン・ミュンヘンって言うんですよ」

「あっ、そうか、バルセロナはスペインでしたっけね・・」

なんか、冗談のような会話になってしまいそうな・・へへっ・・

それでも先生は、とめどなく、ご自分が体感した美しいサッカーの感動を語りつづけるんです。

そのなかで先生が使われたキーワード。

それが、「動き」だったというわけです。

バイエルン・ミュンヘンが魅せつづけた、夢のような人とボールの動き・・それです。

そう、それこそが、この試合でのメインテーマっちゅうわけです。

とはいっても・・

決勝でのバイエルンは、少し、苦労した。

準決勝で、ブラジル名門パルメイラスを退けた、とても質実剛健なサッカーを展開する、メキシコのティグレスとの決勝では、優秀な監督さんと選手のガンバリもあって、準決勝アルアハリ戦ほど光り輝くことはできなかったんだよ。

まあ、それには・・

最前線で、「人とボールの動き」を、変化をつけながら「加速」させるキープレイヤーの一人、トーマス・ミュラーが、コロナ陽性という診断を受けて離脱したことも大きかったんだろうね。

ということで、このコラムでは、スーパー歯科医の先生をも感動させた(!?)準決勝アルアハリ戦を中心にハナシを進めましょう。

あっ・・いや・・

そのスーパーサッカーの(戦術的な)コノテーション(言外に含蓄される意味)を深掘りする・・というのではなく、サッカー素人の先生(スミマセン)にも感動を覚えさせた、人とボールの動きというグラウンド上の現象がテーマ骨子ということです。

要は・・

サッカーを知らなくとも(見慣れていなくても!?)、「あの」人とボールの動きは、誰にでも感動を与えられるだけのパワーを秘めている・・

その事実を再認識できたことが大事だったと感じている筆者なのです。

ところで、サッカーでの、観ている者に与えられる感動って・・??

ジョージ・ベスト、ペレ、ディエゴ・マラドーナ、メッシやクリロナといった「世紀の大天才」連中が繰り広げる「個の勝負プレー」は、もちろん、誰にとっても魅力的だし、分かりやすいよね。

でも・・

そう、組織プレー(人とボールの動き)だって、その内実によっては、万人を感動させられるだけのパワーを秘めているんだよ。

そのことについちゃ、「あの」イビチャ・オシムも、何度も強調していたよね。

ということで・・

バイエルンが展開した、レベルを超えた「人とボールの動き」について、概要だけでも、少し書かなきゃいけないと思った次第。

さて・・

とにかく、監督のハンジ・フリックに率いられた今のバイエルン・ミュンヘンでは、「球離れ」が、とてもいい。

誰一人として、ボールの動きの「停滞」につながるような、無駄なキープはしないんだよ。

もちろん、「仕掛けのタメ」は、違うけれど・・ネ・・

そう、後方からゲームを創る、ヨシュア・キミッヒがたまに魅せる、相手ディフェンスを(物理的&心理的に!)引きつけてしまう、意味のあるボールキープ。

もちろん、相手ディフェンスに「穴」を創り出すため。

ところで、このキミッヒだけれど、限りなく、トニー・クロースと似ている。

あっと・・

とにかく、いまのバイエルンでは、ボールの動きが停滞することがないということが言いたかった。

もちろん、「その絶対バックボーン」は、パスレシーバーたちの(人の)動き。

それがあるからこそ、人とボールが、軽快に、そして(相手にとって)危険に動きつづけるのさ。

攻撃の目的はシュートを打つこと。

ゴールは、単なる結果にしか過ぎない。

そして、その目的を達成するための当面の目標が、スペースの攻略ってわけだ。

バイエルンは、とにかく、仕掛けのタテパスが、鋭く、正確なんだよ。

そして・・

その「仕掛けのタテパス」が入るのと同時に(その寸前のタイミングで!?)、周りのチームメイトたちが、決定的アクション(フリーランニング)をスタートさせるんだ。

そこで繰り広げられる、鳥肌が立つほど美しい、パサー、レシーバー、そして3人目、4人目のフリーランナーによる「動き」のシンクロナイゼーション。

彼らが奏でるハーモニーの心地よいこと。

たぶん、お世話になっている歯科医先生も、そんな「美しいハーモニー」に心を動かされたって思うんだよ。

「そうそう・・パスが出たら、必ず、次の選手が動いているんですよ・・そして、そこに、パスが通っちゃったりする・・」

先生が、わたしの治療そっちのけで語りつづけるのです。

たぶん先生にとって、もっともインプレッシブだったのは・・

バイエルンが繰り出しつづける、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションだったはず。

そう・・

バイエルンは、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションを、多用するんだ。

もちろん、それも、これも、そこにかかわる選手たちの仕掛けイメージが、しっかりと「シンクロ」していなきゃ、成就させられるはずがない。

だからこそ、監督、ハンジ・フリックの(イメージング構築と浸透マネージメントにおける!!)手腕が、とても高く評価されるっちゅうわけだ。

この、ダイレクトパスだけれど・・

「J」では、うまく人とボールを動かして攻め込んでも、多くのシーンで、相手ディフェンスの「壁」に阻まれてしまう。

それは、なんといっても、このダイレクトパスを、うまく活用できていないから。

もちろん、ダイレクトパスを活かすためには、3人目、4人目の動きが、うまくシンクロしなきゃいけない。

だからわたしは、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションの本質は、「ワンツー」をシンプルに組み合わせることだって主張するのさ。

3人目、4人目のフリーランナーが、「最終勝負スペース」まで、しっかりとイメージできるまでには時間がかかるでしょ。

でも、ワンツーは、誰にだって、イメージのなかに深く浸透している。

だからこそ・・

まず、「ワンツー」という、単純なパス交換を、これまたシンプルに組み合わせるというイメージを磨くのが、近道だって思うわけさ。

あっと・・

とにかく・・

「人とボールの動き」だって、大天才のドリブル突破に優るとも劣らない、サッカーの魅力の「本質」を秘めている・・っちゅうことが言いたかった。


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ところで・・

チト唐突ですが、知り合いのジャズシンガー、宮崎友紀子さんを紹介させてください。もう、ホントに素晴らしいソウルフルヴォーカリストです。

以前、あるキャフェライブで聴き、いっぺんにファンになったのですが、その宮崎友紀子さんと、偶然、友人のガーデンパーティーで再会したんです。

彼女については、このページあのページを参照してください。

私がコンサートで聴いたのは「ボサノバ」だったけれど、本当に心に染みわたりましたよ。

その宮崎友紀子さん。私の友人で、日本を代表するベーシスト(コントラバス奏者)藤原清登さんともコラボしたらしい。知らなかった。

 藤原清登さんだけれど、あるライブで彼女のヴォーカルを聴き、すぐに「いいですネ〜・・よければ、今度セッションを組みませんか・・」と、オファーしたんだそうな。

「あの」藤原清登だからね、宮崎友紀子さんの実力については推して知るべし・・だよね。

ということで、彼女の最新アルバムのカバー写真も載せておきます。

また、ギタリスト&シンガー(&パーカッション&マウス・トロンボーンなどのマルチ音楽家)として活躍するホブソン・アマラウさんとのコンビがパフォームするYouTube動画へも「リンク」を張っておきま〜す。

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あっと・・

私が愛用しているウエストポーチやバックパック。それについて何人かの方々に質問されたんですよ。それは、友人のデザイナーが主催するブランド、「METAS」

ちょっと、プロモートさせてくださいね。

この方は、某有名メーカーのチーフデザイナーから独立し、自らのブランドを立ち上げました。シンプルイズベスト・・スローライフ・・などなど、魅力的なキーワードが散りばめられた「METAS」

とてもシンプル。でも、その機能性は、もう最高。お薦めしまっせ。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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