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2020_天皇杯・・決勝・・日本サッカーにとって「価値あるイメージ資産」でもあるフロンターレ(そのサッカーコンセプト)が、天皇杯も制して二冠に輝いたことは喜ばしい限りだった・・(フロンターレvsガンバ、1-0)・・(2021年1月1日、金曜日)

まさに、解放サッカーと戦術サッカーの対峙・・ってな構図だった。

それにしても・・

そう、ロスタイムも入れた「ゲーム残り15分」・・

そこでガンバが(攻撃的なボール奪取プロセスを基盤に!)仕掛けつづけ、何度か「ゴール機会」まで創りだした、強烈なゲーム内容の変容。

ソコには、とても興味深いコノテーション(言外に含蓄される意味)がテンコ盛りだった。

まず・・

皆さんも観られた通りの、フロンターレが掌握しつづけたイニシアチブだけれど・・

そのゲーム展開は、まさに、「解放サッカーと戦術サッカーの対峙」そのものだった。

ガンバには、押し返すことで、イニシアチブを奪い返す「意志」そのものがなかったとも言える!?

もちろんガンバも、何度かは、攻め上がった。

でも、逆に、フロンターレの、カウンター気味の鋭い仕掛けを浴びてしまうんだよ。

そのバックボーンには・・

人数&ポジショニングバランスが整った、守備ブロックの「バランス」が、少し崩れたコトがあったに違いない。

そんな、フロンターレのカウンターによるピンチだけれど・・

そのピンチを防ぐための正攻法は・・

ボールを失った直後に、素早い攻守の切り替えから、全員が、全力で戻ることで、効果的に抑制するというモノなんだ。

でもガンバでは、そんな「攻守ハードワークに対するイメージの構築」が、十分ではなかった!?

それだけじゃなく・・

フロンターレに効果的なカウンターを喰らってしまったことで(!?)、ガンバの、イニシアチブ掌握チャレンジへの心理パワー(意志!)までもが、大きくダウンしちゃったんだ。

まあ、そんな現象もまた、「サッカーはホンモノの心理ゲーム」と言われる所以の重要なバックボーンの一つということだね。

それと・・

フロンターレが、イニシアチブを掌握するなかで、堅牢なガンバ守備ブロックを切り裂くように、何度も、決定的ゴール機会を創りだしたという事実もある。

たしかに決め切れなかった。

それでも、何度も、ガンバ守備ブロックの決定的スペースを攻略したという事実は、重い。

それは、人とボールの動きの素晴らしいリズムを、チーム全体で「シェア」しつづける、フロンターレサッカー(コンセプト)の正しさの証明でもあった・・と思う。

そう、「美しい質実剛健サッカー」を目指して。

次のポイントは・・

フロンターレが決勝ゴールを奪ってからの、ガンバ選手たちの意識と意志が、まったくといっていいほど高揚していかなかったという事実。

そう、ガンバは、後半10分に、決勝ゴールを奪われてからも、ペースアップ出来なかったんだ。

この事実もまた、重い。

そう、選手たちは、「ゲーム戦術というカタチ」に囚われ、まったくイニシアチブを奪い返すこと(自らの意志を奮い立たせること!)ができなかったんだ。

そして・・

選手が交代し、「やるしかない状況」で迎えた、(冒頭の)ロスタイムも入れた「ゲーム残り15分」が、まったくの「別物マッチ」へと変容していくわけさ。

そう、そこじゃ、ガンバが内包する(!?)、本当のチーム力が、如実に表現されたんだ。

彼らが秘める、実際の能力は、とても高い。

でもこの試合では、カタチに囚われ過ぎたコト(!?)で、最後の15分以外は、その「本来のチカラ」が泣かず飛ばすになってしまったのかもしれない。

もちろん・・

「何を言ってやがる・・一発勝負の天皇杯決勝だぜ!・・それに相手は、攻撃力では、明らかにガンバよりも格上のフロンターレさ!・・だから、このゲーム戦術は、正解だったんだ・・」

そんな考え方もあるんだろうね。

でも・・

そう、サッカーにおける「ホンモノの成功」って、一体、何なのだろうか??

皆さんもご存じのように、わたしは、勝つことだけをターゲットにする戦術サッカーでは、「プロサッカーの将来はない・・」って考えているんだよ。

わたしは、サッカー原理主義者!?

いやいや、そんなコトはまったくないよ。

私は、ドイツ留学時代も含め、理想へ向かうベクトル上で、柔軟に「現実的な感性」もミックスしていくっちゅう、マネージメントの正しさも、何度も体感しているんだよ。

例えば・・

攻守リスクチャレンジに積極的にトライする。

もちろん、より良いサッカー(美しい質実剛健サッカー!)を目指してね。

でも、そんな「やり方」で結果を残すまでには、たしかに時間が必要なんだ。

そう、こんな感性・・

攻撃的に「行き」過ぎたら、やられる・・!?

そんな、「戦術的イメージ」にも、よく接するんだよ。

でも逆に・・

ボールを失ったとき、選手たちが、自分主体で、爆発的な勢いで攻守を切り替え、チェイス&チェックやカバーリングをブチかましながら(!)必死に戻る・・

そして守備ブロックを整理しちゃう・・

もし、「そこ」まで、主体的に出来たら(素晴らしい自己主張!!)どうだろうか・・

でも、そうではなく、チーム&ゲーム戦術として・・

守備での人数&ポジショニングバランスを極力「崩さない」ようにプレーする(攻め上がる)という戦術イメージをチームに浸透させ(過ぎ!?)たら・・

それは、スタートラインから、選手たちの「自由な感性」に制限を加えることになってしまう。

イビツァ・オシム・・

彼が高く評価されたのは、攻撃的サッカーをブチかましながらも、次の守備で、人数&ポジショニングバランスが、崩れ切る状況が、とても少なかったからなんだよ。

そう、前述した、選手の、強烈な意識と意志とイメージング(彼らの攻撃的な主体性!)が、常に、前面に押し出されていたんだ。

だからこそ、イビツァ・オシムは、(少なくとも現場には!!)いまでも、深く敬愛されている。

正しいターゲットへ向かうためには、やっぱりリーダーに、常に「リスクへチャレンジ」していく姿勢が求められるというコトだね。

カタチにはまったって、良いコトなんて、何もない。

まあ、たまに、幸運に恵まれた勝ち点をゲットできるくらいでしょ。

そうではなく、観ている者が、心からの「感動」を共有できるような、積極的で冒険心にあふれる魅力的なサッカーこそが、正しいベクトルなんだよ。

たしかに、ちょっと、極論的なニュアンスがプンプンするコラムかもしれないけれど・・さ。

それでも私は・・

サッカーの歴史が如実に証明している、「リスクチャレンジのないところに進化も深化もない・・」という普遍的コンセプトを主張しつづけるのであ〜る。

へへっ・・

特に・・

選手たちのチカラを過小評価し、「出来ないから、やらせない・・」なんていうコーチは、さまざまな意味合いを内包する「サッカーの発展」にとってマイナスの存在以外の何ものでもない。

あっと、最後に・・

準決勝コラムでも書いた「秋田」とは違い、ガンバは、最初からブロック守備を敷いてきたよね。

それに対して秋田は、積極果敢に、前からボールを奪いにいった。

彼らは、「そこ」から、最前線へ鋭いタテパスを送り、効果的なポストプレー(タメ)をベースに、仕掛けていこうとするんだ。

まあ、たしかに、そんなゲーム戦術は、フロンターレには通用しなかっただけじゃなく、積極的に前からプレスを仕掛けていったからこそ、手痛いしっぺ返しを喰らってしまった。

でも・・

「落ち着いてフロンターレの攻めを受け止め、チャンスを見計らって蜂の一刺しを・・!?」ってなゲーム戦術イメージのガンバだったけれど・・

結局は、何度も、決定的スペースを攻略され、決定的な「ゴール機会」を、創り出されてしまったよね。

さて、ということで言いたかったコトは・・

わたしは、後半の残り15分でガンバが魅せた、解放されたマインドでブチかました「本来のチカラ」を、薄々、知っているつもりだったんだよ。

だから、残念で仕方なかったんだ。

互いが積極的なサッカーにチャレンジすれば、最高のエキサイティングマッチにまで、ゲームを高揚させられたハズなのに・・

実力が十分の両チームなのだから・・

まあ、とにかく・・

日本サッカーの将来にとって、価値ある「イメージ資産」でもあるフロンターレが、天皇杯も制して二冠に輝いたことは、喜ばしい限りでした。


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ところで・・

チト唐突ですが、知り合いのジャズシンガー、宮崎友紀子さんを紹介させてください。もう、ホントに素晴らしいソウルフルヴォーカリストです。

以前、あるキャフェライブで聴き、いっぺんにファンになったのですが、その宮崎友紀子さんと、偶然、友人のガーデンパーティーで再会したんです。

彼女については、このページあのページを参照してください。

私がコンサートで聴いたのは「ボサノバ」だったけれど、本当に心に染みわたりましたよ。

その宮崎友紀子さん。私の友人で、日本を代表するベーシスト(コントラバス奏者)藤原清登さんともコラボしたらしい。知らなかった。

 藤原清登さんだけれど、あるライブで彼女のヴォーカルを聴き、すぐに「いいですネ〜・・よければ、今度セッションを組みませんか・・」と、オファーしたんだそうな。

「あの」藤原清登だからね、宮崎友紀子さんの実力については推して知るべし・・だよね。

ということで、彼女の最新アルバムのカバー写真も載せておきます。

また、ギタリスト&シンガー(&パーカッション&マウス・トロンボーンなどのマルチ音楽家)として活躍するホブソン・アマラウさんとのコンビがパフォームするYouTube動画へも「リンク」を張っておきま〜す。

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あっと・・

私が愛用しているウエストポーチやバックパック。それについて何人かの方々に質問されたんですよ。それは、友人のデザイナーが主催するブランド、「METAS」

ちょっと、プロモートさせてくださいね。

この方は、某有名メーカーのチーフデザイナーから独立し、自らのブランドを立ち上げました。シンプルイズベスト・・スローライフ・・などなど、魅力的なキーワードが散りばめられた「METAS」

とてもシンプル。でも、その機能性は、もう最高。お薦めしまっせ。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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