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2019_XEROX_カップ・・フロンターレが魅せた「質実剛健サッカー」に乾杯!!・・(フロンターレvsレッズ、1-0)・・(2019年2月16日、土曜日)

・・レッズは、必ず、良くなっていく・・

このゲームでは、内容でも結果でも、フロンターレに凌駕されたレッズのオズワルド・オリヴェイラ監督が、真正面を向き、屹然とした表情と口調で、そう述べた。

フムフム・・

その、オズワルドもしゃっぽを脱いだフロンターレだけれど・・

最初の10分は、フロンターレのポゼッションの方が高かったとはいえ、ゲーム(勝負)展開の内実では、攻守にわたって互角だった。

そんな展開を観ながら・・

・・レッズ守備は、とても安定している・・

・・ここから、機を見計らったテンポアップで、勝負イニシアチブを握り返していくはずだ・・

・・なんて、思っていたんだ。

でも・・

そう、前半のレッズは、フロンターレが構築した「イニシアチブの牙城」を、まったくといっていいほど切り崩せなかったんだ。

とはいっても、たしかに、チャンスも創らせなかったよね。

攻撃の目的はシュートを打つこと。それを達成するための「当面の目標イメージ」は、言わずもがなの「スペース攻略」。

相手ゴール近くで、ある程度フリーなボールホルダーを演出できれば(=スペース攻略!)、それが、ビッグチャンスにつながらないはずがない。

でもフロンターレは、組み立てでボールはキープするけれど、そこからの最終勝負プロセスを進展させるのが、ままならない。

そんなゲーム展開を観ながら、「フムフム・・レッズのブロック守備は、うまく機能しているじゃないか・・ということは勝負は後半だな・・」なんて、悠長に構えていたんだよ。

でも・・

そう、そんな安易な考えは、実態を、まったく反映していなかったんだよ。

試合後の記者会見での、フロンターレ鬼木達監督・・

「ゲームの立ち上がりは(まあ前半は!?)レッズの出方を冷静に見よう・・」という戦略イメージを選手たちに与えたのだそうな・・。

ナルホド・・

それじゃ、フロンターレ本来の、人とボールが素早くスムーズに動きつづける、ダイレクトパスを織り交ぜた(美しい)組織コンビネーションでスペースを攻略していく「勝負プロセス」が、うまく回っていかないのも道理か・・。

サッカーは、攻守にわたって、選手たちの(積極的&攻撃的)勝負イメージと意志が、有機的にリンクしつづけるという意味で、究極の心理ボールゲームなんだよな〜〜。

だから、前述した、フロンターレの「ゲームへの入りの心理」を乗り越え、チーム一体になって(!!)ペースアップしていくのは、生易しい作業じゃないんだ。

まあ、でも・・

そう、後半になって、フロンターレのサッカーが、俄然「イロ」を帯びてきたことは、たしかな事実だったよな。

そして、例によっての、とても創造的な「人とボールの動き」が展開されはじめたっちゅうわけさ。

それに対してレッズは・・

たしかに後半の立ち上がりは、積極的なサッカーをブチかまし、互角のゲーム展開にもっていったよね。

でも結局は、逆に、フロンターレに押し込まれることになってしまうんだ。

そこでの、特筆に値するフロンターレサッカーの骨子は・・

素晴らしい「闘う意志」に後押しされた、素早くクリエイティブな「攻守の切り替え」と、全員が、同時に「爆発する」ような、前からプレス守備。

とても、とても、インプレッシブだった。

特に・・

そう、新戦力のマギーニョ(エウシーニョの後釜)と、同じくレアンドロ・ダミアン。

彼らは、前述した、素早い攻守切り替えベースの「前からプレス」に全力で取り組むだけじゃなく、攻撃では、特徴ある「人とボールの動きリズム」にも、着実に乗っていった。

それだけじゃなく、チャンスとみたら、勇気をもって、個のドリブル勝負にもチャレンジしていたっけね。

わたしは、そんなフロンターレの新戦力のチカラを体感させられながら、チト、目を白黒させていた。

何せ・・

そう、フロンターレの(鬼木達の)攻守にわたるチーム戦術は、そんなに簡単に自分のモノに出来るわけじゃないから・・さ。

でも、ヤツらは・・

たしかに鬼木達は、「まだ課題が・・」なんて言っていたけれど、内心では「ほくほく」だったに違いないよね。

とにかく、鬼木達の素晴らしい仕事に、心からの拍手をおくる筆者なのであ〜る。

ということで・・

レッズ・・

たしかに、青木拓矢と武藤雄樹、またファブリシオも欠いていた。

でも・・

そう、前半10分を過ぎたあたりから、彼らの「闘うマインド」が、徐々に減退していったのは、たしかな事実だったんだよ。

そのことを示す、典型的なグラウンド上の現象は・・

ボールホルダーへのチェイス&チェックだけじゃなく、次のパスレシーバーへのマーキングが甘く、足許パスやスペースパスを、簡単に通されてしまうようになったこと・・でしょ。

それじゃ、フロンターレに、ボールをキープされるだけじゃなく、スペースを攻略されてしまうのも道理だよ。

たしかに、フロンターレ左サイドからのクロスを、最後は「新人の」レアンドロ・ダミアンに決められてからは(決勝ゴールを決められた後からは!)ペースアップした。

とはいっても・・

そう、結局は、強力なフロンターレ守備ブロックの「スペース」を突いていけず、チャンスらしいチャンスも、創りだせなかった。

だから・・まあ・・完敗・・

もちろん、冒頭でオズワルドが言っていたように、レッズは、必ず「良くなる」。

それも、「質実剛健」な強さを魅せながら・・ネ。

ところで、サッカーの内実を表す「言葉や表現」だけれど・・

今シーズンからは、アジアカップで準優勝した森保ジャパンでもそうだったけれど、「質実剛健サッカー」という表現を使うことにしたんですよ。

「質」は・・

人とボールが「有機的」に動きつづける「美しい」組織コンビネーションと、勇気あふれる個のドリブル勝負による攻撃ハーモニー・・ってなところかな。

また「実」は・・

堅牢なディフェンスで勝ち切ることへの自信と確信(勝者メンタリティー!?)っちゅうことだね。

出来れば・・

最初からガンガン「前からプレス」をブチかまして勝負イニシアチブを握り、相手を圧倒して結果まで残せるような攻撃サッカーがいいよね。

そう、(純粋な!?)美しく勝つサッカー・・

でも、アントラーズやサンフレッチェといった実力チームがしのぎを削る「群雄割拠のJ」だから、「質」と「実」の両方を、うまくバランスさせながら使い分けるのが現実的だよね。

美しい攻撃サッカーで1点をリードしたら、そこからは、堅牢な「ブロック守備」で、相手にチャンスを与えない。

そう・・昨シーズン天皇杯決勝のようにね。

あっと・・

「新顔」のエヴェルトン。

この試合では、青木拓矢が欠場ということで、中盤の底(アンカー)を任されたけれど、本職ではないにせよ、そのプレーのクオリティーは高かったと思う。

青木拓矢が帰ってきたら、攻守をつなぐ「中盤のリンクマン」的な仕事で手腕を発揮しそうだね。

また、この試合では、大きな課題も再認識させられたっけね。

それは・・

両サイドバックの、最終(ドリブル)勝負。

そこで、マリノスから移籍してきた山中亮輔への期待が高まるっちゅうわけだ。

この試合では途中交代だったけれど・・

(様々な意味合いでのイメージコンビネーションが十分ではなかったにもかかわらず!)部分的に、とても良いコンビネーションや個の「勝負プレー」を魅せた。

期待が高まるよね。

まあ、この試合については、こんなところですかね。

とにかく、素晴らしい「勝者メンタリティー」と「質実剛健サッカー」を魅せたフロンターレを祝福しましょう。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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