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2019_日本代表(親善マッチ)・・まあ、サッカーだから、こんな厳しい学習機会と対峙しなければならないコトも日常茶飯事さ・・(日本vsベネズエラ、1-4)・・(2019年11月19日、火曜日)

前半の、完璧に「やられまくりゲーム」を観ながら、まず、こんな思いがアタマに浮かんだ。

とにかく、スーパーな、二つの「マッチメイク」だったってね。

2日前の「U22コロンビア代表」にしても、このベネズエラ代表にしても・・

世界の強豪チームが、最高にモティベートされてグラウンドに立ったわけだから・・

そう、学習機会という視点で、これ以上ないほど有意義な親善マッチだったと感じていたわけさ。

もちろん、前半はショッキングなゲーム内容ではあったよね。

でも・・

そう、「闘う意志の内実」によって、サッカー内容に、雲泥の差が出てきてしまうというのも、不確実な要素が満載のサッカーの本質的な現象なんだ。

その「意志の差」が、もっとも顕著に表れてくるのは、言うまでもなく、守備。

あっ、と・・

もちろん、日本代表のサッカーが、やる気ない「ぬるま湯」だったと言っているわけじゃない。

彼らも、しっかりと「闘おう」とは、していたんだ。

でも、中盤での、攻守のせめぎ合いでも、攻撃での仕掛けプロセスでも、「行けてない」のは明白な事実だと感じられたんだよ。

そう、攻守ハードワークとリスクチャレンジに代表される、組織サッカーの絶対バックボーンである「意志の内実」で、前半の日本代表は、まさに中途半端そのものだったんだ。

それに対して、モティベーション120%のベネズエラ。

彼らが握りつづけたイニシアチブの絶対バックボーンは、前述した、守備にあり。

彼らは、中盤でのボール奪取のせめぎ合いで、完全に主導権を握ったんだよ。

チェイス&チェックやカバーリング、忠実なマーキング、機を見ての協力プレス(特に、ボールキープが多い中島翔哉に対する厳しいプレス!)、そして言うまでもなく、最終勝負シーンで忠実に伸ばしつづける「最後の半歩」などなど。

そんな、組織的な連動ディフェンスを支える全てのファクターで、明白に、ベネズエラに一日以上の長があったという見解に異論を唱える方はいないでしょ。

だから、ボール奪取からの(!)ベネズエラ攻撃に、勢いが乗ってくるのも道理。

彼らが展開した、組織プレー(≒ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション)と、機を見計らった個のドリブル勝負の、素晴らしくハイレベルなバランスには舌を巻いた。

それにしても・・

前半の日本代表の最終ラインは、迷いに迷っていたよね。

そう、クロスやラストスルーパスが出てくる最終勝負シーンへ対処する「イメージング作業」が、うまく機能していなかったんだ。

だから、クロスに合わせる相手へ身体を寄せていくタイミングを失ったり、ハッと思った次の瞬間には、マークを振り切られていたり・・。

最終勝負シーンでの、実効ある忠実マーキング&カバーリングは、お世辞にも機能していたとは言い難かったんだ。

テレビ解説の風間八宏や鈴木隆行も言っていたように・・

ベネズエラがブチかます、「最終勝負シーンでのパス&クロス」が、前半の最終ラインが描いていたイメージング内容を超越していたっちゅうことだね。

「ここにラストパスが来るかも・・」って具体的イメージが描けていれば、相手へ身体を預けたり、相手よりも早く、スペースを潰すスプリントスタートを切れていたり等、状況にあった効果的な対処アクションも、より早いタイミングで繰り出せていた・・!?

まあ、そういうことなんだろうね。

でも・・

そう、後半・・

日本代表の勇気と意志のポテンシャルが、本来の姿に戻ったんだ。

ここじゃ、選手交代については、触れない。

それは・・

ホンモノの組織ボールゲームであるサッカーでは、明白に(個人のフォームが)低調なケースを除いて、周りの「チームワーク機能性」によって、選手個々のパフォーマンスが、何100パーセントも、上下に振れまくっちゃうわけだからね。

ということで、後半の日本代表が、大きくパフォーマンスをアップさせた背景ファクターについては、概論にとどめようと思う。

その第一が、何といっても、守備(ボール奪取プロセス)の活性化。

前述した、ベネズエラ守備のポジティブ形容を、そっくり、そのまま、後半の日本代表にあてはめちゃう筆者なのであ〜る。

そして、それに伴った日本代表のペースアップ(イニシアチブ奪取!)に合わせるように、ベネズエラ守備の「闘う意志」が、徐々に萎えていったんだ。

もちろん、最終勝負シーンでの、「最後の半歩」も含めた、ステディーでハードな守備プレーは、最後まで素晴らしかったけれど、中盤から前の守備ダイナミズムは、見るからにダウンしたんだ。

そして、そんなイニシアチブの逆流現象によって!?・・

柴崎岳と中島翔哉の「タテのコンビ機能性」も、存在感を大きく高揚させはじめるのさ。

前半の中島翔哉・・

ちょっとボールを「愛しすぎた」だけじゃなく、周りのチームメイトたちの組織コンビネーション(サポート)機能も、うまく回らなかったことで、も、まさに孤立無援だった。

でも・・

そう、後半は、攻守にわたって、組織プレーでも、個人プレーでも、彼のキャパシティが、まさに「世界レベル」にあるコトを証明したと思う。

さて・・

メンバーを大幅に変更して臨んだこのゲームの総評だけれど、「まあサッカーだから、こんなこともあるさ・・」ってなニュアンスですかね。

そして・・

そう、森保一ジャパンの進化と深化は止まらないし、それに対する私の期待が萎(な)えることは、まったくない・・ということです。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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