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2019_アジアカップ_3・・森保一によるハーフタイムの奇跡!?・・それと、組織と個のバランスというテーマも・・(日本vsトルクメニスタン、 3-2)・・(2019年1月9日、水曜日)

やっぱり・・

このゲームからは、まず何といっても、前半の(心理的な!?)悪魔のサイクルというテーマをピックアップせざるを得ないよな。

もちろん、そのバックボーンには、前半の(!)トルクメニスタン守備ブロックが、まだまだ元気だったという事実もある。

チェイス&チェックにしても、忠実なマーキング&カバーリングにしても、はたまた、協力プレスへの集散アクションの素早さ、正確さetc.にしても・・

とはいっても、立ち上がりの森保ジャパンは・・

そんな、強烈に粘り強く、デュエルが厳しいトルクメニスタン守備に対しても、柴崎岳からの浮き球スルーパスに、ベストタイミングで抜け出した堂安律がヘディングで合わせるなど、決定的チャンスは創りだしていた。

でも・・

そう、前半26分、アマノフの「ブレ球ロングキャノン先制ゴール」がブチ込まれてからは・・

森保ジャパンに、「失敗したくない・・確実に仕掛けていきたい・・」等などといった後ろ向きのマインドが目立つようになっていったんだ。

だから、仕掛けのタテパスは送り込むけれど、待ち構えるトルクメニスタン守備に(事前スカウティングによる守備ゲーム戦術の徹底!?)、カットされたり、トラップがブレたところに協力プレスをブチかまされたり。

さて〜〜・・

もちろん、まだまだ元気なダイナミックなトルクメニスタン守備ブロックだから、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションで仕掛けていくのは、困難を極めるのも道理。

もちろん「それ」でスペースを攻略できなきゃ、個のドリブル勝負だって、単なる「ゴリ押しのチカラ業」っちゅうことになっちゃう。

そして日本は、どんどんと自信と確信レベルを減退させていったというわけさ。

心理的な悪魔のサイクル・・

そんなネガティブな雰囲気を打開するための唯一の手段・・

それは、勇気をもって、攻守ハードワークやリスクチャレンジに代表される「仕掛けの勢い」を倍加させていくことなんだ。

でも・・これは微妙なディスカッションだけれど・・

そんなチームが勇気を失い、人とボールの動きが沈滞した状況で、ワンツーやドリブル勝負を仕掛けていけって言っても、そりゃ、難しいわけさ。

だからこそ、ラモス瑠偉のような、本物の(瞬間的な)リーダーシップが必要なんだ。

とにかく前半は、誰も(まあ長友佑都を除いて!?)、リーダーシップを発揮できなかった(発揮しようとさえしていなかった!?)。

だから私は、森保一が、後半の立ち上がりから、何人かの選手を入れ替えてくるに違いない・・って思っていたんだよ。

でも・・

そう、彼は、前半とまったく同じチームを、後半もグラウンドに送り出したんだ。

わたしは、心のなかで「エ〜〜ッ!?」って思っていた。

でも、そんな「安易な心配」は、まったくの杞憂に終わった(森保さん・・甘く見てスミマセン)。

そう、ハーフタイムで飛ばしたに違いない「森保一の檄」が、抜群の効果を発揮するんだ。

要は、「勇気」のポテンシャルを、大きく引き上げたっちゅうことなんだろうね。

そのことは、選手たちの「仕掛けの意志とイメージ」が、とても前向きに、積極的に、攻撃的に「シンクロ」しはじめたコトからも明白だった。

とても錯綜した「心理分析ディスカッション」だけれど・・

不確実な要素が満載のサッカーだから、たった一人でも、闘う意志とプレーの内実が「後ろ向きになった」途端、そのネガティブヴィールスは、瞬時にチーム内に伝播しちゃうんだ。

逆に、チーム全体の意志と闘うイメージ(闘う雰囲気)が「上昇トレンド」に入ったら、チカラのあるチームであればあるほど、サッカー全体のポテンシャルが、何倍にも膨れ上がる。

そう、後半の立ち上がりから「闘う意志の炸裂」を魅せつけた森保ジャパンのようにね。

わたしは、そんな「マインドの豹変ぶり」を感じながら、こんなことを思っていた。

・・やっぱり森保一は、とても優れた心理マネージャーだ・・

このテーマについては、森保一が、まだサンフレッチェ広島の監督をやっていた当時に発表した「このコラム」の最後の章に書いたから、それも、ご参照あれ。

さて・・

最後に、もう一つだけ、こんなテーマはいかが?

それは・・

「組織と個」の高みのバランス。

前述したように、前半の日本代表は、どんどん「沈滞サッカー」へ縮こまっていったよね。

だから、まったくといっていいほど、リスキーなコンビネーションが出てこなかったし、個のドリブル勝負も出てこなかった。

それに対して後半は、その立ち上がりから、森保一が思い出させた勇気(!?)によって、個の勝負も頻繁に出てくるようなった。

そんな「勇気の発露プレー」を象徴していたのが、大迫勇也の同点ゴールを引き出した、原口元気のドリブル勝負&(勇気まんまんの!)仕掛けスルーパスだったんだよ。

それ以外でも、長友佑都や酒井宏樹、堂安律も、個の勝負チャンスを、まさに猛禽類の眼で探しつづけるように豹変していた。

そう、前半では隠れてしまった勇気が、爆発的に放散されるようになったんだ。

あっ・・そうそう・・

・・最後の10分間における、「少し押し込まれた日本・・」という現象だけれど・・

それについては・・

・・体力的にギリギリの状態で「も」、しっかりと相手ボールに寄せなきゃ、放り込まれてピンチに陥る・・

・・そんな「勝負の真実」という、とても良い学習機会を得た・・と考えましょう。

とにかく、初戦に勝てて、本当に、よかった。

それも、とても苦労させられるカタチでの勝利。

それは、今後の勝負マッチにつながる貴重な学習機会だよね。

だから、そのことも、とても、よかった。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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